桜の木は、知らないことだ。
人が自分に桜という名をつけたこと。
この国の人びとが、ただならぬ愛情の念を抱いて桜を視ること。
木はおのがいのちのうながしにあふれて、花咲き匂うばかり。
そして、ただ、花散りしきるばかり。
人が見ても、見なくても、桜は桜の花顔に生き、
花期全身に艶をはりつめて、その花力を放ち尽くす。
岡部伊都子著「桜の木は、知らないことだ」より
静岡市葵区の駿府公園のお堀端の桜。
満開までには、あともう少し。
今日は早朝から藤枝市へ出かけた。
清水から西へ車で1時間ほどのところ。
往復する道すがら、あちこちで桜を見た。
雨上がりの陽光に誘われて、
桜が伸びやかに花をほころばせていた。