三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

集光のための高窓

2008年03月23日 07時13分47秒 | 住宅性能・設備

写真は弘前市内の住宅。
ガルバリウムと木張りの外観が特徴的ですが、
高い位置にあるまるでぼんぼりのような窓が面白い。
夜になって室内に照明が付けられると
まるで、街路照明のようにも機能しそうで、街並みにエッセンスを加える。
外観というのは住宅を造るときに、
当然ですが、外界との関係性を表現するもの。
そんな意味でこの家を見ると、たぶん、こころがやすらぐ印象を持つ。

でも、どうしてこんな形になったのか、
ちょっとそのわけも知りたくなります。
で、この高窓のある方角は南側に面しているのですね。
南側というと、いちばん大きく開口させて
光を取り込んだり、太陽のあたたかさを取り込んだりしたい。
でも、この家では、こちら側に面して大きな団地が建てられているのです。
しかも、手前の道路もけっこうな通行があって、
大きく開口させて、というようにはできにくい。
まぁ、あまり考えられていないプランの場合、
こんな条件でも平気で大きな開口を開けているといういただけないケースもあるのですが、
やはり、きちんと設計者が考えているこの家では、そうはできない。
そこで、このように採光・集光を思い切って大きな開口を
採用しているけれど、でも視線的には外部から
内部の生活空間を遮断させているのですね。

内部に入ってみると、この高窓からさんさんと陽光が降り注いでいます。
しかも、暖房装置はこの家では1台のFFストーブなのですが、
それを内部では階段スペースにしているこの高窓スペースの下部、
土間空間に半分、入れて設置しているのです。
ですから、冬場にはこの3層分の大きな空間全体が、
あかるさと、暖かさの両方を満たすような空間になっているのです。
そう、「ひだまり」のような心地よさを持った空間になっているのですね。
そしてその場所に面してほぼすべての居室が配置されているので、
たいへん求心的な家の真ん中、的なスペースになっている。
あたたかくて「家庭的」と呼ぶにふさわしい雰囲気のある空間。

敷地の条件を色々に検討しながら、
ユニークなひとつのアイデアに集約させながら、
一気に色々な問題点を解決しようという、なかなかに力量のあるプラン。
寒冷地住宅としての基本もしっかり抑えているいい計画。
こういう家に出会えるのは、とても楽しいです。
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