昨日の夜は当会の月例会
今月は鳥居先生からの症例検討会として、外科関連の症例が提示された。
前半は、インプラント外科での麻痺について症例が提示され
麻痺に関する知見と考察が提示された。
後半は、癌への放射線治療が及ぼす顎骨への影響について
症例を交えて、その考察が提示された。
前半も後半も注目すべきことは、彼の卓越した外科手技であるが
それにあわせて原因の考察のすばらしい着目点であろう。
インプラント治療ありきの治療計画に、警鐘を与えるよい症例提示であった。
内容が実際の臨床で遭遇したときに悩みそうなものであるため
ディスカッションも非常に盛りあがった。
ここ最近、個人的には仰天する歯科界事情をきいた。
厳格に決められた労働時間と休日の話は以前から知っていたものの、
近年は、歯科助手や歯科衛生士などのコ・デンタルスタッフを雇用する場合、
スタッフらのスキルアップや知識向上のために講習会や学会に参加させるなら
その参加登録費が必要な場合、それを医院側が負担するのは当たり前だが、なんと別途で
当人に日当や交通費を(もれなく代休を与える場合も)支給する必要があるらしい。
これは勤務する歯科医師に対しても同様らしい。
なんてこったな時代になったものである。
とある歯科医院の院長が私にこぼした愚痴
その医院に就職して間もない若い歯科医に対して
「〇×講習会、費用全部だしてあげるからこの日曜日に行く?」ときいたら、
返ってきた最初の返答が
「翌日は仕事休んでいいですか?」、、だったらしい…
最初に出る返答はこれじゃないでしょ!っと、ツッコむ気も失せる思考である。
この類の思考回路をもつ者は、ほんのごく少数しかいないと信じたい。
労働時間や給与、休日、有給休暇などの労働者にとって
悪い言い方をすればユルユルになってしまった雇用待遇条件…
つくづく思うこと、
自戒や苦境なくして、プロ意識や自己啓発という意識が本当に発展するのであろうか…
自身にとって壁が立ちふさがるとき、容易に根をあげてしまう要因となるだろう。
今風にいえば「めんどくさいことはイヤ」である。
そして当たり前となっているこの歯科医院事情、
必然的に起こる現象、、、これらの費用を含めるため、売上を伸ばす医院経営である。
大きい規模の医院で働く勤務医の何人かが、私に悩みを相談してくることが多いが
その殆どの理由が、「売り上げをあげろ」「保険より自費をすすめろ」と
経営者から強く要請されるらしい。そもそも、勤務医に配当されるような症例では
無理があるし、良心が痛むという嘆きも多い。この様な類の相談、なんて答えればよいか、、
経営者の気持ちもわかるので、患者ともよく話合い、
患者と経営者、双方の妥協点をみつけた方がよい、としか助言しようがない。
ただ勤務医は、自由診療を行う場合、自信と患者に高い満足を得てもらうために
高い水準の学識とスキルを身につけるための相応の努力が必要である。また自分を追い込む必要もある。
ユルユルの雇用環境では、ユルユルな(安易な)思考のもとでしか医療は提供できないと思うが…
そもそも大きな規模の医院を構えるということ自体が、増収増患のために、広告費やグーグルなどの口コミ評価をあげてくれる会社への出費等
本来不必要なことや、スタッフ教育のための出資などなどをしなければならない事態を引き起こすのだが…
私は医療にマーケティングなどは必要ないと思うため、どうしてもこのことが理解できない。
こじんまりとした規模の医院で、来院する患者の口腔内に医院の利益を求めたの眼でみることなく
じっくりと向き合うことを最優先するという考えを何故もてないのだろうか、、
器材や材料がいくら技術革新され、先進医療が患者に提供できるようになったとしても
皮相浅薄な歯科医が先進医療を掲げ、それを増収に利用した結果、治療後の予後において
トラブルが多くなっている事実は否定できない。
昨今浸透してしまった医業に対する向き合い方(働き方)では、医療の本質に回帰することは困難であろう。
便利な世の中というものは、大切な精神を封殺しまうことを我々は注意しなければならない。
昨日はPGI名古屋の月例会。
今年最初のテーマは歯科と歯科技工について。
現在の歯科界では殆ど触れられていない観点から問題提起をあげ、その整理を行い、
現代の我々歯科医が持つべき教訓についての話。
今回は技工士さん寄りの話が多かったため、技工士さんの参加も多かった。
2017年くらいに当会で技工士さん向けに行ったアンケートも参考に、
技工士の苦悩についても触れ、歯科医においてはDDSの呼称についても
その由来からみる歯科医師の気質と誇りから医療人としての本質を見直す内容など
修了時刻を30分以上も超過してしまったが、まだ時間が必要と思われる内容であった。
歯科医療の本質を見直す内容、20~40代の先生にはどこまで響いたのか
