海軍から始まって自衛隊についての関心の赴くまま、
最近のようにいろんなイベントにも足を向けるようになって、
今まで全く関心もなくそれゆえ知らなかったことがたくさんあるのに気づきました。
なかでも防衛大学の存在とその実態については、海軍兵学校そっくりの制服や、
彼らが公務員扱いで月々手当を受け取りながら集団生活をしていること、
そして棒倒しや分隊制の生活など、旧兵学校伝統の様式を多く引き継いで
今日に至ることを知り、あらためて驚いたものです。
日頃見ることのないこの士官学校(厳密にはこの後幹部養成課程がありますから違いますが)
を観察できたのは、日本の国防、ひいては安全保障に関心を持つものとして大きな収穫でしたし、
それに税金によって運営されているこれらの施設に関心を持つことは、
納税者である国民にとって大事なことなのではないか、とも思われました。
この日、雨の中で防大名物の棒倒しが行われた後、最後に体育館に立ち寄ると、
そこでは例のパラシュート部はじめ、防大のいくつかのクラブがブースを開いており、
活動を報告するとともに防大の中でも入部をスカウトするような
「宣伝コーナー」となっていました。
グライダー部の展示。
動力もなしでどうやって飛ぶの?という感じですが、このグライダー、
曳航機に引っ張ってもらいあとは上昇気流を捕えて滑空します。
大戦時にはパラシュートで降りる技術のない者を降下させるのに、
しばしばグライダーが使われました。
スポーツとしてのグライダー競技、国内では場所がないので、
日本の選手はほとんどが海外で「日本記録」を上げるのですが、
日本人によって立てられた世界記録も多いのだとか。
本当に、日本人っていろんなところで活躍してますね。
右写真は、このとき「体験試乗」させてもらっていた子供。
防大グライダー部の部員が乗るのを手伝っています。
そしてその反対側のコーナーにあったのがこのような
「留学生の出身国文化紹介コーナー」。
まるで高校の文化祭のようなノリですね。
これはおそらくタイでしょう。
冒頭写真は出身国軍の制服でキメた留学生たち。
左側の学生の出身はわかりませんが、
マレーシアかベトナムか・・。
この二人は右がフィリピン、左がおそらくモンゴル。
思うんですけど、モンゴル軍の帽子、大きすぎませんか?
かれは背が高いからいいけど、もし身長が低い人がかぶったら
まるでこまわ・・・・いや、なんでもありません。
シンガポール・・・だったっけ。
右胸の工芸品のようなのはなんでしょうか。
なんと、民族衣装を着せてくれるコーナも。
奥の人たちはモンゴルの民族衣装でしょうか。
展示を見ていたら話しかけてきてくれたので、しばらくいろいろと
質問などさせていただいたタイからの留学生。
さすが微笑みの国の出身。
アルカイックスマイルがDNAレベルで顔に刻み込まれております。
タイは王国なので、国王夫妻の写真をこうやって飾ります。
ここでは日タイの関係や交流についてのパネル展示、
あるいは洪水を報じる展示の前には募金箱も置いてありました。
かれは海軍からの研修生で、今日本語を勉強中。
父親は全く軍とは関係ない職業でしたが、自国の防衛に関心を持ち、
軍人になることを決意。(したのだろうと会話から推測)
こうやって日本の防衛大学に留学してきています。
日本語研修中なので複雑な会話はしませんでした。
「英語でしゃべりましょうか?」と聞いてみたのですが、
「日本語のほうが得意だ」とのこと。
休日は横浜や東京に出かけることが多いということです。
ところで、この留学生ですが、棒倒しにも、観閲行進にも、
明らかに留学生のような生徒はいなかったように思われます。
校内に入るなりベトナム(フォー)インドネシア(肉団子スープ)モンゴル(ポーズ)
韓国(トッポギ)タイ(タイ風焼きそば)などの民族料理の屋台が並び、
そこに何人かの学生がいたり、このような留学生コーナーにも人がいましたが。
留学生は基本防大行事に参加しないのでしょうか。
平成23年度、防衛大学には42名の留学生が在籍しています。
