近ごろ、テレビで街頭インタビューに答えている人につくづく感心し、見入ってしまう。
数ヵ月前のこと、清水駅前銀座アーケード街を、夫と一緒にぷらぷらと歩いているときだった。
見覚えのある男性キャスターがマイクを持って近寄ってきた。
後ろからは、カメラさん、照明さん、そして、ディレクターらしい人もぞろぞろと。
「清水市が静岡市と合併して2年以上経ちますが、合併後に何か変化したことは日常でどうお感じですか」という問いだった。
「……」
まぶしいライトを手のひらでさえぎりながら、夫と私は顔を見合わせたまま、どちらも何も答えられないでいた。
すると、「便利になったことなどありませんか」
と次の質問になり、夫が、
「便利ってのはあまり感じないけど、大型不燃ゴミの回収は、今までの清水のやり方のほうがよかった」
と、やっと具体的なことを口にできた。
私も隣でうなづいていると、
「奥さまもそのようにお感じですか」
と訊かれ、
「はい、そうです」と返した。
おそらく、テレビ局の人が聞きたかったのは、ゴミの回収などではなく、もっと他のことだったのだと思う。
合併については、日ごろ、考えていることはあったような気もするのに、突然マイクを向けられたら、自分の考えなどふっとんでしまった。
……というより、もともと空っぽであったことに気がついた、という方が正しいかも。
そのとき以来、テレビで放映される街頭インタビューを、意識して見るようになった。
どの人も落ち着いて自分の意見を述べている。
「この人っち、すごいよねぇ」と、夫に話しかけると、
「編集してあるに決まってるじゃん」と言う。
それはわかる、編集でまとめてあることぐらい、私にだって。
でも、それにしても……。
新聞の一面に載る難しそうな政治、社会問題について、いきなりマイクを向けられても動じることなく、自分なりの意見を理路整然と語っている場面を見るとあらためて、世間にはすごい人たちがいっぱいいると思うのだ。
数ヵ月前のこと、清水駅前銀座アーケード街を、夫と一緒にぷらぷらと歩いているときだった。
見覚えのある男性キャスターがマイクを持って近寄ってきた。
後ろからは、カメラさん、照明さん、そして、ディレクターらしい人もぞろぞろと。
「清水市が静岡市と合併して2年以上経ちますが、合併後に何か変化したことは日常でどうお感じですか」という問いだった。
「……」
まぶしいライトを手のひらでさえぎりながら、夫と私は顔を見合わせたまま、どちらも何も答えられないでいた。
すると、「便利になったことなどありませんか」
と次の質問になり、夫が、
「便利ってのはあまり感じないけど、大型不燃ゴミの回収は、今までの清水のやり方のほうがよかった」
と、やっと具体的なことを口にできた。
私も隣でうなづいていると、
「奥さまもそのようにお感じですか」
と訊かれ、
「はい、そうです」と返した。
おそらく、テレビ局の人が聞きたかったのは、ゴミの回収などではなく、もっと他のことだったのだと思う。
合併については、日ごろ、考えていることはあったような気もするのに、突然マイクを向けられたら、自分の考えなどふっとんでしまった。
……というより、もともと空っぽであったことに気がついた、という方が正しいかも。
そのとき以来、テレビで放映される街頭インタビューを、意識して見るようになった。
どの人も落ち着いて自分の意見を述べている。
「この人っち、すごいよねぇ」と、夫に話しかけると、
「編集してあるに決まってるじゃん」と言う。
それはわかる、編集でまとめてあることぐらい、私にだって。
でも、それにしても……。
新聞の一面に載る難しそうな政治、社会問題について、いきなりマイクを向けられても動じることなく、自分なりの意見を理路整然と語っている場面を見るとあらためて、世間にはすごい人たちがいっぱいいると思うのだ。