ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

富山、ネタとの邂逅

2012-12-13 | お出かけ

ときどき、殺伐とした政治関係記事検索の合間にいわゆる
「オモシロ画像」を覗いて気分転換をします。
最近息子も同じようなテーマの英語サイトを見つけ、大笑いしながら
「これ見て!」
と見せに来るのですが、世界中で見られているおばか画像の中に
日本発祥のものが大変多いことを、日本人として誇りに思っています(←嘘)

それはともかく、以前、その面白シリーズで見て知っていた冒頭の
「ブリ小僧」。

今回、富山という今まで電車で一度通過したことしかなかった土地に足を踏み入れ、
その日までは全く知らなかった「氷見」という町を訪れ、そこでこの
「ブリ小僧」に遭遇したときの驚きは、筆舌に尽くしがたいものがありました。

高岡市にある、とある鋳造工場を見学して、その鋳型倉庫で護衛艦のプレートに遭遇、
その天の配剤に感謝した翌日、このインターネットでだけは有名なネタ画像元に遭遇。
この広い日本でたった一つ、ブリ小僧がここにしかないのだから(ここだけですよね)
こんなすごい偶然はないのではないか。


この日、見学した工場の社員でこの氷見在住の若い方Nさんが、宿に迎えに来てくれました。
飛行機の時間まで、わずかな合間に氷見を案内してくださったのです。
この若い人の新婚の奥様がジュエリーデザイナー。
「よかったらお店を覗いていってください」ということになり、車で店の近くに来たとき、

「あっ!ブリ小僧!」

と大声を上げたエリス中尉。
走る車の窓から2・0の視力で捉えた見覚えのある石像。

「えっ?どうしてご存じなんですか(こんなもの)」
「いやそれはですね、ネットで・・・・わーびっくりした」
「写真撮りますか?」
「ぜひぜひ!」
Nさん、わざわざ大回りして車を横に付けてくれました。



ブリ小僧の広場からこんな看板(というかビル)が。
氷見という町は本当に「ブリの町」であるらしいですね。
というかブリしかない町?

プリンスではありません。ブリンス、これすなわち「ブリ王子」。



そんな漁師の町氷見の商店街に忽然と現れる異次元の雰囲気のお店。
それがNさんの奥方のジュエリーショップ。
彼女の手作りのジュエリーのアトリエです。
お付き合いのお義理で買ってあげる、というのではなく、お世辞抜きで
ここのショップはとてもすてきでした。

 

天然石とレースから型を取った金属モチーフが特徴。
写真の髪留めとネックレスを二本買わせていただきました。
奥様はご本人も鄙(ひな)には稀な器量よしのセンスよし。
言ってはなんだけど、なぜこんなお店とこんな人がブリの町に。

しかし、今のようにどこに住んでいてもネットでものが買える時代、
このような地方に住んでセンスのいい作品を発信している方が、
都会の十把ひとからげのお店などよりずっと「存在感がある」という気がしました。
よかったら覗いてみてください。

http://mk-works.org/

しかし、おしゃれなアクセサリーを買って、一歩外に出たら

ここにもブリ。
もう、この町、ブリに魂を売り渡しております。
やっぱりブリだけなのか?と思ったら



忍者ハットリくんの町でもありました。
氷見は藤子不二雄A(○にA)先生の出身地。
最近、キャラクタライズし易いせいか、漫画家の出身地がその作品を
町のシンボルとして「町おこし」するという現象が日本全国で起こっています。
鳥取の米子は空港にすら「鬼太郎」と付けてしまったくらいで、
つくづく漫画世代が世の大半を占める時代になったという感があります。
ブリだけではいまいち押しが弱いと見たか、氷見は最近、



このような電車を走らせるように・・・・・
・・・え?ブリ電車じゃないか、って?



よく見たらブリとハットリくんのコンボです。
それにしても美しい塗装ですね。
こんな芸の細かい塗装を施した電車が日本以外のどこにあるでしょうか。
同じ日本人として誇らしいです(←本当)

さて、この前日、われわれは高岡市のとある民宿に泊まりました。



洞窟風呂があるというから期待していたのですが、何のことはない
洞窟風の壁のあるふつうのお風呂(しかも男湯のみ)というものでした。


そしてその晩、わたしは熟睡したので夢にも知りませんでしたが、
地元の農家のオッチャン達が宴会のため宿泊しており、
TOによるとかれらは真夜中に「今からスナックに繰り出す!」と大騒ぎし、
おばちゃんたちに「そんな恰好(民宿の丹前)で寒いわ―!」と止められていたそうです。
どうやら、世間はそろそろ忘年会シーズンに突入している模様。

その宴会には「温泉コンパニオン」という職業の女性が呼ばれていました。
このクソ寒いのに、廊下をシフォンのひらひらした赤いドレスで歩いている若い子がいて
「なんなんだこのお嬢さんは!」と目を見張っていたのですが、
どうやらそれがその派遣されてきたコンパニオンであった模様。



しかしわたしがウケたのはお嬢さんではなく、そのコンパニオン派遣会社のチラシ。
ロビーにこれが置いてありました。
確定できないように極限まで小さくしてみましたが、この写真はどこかで見たことが・・・・。

「これ、合法?」
「なわきゃーない」
「確信犯?それとも知らないでやってる?」
どちらにしてものどかなことでございます。

このコンパニオン派遣会社は、私服制服コスプレ各種ご要望に応じてコンパニオンを
お店や旅館の宴会に派遣してくれるそうです。
しかしなぜ「ミスターアンドミス」という名前なのかというと、なんとこの会社、
「女性のための宴会があったっていいじゃない!」というご要望に応えて

メンズコンパニオンの派遣もしているからなのです!!!!!

