東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利・運動科学研究室長の著書『やってはいけないウォーキング』(SB新書)が、発売後3カ月で7万部を突破するなど反響を呼んでいるそうです。
その内容は、これまで多くの人が健康にいいと信じて疑わなかった「1日1万歩」が、実は寿命を縮める可能性もあるという衝撃的なものだということです。
そこで今日は「一日一万歩」についてマスコミの報道からご紹介します。
健康意識の高い人ほど、「毎日1万歩、歩けば健康になる」「歩けば歩くほど健康になる」などと考え、家事や散歩などを通して積極的に歩こうと励んでいます。
確かに、健康目標として「1日1万歩」は一般的に広まっていますが、そんな世間の“常識”に「NO」を突きつけたのが前述の東京都健康長寿医療センター研究所 医学博士の青栁幸利さんです。
報道によれば、「実は、1日1万歩以上歩いていても、健康を害してしまうことがある」と青柳さんが語っています。
例えば、ある旅館の、77才になる女将さんは、毎日1万歩以上歩いていたにもかかわらず、骨粗しょう症になりました。
何故かと言うと、女将さんが歩いていたのは館内だけで、しかも着物を着ているため小股で歩いており、歩数は多かったのですが、歩き方の“強さ”が足りなかったのだそうです。
青柳さんによれば、充分な強さのない静的な動きの場合、疲労しやすくなり、骨や筋肉に刺激が少ないので、骨粗しょう症や要介護になるリスクの高いロコモティブシンドローム(運動器症候群)になる危険性があるということです。
さらに、70才のある男性は、毎日愛犬の散歩をしていたにもかかわらず、うつ病を患ってしまったといいます。
その男性は犬の散歩で疲れてしまい、それ以外の時間はソファで横になって過ごしていたそうで、「自分は毎日散歩している」という思い込みで安心してしまい、実際には日々の運動量が不充分で不調をきたしてしまったのだそうです。
このように、「1万歩、歩いているから」「毎日歩いているから」という自己判断はアテにならないということです。
青栁さんは、自身の故郷・群馬県中之条町の住民5000人に協力してもらい、身体活動計を装着して15年間、24時間365日、行動を調査した結果、健康寿命がグンと延びる究極のウオーキング法を発見したそうです。
博士によると「正しいウオーキング法は、『歩数』と『運動強度』という2つの観点から考える必要があるということです。
強度とは、重力に逆らって上下運動する際に起こる刺激のことで、これが、骨密度や筋肉量の維持に大きな影響を与えます。
中之条町の住民の膨大なデータを分析したところ、理想的なウオーキングは、ずばり1日の総歩数8000歩、そのうち20分間は中強度の歩行をすることだということです。
「中強度の歩行」とはどれくらいの強さなのかというと、“なんとか会話ができる程度の速歩き”のことです。
鼻歌が歌えるくらいの状態だと、遅すぎるし、競歩などのように会話ができないほどの歩き方だと速すぎるようです。
ウォーキングの場合、どれだけ歩いても疲れていなければやり過ぎではなく、反対に歩き終わったあとや翌日に疲れが残っている感覚があればやり過ぎだそうです。
正しいウオーキングを行えば、要介護生活、うつ病、認知症、脳卒中、心筋梗塞などの心疾患など、万病の予防が期待できると言うことです。
更に青柳さんは40歳を超えたらジョギングをしていた方はウォーキングへ移行し、1日1万歩いていた方は歩数を減らすとともに、生活の中に「中強度の運動」を組み込むことが長生きするためには必要だと締め括っていました。
わたしは毎日早朝ジョギングをしています。
青柳博士のお話では、40歳を過ぎたらジョギングからウォーキングへの移行のようですが、現時点ではそのつもりはなく、疲れが残らない程度に続けようと思っているところです。