ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

007「スカイフィール」@銀座ピカデリー

2012-12-26 | お出かけ

息子が冬休みに入って、「やりたいことリスト」を考えました。
その一つがディズニーシーだったのですが、あとは
「知り合いのイギリス人ミュージシャンにドラムのレッスン(トライアル)を受ける」
「眼鏡の度数を点検してレンズを変える」そして
「007スカイフォールを観る」というのがありました。

息子は「カジノ・ロワイヤル」を観た後、
子供用の(4才だったかも)黒いスーツを着ておもちゃのピストルを構え悦に入り、
「今までのボンドの中で一番ダニエル・クレイグがいいな」
果ては「オメガの時計かっこいいなあ」「車がBMWなんだよね」などと、
映画のスポンサーにさえ賛同を示す超コアな007ファンです。

この日、かれが眼鏡を作った丸善の眼鏡サロンで検眼をし、買い替えた眼鏡を装着、
眼鏡屋さんに「これから映画なのでちょうどよかったです」と言うと、
「何を観に行かれるんですか?」とニコニコ。
「仮面ライダー」か劇場版「イナズマイレブン」?それとも「エヴァンゲリヲン」かな?
「ダブルオーセブンです」
「・・・・・ダブルオーセブン・・・・・ですか・・・・」

眼鏡屋さんコメントなし。

その戸惑いの表情の中に
「中一に007が理解できるのか?親子で観て気まずいシーンもあるんではないか?」
みたいな空気を感じました。

御懸念はもっともですが、いいんです。
うちは息子に「子供のために作られたもの」をわざわざ与えたり、
情報を分けて「子供用の情報」だけを抽出して与えることをしてこなかったので。

絵本でもCMでも。あからさまに「子供向け」と言うものは、息子のほうでかなり早くから
「こういうの嫌い」だとはっきり宣言していましたが、その感覚は我が息子ながら、というか
我が息子だからか、ぴったりとエリス中尉の「嫌い」と方向を同じくしております。


さて、この日、TOが「携帯忘れたから持ってきて」というので、それを届けるついでに
フォーシーズンズホテルで一緒にお昼ご飯を食べました。

 

駅舎オープンで今もっとも盛り上がっている東京駅。
ここのセレモニーについてもまたお伝えしますね。

TOの頼んだカレー。

息子のサンドイッチ。

わたしのツナサラダ。

あまり人はいません。平日お昼ですから。

デザート(二人でシェア)。

これは、パンプディング。
クリスマスシーズンなのでメニュー全般あまりセレクトできませんでした。
このデザートにもクリスマスデコレーションが。

と言うわけでこの後銀座ピカデリーで007「スカイフォール」観賞。
結論。

面白かったです。

まだ公開中ですのでこれから観られる方のために詳しくは書きませんが、
前回の「慰めの報酬」、個人的にはわたしが今までの007で最も完成度が高い、
と思われたあの作品を、内容的に上回っています。

「慰めの報酬」においては、ボンドの職務を全うするうえでの「非情さ」に、
上司であるM(ジュディ・ディンチ)が懸念を示し、それが「ボンドの解雇」という事態に
なるわけですが、今回の作品においては、なんとそのMの「非情」が一つのテーマです。

前回今回と、このMという女性上司とボンドの関係、決して男女関係ではない、
かといって母と息子のようでもない、だからといて上司と部下と言うだけでもない、
ある種せつなくすらある「つながり」が全編通じて語られているのです。

Mが女性で、しかも「ボンドガール」のような色欲の対象とはかけ離れた存在である、
このことが、「スカイフォール」で孤独な幼年期を過ごしたボンドの育ちに
いやでも関連を感じさせるものの、だからといって日本の映画のように饒舌でも、
おせっかいでも、感情過多でもない語り口が、スパイ映画らしくてよろしい。

わたしが「シンドラーのリスト」のナチ将校役から注目しているレイフ・ファインズが、
融通の利かないお上の典型のような役で出てきて驚きましたが、
どうしてこんな役にファインズを使ったのか、後半にその意図が氷解します。

もとエージェントの悪人役ハビエル・バルデム、このアクの強すぎる俳優さんが
実にキモくて、最後までサイコな感じがとてもよろしい。
ボンドガールの一人は今一つというか存在もカラミも取ってつけたみたいですが、
これは「お約束」なので、まあ、ガマンしましょう。

ボンドの「ナビゲーター」になるオタク武器開発者のベン・ウィショーは、これも
エリス中尉大推薦のグロ映画?「パフューム」の主演男優だった人。
このナード君がまた頼もしくて大変よろしい。

というわけですっきりしない映画紹介となりましたが、とにかく、お勧めです。

映画が終わって、銀座の「博品館」で息子の「デュエルマスターズ」を買うのに付き合い、
そのあとまたTOと待ち合わせて、銀座「泥武士」で夕食。
この「泥武士」は、我が家お気に入りの有機野菜や産地にこだわった獣肉を使用した
「こだわりのお店」。

最近銀座に行って嬉しいことは、少し前一人見かけたら周りに30人はいたという中国人の
観光客が激減し、大声の中国語を街中で聴くことも減ったことなのですが、
二年前、このレストランにランチを取りに一人で行ったら、日本語の上手い中国人、
皮づくめでスカーフなど着用したイケてる(つもりの)おじさんが、
「ここ、菜食?」(中国語でベジタリアン食)と馴れ馴れしく聞いてきたので、
「菜食だけでなくて肉も食べられるアルヨ」と教えてあげたことがあります。

このビルは某化粧品のビルで一階は販売フロアなので、それこそ全盛期には
レストランにも中国人があふれ、皿に顔を突っ伏して、しかも肘をついてものを食べる、
「犬食い」の女の人がいるなあ、となんとなく不快に思ってみると案の定そうだった、
ということなどありましたが、最近はそれもめったになくなりました。
大変喜ばしいことでございます。

人種差別?いえ、これは「区別」です。



息子のお気に入り、マグロのタルタル風。緑のはアボカドです。
黒いソースはゴマで、この濃厚な味が大変マグロにマッチしています。



ミネストローネ風スープ。
どれもわすかに和風テイストです。



ここの一番のおすすめが地鶏を使ったから揚げ。
これも息子が必ずここで注文する定番。



酢豚のように見えますが、酢豚味で、肉ではなく麩です。
ヘルシー酢豚、ってところでしょうか。
はっきりいって豚より麩のほうがおいしいと思います。

そういえば、白洲正子が(料理が全くできなかったらしい)いつも
娘さんに酢豚を作らせていたのだけど、あるひ忙しいと断ったら、
お手伝いさんに作らせ、しかも「あなたのよりおいしかった」というので
それはよかったわねと思いながら台所に行ったらそこには
「酢豚の元」(たぶん寿がきや)があったという話を本で読みました。
本当に手間がかかるんですよね、酢豚って。

豚肉自体あまりヘルシーなものではないという気がしてめったに作りませんが、
この「酢麩」なら作ってみたくなります。



デザートのきなこアイス。
これもうちの全員がお気に入り。



さらにTOがデザート・アソートを頼んだので、三人でこれをいただきました。
コーヒーゼリーは文字通り苦くて、大人の味。
ほんのり甘いきなこアイスと、泥武士プリンと一緒に食べると丁度よし。


このときはクリスマス前だったのですが、それでも12月だというのに
銀座の人出はこの時期には不思議なくらいまばらでした。
中国人は別にいらないけど、師走の街にはもうすこし賑わいが戻って欲しいものです。