東北各地の古民家を見て歩くうち、
秋田県では、「日本海中部様式」という形態の民家が多い。
という記述と巡りあいました。
下の写真のような古民家様式。
写真は国営みちのく杜の湖畔公園にある秋田の古民家。
寄せ棟の主屋に対して、左右に突き出すように三角屋根がせり出していて
どちらも、玄関口になっています。
まぁ、典型的には農作業のための土間玄関と、
ハレの玄関を左右に分けてあるかたちなんだそうです。
こういう典型的なかたちの民家って、あるのかなぁ、と
心がけてみるようにしていました。
で、先日の角館の取材に向かう道すがら、発見したのが、
上の写真の住宅。
古民家というよりは、むしろ30年くらいの建物のように感じますが、
プロポーションとしては、あきらかに日本海中部様式。
寄せ棟から三角屋根が左右からせり出すかたち。
その真ん中に、やや大きく繁ってきた庭木が植え込まれているのも様式的。
変遷を重ねてきたというよりも、最初から2階建てで
このプロポーションを意識して建てられたものと推測できました。
想像を働かせれば、
たぶん、下の写真のような古民家住宅に住んできた記憶をたどって
施主さんが、この形態を家に求めたものか、
あるいは伝統的な家づくりを行ってきた大工さんが、
建て主さんに勧めたかたちであるのかも知れません。
屋根の素材であるとか、2階建てである点など、
近代的な建物でありながら、
全体のデザインプロポーションとしては、みごとに様式的。
こういう発見をすると、頑張って伝統的なものを守ろうとしていることが
わかりやすく伝わってきて、
その心意気のようなものに、打たれます。
取材出張での、ほんの一瞬の出会いなのですが、
はるかに名も知らない建築の作り手から、
まっすぐに伝わってくるようなメッセージを感じます。
このように考えれば、たしかに住宅も十分に公共財的な側面があると思います。
みなさん、いかがでしょうか?