ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

改憲派からの手紙~ノンチックさんの言葉

2012-12-30 | 日本のこと



「日本は戦後偉大な発展を遂げた。これは日本が成功したということで、

とりもなおさず憲法に日本人が体を合わせてしまったということでもある」

あなたが憲法は改正するべきではない、と言う理由の一つです。
結果論で、日本が経済大国になったということが「憲法は正しかった」
ということの証明であるとおっしゃっているのですね。

おっしゃるように日本は戦後、奇跡と言われるほどの発展を遂げました。
勤勉な国民性、創意工夫に富んだ技術とそれを真摯に追求する真面目さ、
そして熱心さ。
これらの美点がそれらを可能にし、さらには憲法で保障された安全がそれを後押しした。
おそらくあなたはこうおっしゃりたいのでしょう。

しかし、戦後日本の発展には、まれにみる後押しがあったとわたしは思っています。

「運」です。


韓国は戦後、日本からの賠償金名目の援助金を軍事政権が使い込んでしまい、
さらに日本とアメリカの技術指導と援助によって経済発展を遂げました。
それを自ら「漢江の奇跡」と称揚していますが、
日本からの援助があったことをいまだに国民に知らせていません。

日本の発展は、ただ日本人が優秀で勤勉であったから成し遂げられた、
ましてや憲法がそれを可能にした、と考え悦に入るのは、
日本の援助を知らされていないほとんどの韓国国民と一緒で、
実におめでたいと言わざるを得ないというのがわたしの意見です。

勿論、日本人の努力と、その能力を否定するものではありません。

中でも戦争から生きて帰ってきた人たちの、「死んで行った戦友に顔向けできない」
という痛切な思い、日本を建て直そうとする力、これらが、
日本の驚異の発展のパワーの源泉であったことは、疑うべくもないでしょう。

しかし戦後、東西対立の構造の中で起こった朝鮮戦争の特需などが、
日本の経済発展に利する状況となったこと、これが実は最も大きな日本の蘇生と
その後の発展になったというのが歴史から見る冷徹な現実でもあります。

ましてや「日本の発展は憲法のおかげ」などというのは我田引水も極まれりです。


あなた方の世代は、平和しか知らず、アメリカ文化に憧れて育ち、
あるいはその一方「日本は悪かった」という刷り込みをもっとも受けた世代です。

高度成長期の、もっとも日本が激変した時代に多感な時期を過ごし、
そして、右肩上がりの物質的な豊かさを日々享受しながら人生の充実期を迎え、
あのバブルの時代を、社会の最も中核にいる世代として迎えたのです。

バブルはいかがでしたか?
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の欠けたることもなしと思へば」
と詠った藤原道長の絶頂期のように、
日本人である限り世界で怖いものはないというくらいの、あの国民総お大尽の日々。
OLがブランド買い物旅行に出かけ、学生はパーティで稼ぎ、不動産屋は超高級車を乗り回す。
毎日が狂乱の中に踊っているようなあれが、日本が戦後最初で最後に体験した
「愚者の平和」そして「虚栄の市(バニティ・フェア)」の最たるものであったと思います。

あれほど日本人が形骸化した、物質主義の極致であった時期は、
日本の長い歴史の中にもなかったのではないでしょうか。
全ての精神的なものを置き去って、ただ発展を続けた社会。
国を愛することが恥ずかしいと思っているくせに日本人であることで信用の恩恵を被り、
経済的な繁栄を享受してきた日々。

それが今、跡形もなく崩壊し、物質的豊かさは何も意味を持たず、
むしろあのバブルの頃に見られた馬鹿騒ぎに象徴されるような精神の荒廃を
生むだけだったと皆が気付いたのではないですか?

あなたは、厳密にはいまだにそうは思っておられないかもしれません。

あなたの世代は、日本人であることに誇りが持てなくなった、しかしそれでいながら、
日本の経済力が何よりも世界を圧倒すると信じている、典型的な「団塊の世代」です。

勿論、衣食足りて礼節を知るの言葉通り、最低の精神的生活のためにも経済は必要です。
貧しいよりは豊かな方がいい、清貧などは絵空事だ、そう思われるでしょうか。

「でも、今の世の中、誇りやプライド、名誉で食っていけるのでしょうか・・・?」

あなたはこうおっしゃいました。
実に「らしい」一言です。
誇り高きベトナムの話はあなたの心には響かなかったようです。
おそらく、最貧国であっても過去を誰の責任にすることもなく独立の道を歩んできたベトナムより、
プライドを捨ててでも、やくざのような民度の低い国、しかも内心皆が見下している国との商売を成功させ、
外貨を稼ぐ国のほうが実は「したたかで強い」国なのだとおっしゃりたいのでしょう。


自分たちが占領下で与えられた憲法と、隷属の平和を与えられ、むしろそれに
安住しているような国民は、国と国の付き合いにおいて、相手が礼節を持たずとも
それに対し何とも感じなくなるのでしょうか。

大使が公用車の国旗を盗まれたことに対し、あなたはわたしに向かって
「自分たちには関係ないしお前の激高するようなことでもない」とおっしゃいました。

国の象徴である国旗を盗る、と言う行為は単なる窃盗行為ではありません。
あからさまにその国を侮辱しようとする行為です。
しかし、これに対し丹羽大使はなんの声明も出していません。
おそらく、国旗など取られてもこの人間には何の痛痒も感じなかったのでしょう。
あなたのようにです。
そういう意味では、この国旗を奪った中国人は「全く襲う相手を間違えた」と言えます。
そして、日本政府の対応も相変わらずの「遺憾の意」でしたね。

