わけあって週末富山に行っておりました。
何しに行ったかって?
若干ブログテーマの一つである自衛隊にも無関係ではないのですが、
それは「おまけ」といった感じです。
その話はまた別の日にさせていただくとして。
出発の日、羽田から富山空港に向かうとき、
「強風のため富山空港に着陸できないときは引き返すこともございます」
というアナウンスがありました。
この日、飛行機に乗っていてたいていのことには驚かないわたしも
うっすらと不安になるくらい富山空港付近は強風が吹き荒れていました。
しかしさすがはANAのパイロット。
滑走路上空で着陸態勢に入っているのにぐらぐら揺れる機体を、
ランディングするなりぴたりと制御し、何の危なげもなく着陸してのけたのです。
「すごーい!」
「このパイロット上手いよねえ」
「自衛隊出身と違う?」(←TO)
エリス中尉、だてにしょっちゅう飛行機には乗っているわけではありません。
パイロットの着陸の上手い下手は非常に敏感な方ですが、
このときのパイロットのランディングは、外国ならば拍手が起きるほどでした。
ジャンプシートでこちら向きに座っているCAが我が意を得たり、みたいな満足の表情を
浮かべているように見えたのもあながち気のせいではなかったかもしれません。
とにかくこの職人芸のような着陸のせいもあり、当初聞いた「引き返す」というアナウンスも、
「めったにないことだけど、万が一の事態に備えて一応言っておくんだな」
と軽く考えていたのでございます。
まさか自分が、次の日、本当に引き返した飛行機のせいで危機一髪に陥るとも知らず。
この旅行で泊まったのは富山県内の民宿。
関係者の方のご紹介によるものです。
部屋についてさっそくメールチェックのためwifiを付けると「電波が届いていない」のマーク。
「wifi届かないの?」
「パパのなら届くかも」
TO、wifiを付けるなり「圏外だって」
「パパ、下の人たちにwifiできるかどうか聞いてきて」
「いや・・・・あのおばちゃんたちに聴いてもきっと
『え?ワイハイってなんですか』みたいなことになると思う」
「うん、聞くまでもないよ。電波らしきものすらキャッチしてない」
というわけで、ブログに来ていたコメント、メール含めて、全く見られない週末となりました。
(すぐお返事できなかった方々、申し訳ありませんでした)
インターネットができないならこの際早く寝てしまおう!
と8時半に寝ることにした(笑)わたし。
その日一日頭痛がしていたのですが、次の日はすっかり治り、
実に爽快な目覚め。
「ああ、やっぱりインターネットは時々お休みするべきだわ!」
と伸びをしながら旅館のふすまを開けたところ・・・・
雪が積もっている!
さすが日本海側の豪雪地帯。
後から聞くと、先週が初雪だったそうですが、この日のようにまともに降るのは
初めてであったということ。
雪だ雪だと大はしゃぎして、日本は狭いようで広いねえ、などと
のんきに驚いていたりしたのでございます。
そしていかにも民宿の朝ごはん。
この後、案内の方が迎えに来てくださって、飛行機の時間まで氷見観光。
物産展に立ち寄り、美味しいお寿司をお昼にいただきました。
そして、空港に向かったのですが・・・。
だんだん雪が激しくなってきました。
富山空港到着。すると・・・
車が雪に埋もれている!
「飛行機から降りて車がこんなのになってたらショックだなあ。
いったいどうやって車を動かすんだろう」
「やっぱり手で雪かきするんじゃない?
いきなりワイパー動かしたら絶対に折れるよね」
「手で・・・厳しい、それは厳しすぎる」
「いやあー、雪国に暮らすって大変だねえ」
他人事だと思って盛り上がりまくるわたしたち。
そしてそれは決してひとごとではなかったのでございます。
チェックインしたとたん悲しいお知らせが。
「只今、東京羽田からの飛行機が上空に到着しておりますが、
視界が悪いので上空を旋回しております。
着陸できないときには、羽田に引き返しますのでご了承ください」
・・・いや、引き返されたら困るんですけど。
なぜなら、その飛行機に乗ってわたしたち羽田に帰るんですから。
出発予定時刻はとっくに過ぎています。
わたしたちが時間をつぶしていた喫茶店。
店内の人々は皆同じように羽田行を待っているらしく、
アナウンスがあるたびにぴたりを話をやめて聞き入っていました。
そしてついに。
「何々便は着陸することができなかったので羽田に帰りました」
とたんにどよめく喫茶店内の人々。
実は、車の中で、雪が激しくなっていくのをみながら、
「もしかしたら飛行機が飛ばないかも知れない」とだれともなく言い出したとき、
「面白いから欠航にならないかな~」
などとエリス中尉、気楽に冗談を飛ばしていたのですが、
「冗談でも本当になったら困るからそんなこと言わないで!