今現在についてはわからなかったので、この年の出身国内訳を挙げると
タイ5名
フィリピン2名
インドネシア4名
米国5名
フランス7名
ベトナム5名
韓国6名
モンゴル4名
カンボジア2名
東ティモール2名
フランス軍からの留学生が一番多いというのも意外でしたが、
モンゴル軍はいてもやはり中国からの留学生はいません。
調べたところ過去いなかったわけではないようです。
そして、インターネット上では韓国からの留学生に対して、
「反日教育をしており日本の領土を不法占拠しているいわば敵国の軍人を、
日本人の税金を使って教育してやる必要はない」
と激しく糾弾する意見が散見されます。
両国の関係は決して芳しいといえず、さらに韓国という国は反日で国をまとめてきた
ような国ですから、このように思う日本人がいても不思議なことではありません。
さらには、成績優秀で卒業した韓国からの留学生に対し
「技術をスパイしに来たのだろう」
と決めつける意見もあったりして、さもありなんと思わされます。
田母神元幕僚長が、中国から帰化して防大に入り、これもまた成績優秀であった
ある幹部候補生について、共産主義研究会を立ち上げようとしたり、
級友を中国に招待しようとして、その動きを公安からマークされていることを指して
「自衛隊が心配だ」
と述べたというニュースがありました。
帰化しているのに元の国籍の国に利する行動をとり続けるこの学生は、
明らかにそれを疑われても仕方がないのかもしれませんが、
一般に留学生制度は双方向で行われますから、防大から交換留学に行っている
学生も存在し、「スパイに対し税金を支払ってやるとは」という考えは、
あまりにも一方的にしか物事を見ていないと言わざるを得ません。
近年、大統領の発言や不法占拠している竹島への立ち入り、あるいは
ロンドンオリンピックのサッカー選手によるナショナリズム的プロパガンダ事件、
こういった韓国のアグレッシブさに、今まで黙って不快に耐えていた日本人が
ついに不満を口にしだしました。
どう公平に見ても、ウィンウィンの互恵関係というより日本の「持ち出し」であるのに、
いつまでも過去の歴史をもとにした民族的反発を一方的に受け続けても
尚良好な関係をなどと言っていられるか、いい加減にしろ、
と表明する日本人が増えてきた、ということでしょうか。
韓国が政治カードにして、謝罪と賠償を要求している慰安婦問題について、
次期首相と目される安倍元要理が、
「朝日新聞や詐話師吉田某のねつ造創作を広められたのが原因」
と公にはっきりと表明しました。
相変わらずマスゴミはスルーし、おそらく朝日の『社是としての安倍叩き』
はいっそう苛烈さを増すことと思われます。
しかし、事実と違うことを主張されても、違うと言えない日本にしてしまった、
という反省を含め言うのですが、この主張をあえて相手に投げつけることは、
この隣国を「敵にする」ためではなく、両国をまともな関係に戻していくための
痛みの伴う一歩として、いつかは誰かがやらなければならなかったことだと思います。
そもそも、われわれは韓国が国際的には同盟国であり、軍事的には
協力関係にあるということを忘れがちです。
対中国においてすら、先日講演を伺った元海幕長のお話によると、
軍事交流は非常に頻繁に行われている、これも事実なのです。
それは、軍レベルでもそういった交流と理解を深めることで、
最悪の状態にしないための予防線ともなっているのでしょう。
顔を合わせた相手に対して無茶はできない、という人情的抑止力と言いますか。
うちのTOは、かつてアメリカ東部の大学に留学しておりました。
そこには世界中から留学生が集まっており、彼らとの交流を通じて
あらゆる国の文化や特色に触れる機会を得ました。
この大学は非常に卒業後の結びつきが強く、たとえば仕事で日本に来ると、
同窓生のまとめ役に連絡をする。
そうするとまとめ役が声をかけて、彼なり彼女を囲んだ一夜の同窓会が持たれます。
少し前に、来日した韓国からの同窓生を囲む会に出席したTOが、
「韓国の人って、すごいよ。
