「憲法を改正すべきでない」というあなたの考えに対して、
わたしの意見をさらに述べる前に、少しご報告があります。
つい最近ですが、息子の家庭教師をクビにしました。
わたしは息子には目上の人に正しく敬語を使えるようになってもらいたいので、
オンラインでスカイプを使ったチューターを契約しています。
先日の授業は、息子が学校からもらってきた、写真の教科書についての宿題でした。
「平和について考える」
という、広島の原爆資料館を保存する運動のことを述べた内容で、宿題の最後は
「心に平和の砦を気築くとはどういうことでしょうか。あなたの考えを述べなさい」
というものでした。
わたしは息子の向かいで作業しながらずっと最初から最後まで聞いていますが、
スカイプですので先生の言っていることは聞こえません。
あくまでも息子の返答から先生の言っていることを想像するだけです。
その問題に彼らが取りかかったとき、わたしは手を止めて聞いていました。
息子はどうやら「あなたはどう思いますか」と質問されたらしく、
「えー、国と国があれば戦争は起こるからー・・・・」「それは仕方がないっていうか」
「やめようと一人が思ってもやめられないし」
などと拙い言葉で答えています。
すると先生が息子に向かって何か話し出しました。
それをひとしきり聞いてから、息子が言葉をはさみました。
「コスタリカ、ですか?」
「代わって」
わたしは息子のその一言を聞いた途端、言いました。
「え?」
「いいからママに代わって。先生にお話があるから」
怪訝な顔でヘッドセットを渡し、息子は別室に退場。
わたしはモニターの裏に座って先生に切り出しました。
「あの、お母様、姿が見えていないのですが」
「モニターの反対側に座っているので見えないのです。
それより、今息子にコスタリカとおっしゃいましたね。なぜですか」
「それは、息子さんが最後の設問に『国があれば戦争は起こるものだ』と
言いましたが、やはり、これは質問ですから、答えを書かないといけないので・・。
でも、息子さんが自分で考えなくてはいけないので提案として申し上げたんです」
「なぜコスタリカですか」
「コスタリカと言う国は、軍隊を持たない国なんですが・・・」
「存じております。
しかし、コスタリカはほとんどアメリカに軍備を依存する関係です。
つまりアメリカの軍事力の傘に守られており、機構に組み込まれています。
そして、軍隊は持ちませんが、その大きな理由は平和のためではなく、
あのあたりの国は軍があると軍部がすぐにクーデターを起こすからです。
ご存知でしたか?」
「いえ・・・」
「思想を誘導するのはやめていただきたい。
しかも、よく御存じでもないことを印象でおっしゃるのは問題外です」
エリス中尉、脚色でもなんでもなく、言文一致でこう言いました。
「そして、ご自分の思想を国語の時間に押し付けるのもおやめください。
戦争や平和についてはわたしはいつも息子と話し合って考えています。
それに、息子は『国があれば戦争は起こるものだ』と言いましたね。
平和の砦を心に築いたところで、起こるものは仕方がない、これが息子の考えです。
この宿題は『あなたの考えを述べなさい』とありますが、これじゃだめなんですか」
さすが長年教壇に立ってきたらしい中年の女性教師だけあって、
このような意見には決して異を唱えません。
「わかりました」
そう一言だけ答え、息子には「お母さんと一緒に考えてください」と言ったそうです。
次の日、派遣会社にわたしはそのことをそのまま報告しました。
「公立学校で今回のように親の目が届かないのをいいことに、
自分たちの思想を子供に刷り込む日教組先生と付き合わずに済むからこそ、
わたしは息子を私学に入れているのです。
家庭教師を頼んでこういう先生に当たるとは思いませんでした」
そういうと、社長は
「わたしもアメリカの学校に通い、生徒の意見を尊重する教育を受けましたからわかります。
そのように先生が意見を誘導することはかなり問題であると考えます。
すぐに先生を交代させますので」