明日東京で朝イチに大事な仕事が入ってるんだから」
とTOがマジになっていうので
「大丈夫よー。起こるかも、って言ってその通りになることなんかほとんどないから」
などと笑っていたのでございます。
しかしこのたびはそれがその通りになってしまったと。
単なる偶然です。
しかし朝イチの仕事というのがよっぽど大事だったのか、TOってば、
関係者に電話していろいろ聞いていたと思ったら、
「今すぐ空港からバスに乗って電車で米原経由で名古屋まで行く!」
とか言い出すであはありませんか。
それは・・・・あまりにしんどすぎませんか?
「あの、わたしたち羽田の駐車場に車留めてるんだけど」
「あ・・・そうだっけ?でも仕方ないよ。
東京駅から羽田まで車を取りに行って帰ればいい。
家には今日中に・・・・12時くらいに着くと思う。さあ、すぐ行こう!」
この連れ合いが、日頃わたしなどよりずっと冷静にモノゴトに対処するにもかかわらず、
ある一定のの事態になると、冷静なんだかそうでないんだか全くわからない行動に出るのを、
わたしはつねづね不思議に思っているのですが、この日もそれを実感いたしました。
愛想が尽きるとか、嫌気がさすとか、決してそういう意味ではなくただ不思議なのです。
いざとなると、わたしのほうが冷静になる分水嶺みたいなポイントがあるんですよね。
「あのさ・・・次の便が今こっちに向かってるから、その便が着陸できるかどうか、
それがわかってから電車に乗ってもいいんじゃない?」
「でも、明日に向けて雪はどんどん強くなるっていってるし、可能性ないよ」
「わからないって。
パイロットも小降りになった瞬間に降りるタイミングを待つために上空旋回するんでしょ?
さっきから見てたら、時々雪がやむ瞬間もあるみたいだし」
こんな小競り合いをしていると、ゲートがオープンになりました。
「あと10分で到着いたします」
「ね?だからアナウンス聞いてからにしようよ?」
そういってロビーでかたずをのんで耳を澄ましていると、
「ANA○○便、只今到着いたしました」
ほらね?
わたしはTOの肩をたたき、ニコヤカに、
「ね?待ってみてよかったでしょ?」
「そうだね・・・」
「あなたの言うとおりにしてたら、米原経由で重い荷物抱えて電車を乗り継いで、
空いているかどうかわからない新幹線で東京まで行って」
「わかったって」
「東京駅から京急で羽田まで行って、車をピックアップしてそれから乗って帰って」
「あああ、もう言わないで」
「それなのに、欠航になったのがまるでわたしが面白がったせいだ、みたいな」
「そんなこと言ってないって」
飛行機に乗り込む通路から撮った滑走路と飛行機の写真。
なんと、この機はおまけに富山に来る途中で
落雷をうけ、傷がついたということです。
「飛行機って落雷するんだ・・・・」
「ありえないことだけど、この飛行機に乗れて、『よかったよかった』って言っていたら、
帰りに本格的に落雷にやられて、その飛行機が落」
「それ以上いうなあああああ」
・・・・まあいろいろありましたが、無事に自宅まで帰ってまいりました。
やれやれでございます。
富山在住の方に聴いたら、積雪量30センチまでは
「積もったうちに入らない」というのが富山スタンダードだそうで・・。
われわれは結構楽しんで(わたしだけか?)しまいましたが、
車が雪に埋まってしまった方々を含め、ここに暮らす人々はこれからの季節
本当に大変だなあ、と思ってしまった次第です。