なんかむしゃくしゃすることがあると、ものすごく辛いものを食べて
火を噴きそうになって『辛いニダー』ってわーっと発散するんだって。
で、あとはすっきりしちゃうんだって」
と言っており、いちいち大変な人たちだなあと感心したのですが、
TOによると彼本人は実に穏やかな人物なのでギャップが不思議だったとのこと。
大学在学中は、よく日韓の学生の間で家族ぐるみの懇親会がありました。
学校でも普段から仲が良かったそうで、ほかの国からの留学生のように
「ソウルに来たらいつでも連絡してくれ」
と誘いを受けることもしばしば。TOなどは
「あんな人たちでも反日教育受けてたのかな」と首をかしげていたものです。
よく言われるように、政治レベルではこれを利用して民衆をあおる
「確信犯的反日」が行われ、馬鹿な学者や芸能人などが尻馬に乗って
問題をより複雑にするのですが、これはある意味一面的なものです。
この東部の大学に韓国からきているというのは明らかにエリート層ですが、
このレベルの人々にはおそらく反日の実態も、領土問題の実際も、
もちろん公言はしませんが、わかっていて冷静に捉えられていると思われました。
先般の大統領の発言問題でも、ある筋によると
「あの発言で頭を抱えた国上層部の韓国人は多い」
ということでしたし、はっきり言って朝日新聞はじめ日本のマスコミより
ずっと知日であり親日である韓国人は、とくにエリートと呼ばれる層には
非常に多い割合で存在しているようです。
そういう人たちをもってしても、その認識が少数派に留まらざるを得ないというのが、
ある意味、宿命というべきかの国の悩ましい問題であるとは思いますが、
まあこの辺の話はさておき。
防大にその国のエリート軍人を留学させる、ということは、
「スパイに情報を与える」という行為ではなく、あくまでも人の交流を通じ、
軍同士のパイプを個人レベルで作ることと、日本という国を
留学を通じて理解してもらい、知日派になってもらう、というのが目的。
防大同窓会のHPなどを見ると、留学生の週末ホームステイや、
どこかに連れて行くなど、ボランティアで世話をしてくれる家庭を募集しています。
(資格のひとつは『宗教国籍人種の差別がないこと』)
こういう民間との触れ合いを通じて日本という国を理解してもらおう、
という意図あっての留学生招致であることがこの募集からもわかります。
たとえば韓国のように関係がうまくいっているように思えない国であっても、
いや、うまくいっていない国であればなおさらのこと、
草の根の人的交流をもって安全保障となす、とでもいいましょうか。
「日本人は」「韓国人は」と観念に基づいてお互いを非難し合っているうちは
なかなか国と国との関係は前に進むことはないでしょう。
結局国と国の付き合いも個々の信頼の上に立つことが肝要なのかもしれません。
ただ、このような考えは、防大に留学してくる国トップの軍人や、
あるいはアメリカの大学に入学してくる高学歴層が対象だからこそ
成り立つものだという考え方もあります。
今回安倍元総理で選挙を戦う自民党が、先日、
「30万人の留学生を受け入れ」という方針を表明しました。
「どうせ中韓からがほとんどで、下心のある者ばかりがやって来るだろう。
そんな連中は留学を口実に入国したら下手すると国内逃亡、
よくても国内の雇用を脅かすだけ。全く日本にメリットがないではないか」
という意見がネットに溢れました。
これらの意見はもっともで、意図としては性善説の上に成り立つものでも、
国別に制限を定めるとか、あるいは対象がある程度特化されないかぎり、
防大の留学生に対するのと同じような効果は期待できないのではないでしょうか。
わたしはこの件に対しては慎重の上にも慎重を期すべきだと思っています。
彼らがその軍服姿に身を包んでいる様子を見てもわかるように、
防大にいる留学生はあくまでも国や軍を背負ってきている特別の存在で、
30万人もの普通の留学生に彼らと同じようなモラルや資質を求めるのは
とてもではないけれど無理ではないかと思うからです。