うひゃー。
メンズコンパニオン。略してメンパニオン。
しかし女性だけの宴会に男のコンパニオンの需要があるの?
男の人はほら、若い子にお酌をさせて鼻の下を伸ばすのが常道だけど、
女ばかりの宴会で男を呼んでどうするの?
どう考えてもおばちゃんたちがネタで呼ぶ図しか想像できないんですけど。
そして、その肝心のメンパニオンはどこで調達してくるの?
この高岡に、失礼ながらそんな人材がはたしているの?

考えれば考えるほど、メンパニオンの需要と供給についての実態は謎です。

「こんにちはー!わたし本日派遣されたメンパニオンの翔ですー」
「あれーおめ、山田んちの五男坊じゃねーか!」
「げっ(やばい、小畑のところのおしゃべりBBAだ)」
「止男だったかな、おめー昼間郵便局勤めてんじゃなかったっけ」
「いやあの、少し頼まれて」
「なにしてるんさー、ええからこっちきてお酌してお酌」
「はあ・・・・」(半泣き)
「いやちょっと小畑さんその子知り合い?」
「ずるいわー知り合いやからってそんなイケメン独り占めする気ぃ?」

「そうよー、ちょっとお兄ちゃん、こっちもお酌ー」
「若い人はいいわねー、わたしももう20年若かったらねー」
「あんたちょっとそれ厚かましいわ、40年ちゃうのー」
(全員)

「いやあああっはっはっはははは」

なんていう展開にしょっちゅうなっていそうな気がするのはエリス中尉だけ?

ちなみに、このコンパニオン派遣、チラシによると
レディースコンパニオンが二時間一名12000円也。
メンズコンパニオンは少しお安くて9000円となります。

ただし、やはり危険回避のためだと思われますが、必ず
「二名以上で申し込んでください」ということです。
女性は勿論そうですが、男性も二人からお受けしていますとのこと。
男でも一人でおばちゃん軍団に囲まれたら太刀打ちできない、ってことかしら。

さて、先日富山に行ったことを書きましたら、読者に富山県在住の方が
おられることが判明いたしました。
富山在住の方に、もし氷見まで足を延ばす機会があれば
ぜひ行っていただきたいところをご紹介します。

この10月にオープンしたばかりの物産店村。
「今氷見で最もホットなプレイス」(Nさん談)です。
ここの正式な名前は忘れましたが、ほかにそんなものないので間違えないと思います。



実に清潔な雰囲気のフードコート。
しかし、もともと「道の駅」だったものですからメインは物販です。

 

寒ブリが一本28000円。
ここでこの値段ということはお安いのだと思います。
半身だけ欲しければ捌いてくれるそうです。

 ・・・・サメ?

引っかかっちゃったので売ってます、という感じでぞんざいに置かれていました。
ここには食べ物だけでなく、地元の工芸品コーナーもあり、
昨日見学した工場の錫製品も置かれているのですが、そのお店で
このようなものを発見。

 イリコ。

写真にとると本物っぽいですが、実はこれ金属の箸置きです。
目のところは金箔を使っています。
TOが面白がってお土産用に購入することにし「6匹ください」というと
「手作りなので皆顔が違いますから、かわいいのを選んでください」



お店の人が贈答用ケースを急きょ見繕ってくれました。
TOはこれが至極お気に召し、お遣い物のためにもう1セット追加購入。

ところで、この10がつにオープンしたばかりの物産村、
さすが最新設備を投入しているだけあって、建物に入ったとたん、
いままで気配すらなかったWIFIがびんびんに入りまくり。

「あー。やっとつながった」
息子、大喜び。



特に、ここにある人気の「回転寿司」に入ったとたん、
電波の速度が非常に早くなり、富山到着以来初めて、
ブログコメント欄を見ることができました。やれやれ。



回っている寿司で本当に美味しい寿司は無い、と都会では言われますが、
ここはなんといっても港のすぐ近く。
ブリの町なら回転ずしでも美味しくないわけがありましょうか。

順番待ちの間、お店の人が「今日漁師さんが頑張って漁に出て捕ってきた魚」
について、アツーく説明をしてくれました。
聞いたことのない魚の種類もたくさんありました。



流れてきたから最初に取ってみたサーモン。
もうこれだけでただの回転ずしとはレベルが違うのがお分かりでしょう。



そして!
ここにきてこれを食べなきゃ何も食べたことにならない!

You ain't ate nothin' yet!

というわけで、このブリ寿司を見よ。



まとめて注文した4人分。
ここはお魚もさることながら、鮨飯も米どころならではの美味しさです。
つまり完璧です。



漁師汁みたいなお味噌汁。
これを食べようとしたら、横に立っていた三十代後半くらいの男性が、
「中に入っている魚身を蓋に取ってしょうゆをかけるんですよ。ここの人間は」
我々が旅行者であることがわかったようです。
「社長さんですか?」と聞くと、「そうです」
「美味しいですね」
社長さんの顔がぱっと輝き、
「ありがとうございます!」
この新しい場所で意欲的なお店を持ってすごく張り切ってる感じ、いいなあ。

富山在住のてつさん、もし機会があったら行ってあげてくださいね。

アクセサリーショップのNさんの奥さんや、ここの社長さんや、
若い人たちが地元で生き生きと、月並みな言い方ですが「輝いて見える」というのは、
旅行者の目には実に頼もしいことに思われます。
この週末、どんよりとした空に寒々として吹雪の吹きすさぶ富山でしたが、
この新しい物産村には天気とうらはらに活気が感じられました。

ブリ小僧の町はとても元気です。