今、ディズニーリゾートの一角にあるイクスピアリでは
「シルクドソレイユ」をやっています。
「シルク」というのはフランス語で「サーカス」。
「シルクドソレイユ」で「太陽のサーカス」。
カナダの火喰い芸人が始めたサーカス団なのでフランス語です。
一度ここのZEDを観たいね、と言っていたのですが、
意外なところから観賞チャンスが訪れました。
TOがとある忘年会で、品川プリンスの「クラブEX」でやっている
「シルク・ル・ノワール」(黒のサーカス)のチケットを二枚当てたのです。
品川駅前の「プリンス地帯」では、いまやクラブあり映画館あり水族館あり。
大人も子供も楽しめる都心リゾートになっています。
水族館もあるのでこんな飾りが。
お店もいろいろあるので夜でも人でにぎわっています。
品川プリンスの中にはいつの間にかいろんな設備ができていてびっくり。
アメリカから帰国前に家さがしのため来日した時は、やたらに東洋人の団体を
宿泊客として招致していたようで、少なくとも「必要がなければこんなホテル泊まりたくない」
という気がしましたが、その後、いろいろと創意工夫を凝らして、「町おこし」をしている模様。
最初、わたしと息子だけで行こうとしていたのですが、クラブEXに行ってみると、
まだ残席があったので、TOのチケットを一枚購入(8500円)。
開始時間まで30分あったので映画館内のカフェでおやつ。
「クリスマス限定です」と勧められたパンケーキ。
雰囲気だけで注文し、下の一枚を食べてTOに押し付けました。
会場は勿論のこと演技中の撮影禁止。
大劇場とは違い、円形の小ホールで、われわれの席(前から二番目)は、
パフォーマーが体を伸ばせば触れられそうな距離です。
一度男女のパフォーマンスの時、女性がわたしに向かって手を伸ばしてきました。
カーテンコールになったら撮影OKです。
これは、画像のバランスブロックをしている女性。
信じられないくらいの脚の長さで、まるでバービー人形。
しかも、演技で鍛え上げられていて全く無駄のない体です。
肘から先が演技の時に恐ろしいくらい筋が浮き上がり、
とても女性の腕には見えません。
双子のパフォーマー。
ブランコの上で双子ならではの演技を見せました。
一番驚いたのは、足首を曲げただけでブランコに逆さにぶら下がったとき。
冒頭画像の、自分の体にロープを巻きつけて回転する演技の人。
ご覧のように男性は皆ものすごい体をしています。
鍛えた肉体と言うのはそれだけで芸術品のよう。
モヒカンのカツラ着用パフォーマー。
この人は、立方体の大きなチューブを自由自在に回転させる人。
エリス中尉に手を伸ばしてきた二人組。
女性は下着そのまま、男性もその時はパンツ一枚。
絡み合いそうで女性がするりと逃げる、という、実にエロティックなショーで、
女性のコスチュームからもお分かりのように、これは
「夜のサーカス」。
「ダークサイド」という文句がタイトルについているように、雰囲気は
なかなか怪しいものがあります。
この女性はパンフレットによるとロシア系ですが、出演者の中では小柄、
胴が短く、よく見る体操選手そのままの体型です。
間違いなく体操出身のパフォーマーではないかと思われました。
この二人もすごかったですよ。
円形のテーブルの上でローラースケートで高速回転、
二人ですから最初はぐるぐるとまわるのですが、そのうち
女性が男性にスケートを穿いた足だけ肩にかけたり、
振り回されながら態勢を変えたり。
最もスリリングだったのは、二人が首にロープをかけ、
男性は手を放し、女性は後頭部でロープを支えて高速回転した技。
ちょっとでも態勢が狂い、ロープがのどにかかった瞬間、
女性は間違いなく即死です。
あまりの恐ろしさにきゅっと心臓が縮みました。
人間のすることですからサーカスの事故、死亡事故は時折あります。
シルクドソレイユでも、ブランコなどで事故があったことがあるそうです。
絶対に大丈夫ではないからこそ、サーカスはエキサイティングなのです。
MC、この一座の「クラウン」です。
客を引っ張り出して弄るパフォーマンスに観客大喜び。
引っ張り出す人に事前に了解を取っているのかどうかは謎です。
あるいは「仕込み」もあるのかな。
パフォーマーが「太極」と漢字で書き、太極図のついた扇子を持って出てきたとき、
「それはどちらかと言うと、中国でしょ?」
と若干のピントはずれに少しがっかりしましたが、
巨大な風船の中で首だけ出して中で着替え、
「日本」と日の丸の書かれたシャツになって出てきたときには拍手喝采。
カーテンコールで練り歩く出演者たち。
その完璧な造形の肢体が人間技とは思えない演技を披露するたび、
「鍛え上げられた人間の体とは、かくも美しいものなのだ」
と、神様の作り上げた極上の作品を今目の当たりにしているような、
実にありがたい気持ちになってしまいました。
「夜のサーカス」だけあって、女性はほとんどのパフォーマンスを下着や、
セクシーなガーターベルトなどつけて行い、彼女らの肉体がもし
演技者のそれでなければ、目のやり場に困るようなエロティックなスタイルですが、
そこはサーカス、男女共に、実にセクシーではありましたが、
卑猥にも淫靡にも思えませんでした。
三人で帰りの車の中、口々に興奮しながら感想を述べ合いましたが、
わたしが
「みんな、あんな退廃的な格好して演技してるけど、
実はものすごく節制して健康的な生活してるんだろうね。食べ物とか気を付けて」
というと、二人とも「そうだろうなあ」と深くうなずいていました。
プログラムを購入したら、演技用のメイクを取った彼らの素顔は、
実に健康的でまるでスポーツ選手やバレリーナのよう。
どこか暗い世界のようなイメージがサーカスには昔から付きまといますが、
現代のサーカスは、パフォーマーもププロの肉体労働者として、そして
アーティストとして厳格な自己管理とそして誇りのもとに行われているのです。
品川プリンスのクラブEXでのショウは26日までということですが、
イクスピアリのシルクドソレイユもぜひ観てみたくなりました。
サーカスらしい「狂気」を感じるクラウンの一瞬の表情。