わたしは決して先生をクビにしようと思って電話をしたわけではありませんが、
向こうが自主的に先生の交代を申し出てきたというわけです。
おそらくこの先生は現役の間もしょっちゅうこういう機会をとらえては
「軍備を持たない平和なコスタリカと言う国があります。
日本も、軍隊など持たなくても平和憲法さえあれば戦争をせずにすむのです」
と、九条礼賛をやっていたのに違いありません。
コスタリカの「平和憲法」が「有事の際にはそのために徴兵制を敷く」
となっていることなど知りもせず、また知ろうともしないで。
コスタリカも日本も、近年戦争に巻き込まれることもなく、平和の状態が続いています。
しかし、コスタリカの平和と言うのは完全にアメリカの一部として組み込まれた平和であって、
内実は麻薬と犯罪が横行する、実に不安定な国情であること、
そして日本の平和は、言わば「カルタゴの平和」であることを考えてみるべきです。
カルタゴの平和。
この言葉をご存知でしょうか。
カルタゴは今のチュニジアに紀元前6世紀ごろ繁栄を見た都市国家でした。
第二次ポエニ戦争でローマ帝国に負けたカルタゴは、戦後、武装を解除させられていました。
しかし、貿易で国を建て直したカルタゴは勇将ハンニバルの経済立て直しによって
平和と繁栄を享受するまでに復興を成し遂げ、人々はその中ですっかり
「非武装でも平和は守られるのだ」と平和ボケしていました。
戦後賠償もあっと言う前に終え、さらなる発展を見そうなこの優秀な国に対し、
ローマ帝国は脅威を感じ、この国の殲滅に乗り出しました。
ハンニバル将軍は国民にローマ帝国の脅威と国防の必要性を説きましたが、
平和ボケの国民は聞く耳を持たず、ついにハンニバルは
カルタゴの民の手によってローマに売り渡され、自殺します。
自国の危機を訴えて軍備を説いた愛国者を、いわば自らの手で殺めたカルタゴは、
その後、ローマからの無理難題にようやくその真意を悟りますが、時すでに遅く、
ローマはこの国が二度とよみがえらないように、侵攻し徹底した虐殺を行いました。
そしてわずか三年後、カルタゴはこの地上から跡形もなく消えてしまったのです。
この話を日本とどこかの国に置き換えることはできませんか?
戦勝国であるアメリカもまた日本に対し、ローマ帝国がカルタゴを殲滅したように、
二度とアメリカに逆らえないように「精神的な殲滅を謀った」のだとしたら?
そして、軍備の必要を説くハンニバルを疎んじて「お前は戦争がしたいのか」
と駆逐したカルタゴの民は、どこかの国の国民に似ていませんか?
戦後レジームからの脱却を唱える安倍首相を「戦争がやりたい人」などと叩き、
「おなかが痛くなって辞めた人」などと侮辱し、
政権に着く前からその経済政策のアラを探しては大騒ぎし、果てはあなたのように、
その財の元が「アヘン」であるから、そんなダーティな人間の唱える「改憲」には絶対反対、
などというレッテル貼りまでして否定する。
メディアと、そしてあなたがたの安倍叩きには実に凄まじいものがあります。
朝日新聞は「安倍叩きは社是」だといいましたし、産経新聞以外の大手紙は勿論、
NHKも他のテレビ局も横並びで安倍首相をヒステリックに非難しています。
なぜですか。
安倍首相がかつて「戦後レジームからの脱却」に着手したからですか?
憲法の改正を示唆したからですか?
カルタゴの将来を憂えて軍備の必要を説いたハンニバルのように。
思うに、日本人をカルタゴの平和という暗愚の闇に閉じ込めておきたい層、
つまり戦後レジームから脱却されると「よっぽど困る層」がいるのです。
この層が、前回マスコミを使って安倍氏を引きずりおろし、
また、帰化日本人だらけの政党だった民主党を第一党にしたのではないですか?
日本人が戦後レジームから脱却しては困る人々とは誰でしょうか。
それは日本の中の日本人ではない人々であり、日本人に目覚められては困る売国者であり、
そして、平和憲法とアメリカによってのみ日本が守られていると信じ、
カルタゴの平和の中に安住している、あなたがたなのです。
明日に続きます。