ところで、この事件に対し日本人として「怒る」のは、中国と言う国に対して嫌悪を持つのは、
あなたにとっては恥ずかしいことなのですか。
日本国旗を「象徴」であるとすること、それを盗まれる行為にそれ以上の屈辱を感じること、
もしかしらあなたにとって、こういうのは「かっこ悪い」ことだったりするのでしょうか。

押し付けられた憲法を「何があっても守らねばならない」と語り、さらには
「自衛隊で十分だ、何かあったらアメリカが守ってくれる」などという、
あなたのこのような隷属精神のほうがよっぽど「恥ずかしい」と思うわたしのような人間は、
あなたから見ると滑稽に見えるのかもしれません。

あなたの世代を特徴づけるものは、高度成長期に仕事を覚え、
日本をその壮年期に経済大国にし、そして日教組教育のもっとも強い影響を受けていることです。
トヨタ、ホンダ、ソニー、シャープ、NEC。
皆、団塊の世代とともに発展を遂げ、日本の経済発展に寄与した企業です。

あなたの発言に見えるのは、良くも悪くもこの団塊世代に於ける典型的な傾向で、
経済至上主義や、あるいは日教組教育によって刷り込まれた贖罪史観です。
二回に亘って述べたように、占領国アメリカのプログラム、社会実験が、
悪い意味で功を奏した世代ともいえますが、もちろんこの世代が日本を
世界第二の経済大国にのし上げたことも事実です。
あなたたちの父親、つまり戦争に行って帰ってきた人々がその文字通り「贖罪意識」
(この場合は亡くなった同世代に対する)から凄まじい勢いで日本を高度成長させ、
あなた方の就職の際には「金の卵」と言う言葉が若い人に対して使われました。

あなたたちは「過労死」するほど仕事にまい進し、家庭を顧みない「企業戦士」として
滅私の精神で働き、「エコノミックアニマル」とやっかみ半分の蔑称を
世界はあなたたちに捧げたと聞きます。

そして今、あなたたちは、第一次ベビーブームの人たちを先頭に、少しずつ、
社会の第一線を退きつつあります。

あなたたちの残した日本社会は、今どのようになりつつあるでしょうか。

あなたたちの価値観、あなたたちの教育によって、これからの日本の子供が
育っていっても、はたして盤石だと思えるような精神的基盤が、
今の日本にあるでしょうか。

今の若い人たち、インターネット世代の人たちが、教育によって
日本を愛せなくなってしまった大半のあなたたちの世代と違い、
「自分の国を愛したい」と、むしろ洗脳的に行われる日教組先生の教育に
逆に反発し、振り子の振れのようにあなたがたとは反対の方向に
その針を振っていることにお気づきでしょうか。

8月15日の終戦記念日、もしあなたが靖国神社に行けば、
そこにたくさんの若い人たちの姿を見るでしょう。
鳥居をくぐるとき、直立して一礼する学生風の若者が、
もし平日そこに行けば必ず一人や二人いるのを知るでしょう。

あなた方にとって、これは「かっこ悪い」ことでしょうか。

ここに一冊の本があります。
靖国神社で買った、「日本人よありがとう」という本です。
この本の序文にマレーシアの元上院議員、
ラジャー・ダト・ノンチック氏が、日本人に向けてこのような詩を載せています。
最後に、この詩をあなた方にお贈りして、
わたしからの手紙を終わることにします。

 ちなみに、2012年9月、毎日新聞の世論調査で、「改憲すべきである」
と答えたのは全体の65パーセントで過去最高となったそうです。
ネット調査ではなく、改憲に反対意見を多く出すこの新聞社の調査です。

ご参考までに。

かつて 日本人は
清らかで美しかった
かつて 日本人は
親切でこころ豊かだった
アジアの国の誰にでも自分のことのように
一生懸命尽くしてくれた

何千万人もの 人のなかには
少しは 変な人もいたし
おこりんぼや わがままな人もいた
自分の考えを おしつけて
いばってばかりいる人だって
いなかったわけじゃない

でも その頃の日本人は
そんな少しの いやなことや
不愉快さを超えて
おおらかで まじめで
希望に満ちて明るかった

戦後の日本人は
自分たち日本人のことを
悪者だと思い込まされた
学校でも ジャーナリズムも
そうだとしか教えなかったから
まじめに
自分たちの父祖や先輩は
悪いことばかりした残酷無情な
ひどい人たちだったと 思っているようだ

だから アジアの国に行ったら
ひたすら ペコペコあやまって
私たちはそんなことはいたしませんと
言えばよいと思っている

そのくせ 経済力がついてきて
技術が向上してくると
自分の国や自分までが
えらいと思うようになってきて
うわべや 口先では
済まなかった悪かったと言いながら
ひとりよがりの
自分本位の 偉そうな態度をする
そんな 
今の日本人が 心配だ

本当に どうなっちまったんだろう
日本人は そんなはずじゃなかったのに
本当の日本人を知っているわたしたちには
今は いつも 歯がゆくて
くやしい思いがする

自分のことや
自分の会社の利益ばかり考えて
こせこせと
身勝手な行動ばかりしている
ヒョロヒョロの日本人は
これが本当の日本人なのだろうか

自分たちだけで集まっては
自分たちだけの楽しみや
ぜいたくに ふけりながら
自分がお世話になって住んでいる
自分の会社が仕事をしている
その国と 国民のことを 
さげすんだ眼で見たり
バカにしたりする

こんなひとたちと
本当に仲良くしてゆけるだろうか
どうして
どうして日本人は
こんなになってしまったんだ