気になるところであるが、それなりに充実した月例会であったと思う。
因みに今年のセンター試験、色々用事が多くじっくり問題に向き合う時間がとれないが
少し目を通したが、去年より難しそうだ…
同級生の息子さんが今年受験しているとのこと、志望大学に合格されることを祈念する。
皆さま 新年あけましておめでとうございます
元旦早々、北陸での震災、翌日の飛行機事故といった波乱の幕開けとなった新年ではありますが
被災された方々へはお見舞い申し上げるなか、皆様におかれましてはご多幸に恵まれることを祈念申し上げます。
さて、新年最初の記事は症例を提示する。
症例は、71歳男性 主訴は前歯の差し歯が何回もとれる、であった。
右上3のポストコアごとの脱離が装着時から頻繁に起こるため、当院を紹介されて受診。
口腔内を精査したところ右上1部も失活していた。(後に根尖付近より破折していることが判明)
このような問題がみられる場合、皆も周知の通り、動的な咬合によるものとすぐに理解できるであろう。
では、この動的な咬合の問題と、それを考慮した咬合治療をどのように行っていくかが、我々の課題である。
私は当院での通法の咬合治療を最初に行い、右上3の暫間補綴が脱離してこないことを確認後
出来る限り義歯を避けるために、左下8を右下6部に移植を行い、
左右第一大臼歯までの咬合関係とした。
右上1に関しては、口腔外で破折部の修復を行い再植を行った。
その後、機能と咬合位の安定を3カ月ほど経過観察して、最終補綴を行った。(移植処置以外は全て保険診療にて処置)
患者さんからは非常に高い満足を得られた。
画像容量の関係上、術中や部分の写真は割愛するが術前術後の資料を提示する。
この様な欠損様式の場合、理想はインプラント治療である。
しかし、患者さんの経済的背景によりインプラントが行えないことは多々ある。
私は患者の年齢に関係なくデンタルローンを組ましてまで、術者が考える治療を提案することはしない。
妥協的な範囲の治療でも、審美的要求がなければ、食事が満足にできる環境を提供すればよい。
つまり重要なのは顎生理機能の改善を行っているかである。それに関連した
下顎に移植を行い、上顎に部分床義歯を行った(逆の選択をしなかった)のも、私なりの理由がある。
皆さんならどのような治療計画を考えるだろうか
ここのところ何かにつけて忙しく、ブログを更新できずにいる。
久しぶりに症例をのせておく。
症例は60代男性、所々歯がしみることと、かみ合わせに違和感があることが主訴。
この様な主訴がある症例は、すぐに疑うべき病態に対して診査を行う必要がある。
ただこの時我々が念頭におくことは、既成概念にとらわれない診査を行うことである。
どういう意味でいっているかは分かる人には分かるであろう。
私は私が通法で行っている診査から、まず主訴の咬合違和感に対して対処を行い
知覚過敏様の症状は経過注視しながら、私の考える処置を行っていった。
(Hys症状に対して『しみ止め』なるものを塗布しても何ら意味がない)
術前・術後の写真を提示する。治療の選択肢は色々あり、歯科医によっても
判断は大きくことなるであろう。
私が症例に対して、どう判断して、何故このように行ったか、想像を膨らませて考えてほしい。
ちなみに今年の一文字は「税」
まさしく我々にとっては大問題であるため適切な一文字であろう。
現首相は就任したとき「国民の声」をよく聞くという評判であったはず…
もう全然聞いていないことは皆周知していることであるが、世間に烙印をおされているのに
なぜにそれを真摯に受け止めようとしないのか、もはや我々の理解できることではない。
不信任案も否決されたが、否決する議員達にも相当問題がある。
権力とは恐ろしいものである。それに甘んじている徒もいるからタチが悪い。
議員さん達にとって国を考えた政策は、自分たちの利権、権力の保持であり
そのための思惟は国民のことは何ら含まれていない。
幕末の時世なら、とっくに天誅が下っているだろう。
「衣食足りて礼節あり」というが、議員さん達は衣食が充分足りてるのに
国民に対してここまで礼節がないことを、私達が諦観してることに動じないその思考は
国民は従うだけの存在と思っている所以であろう。
なぜ自民党支持率がまだ25%もあるのか信じられない。
れいわ新選の山本太郎氏を応援してる私である
ここ最近、やることが異常に多くすっかり更新を忘れていた。
さて、先週末は名古屋にて師匠(西川洋二)による顎機能障害に対する治療でも
顎内障の捉え方とその治療の解説が行われた。
治療において必要な概念と手法、実際の治療手順が、症例によって
解説されていたため、参加された先生方はその内容が理路整然としたものであるため
ただただ納得するばかりであった。
朝から夕方まで、非常に内容の濃い勉強会であった。
師匠には名古屋までご足労いただき感謝です。
参加された皆さん、お疲れ様でした。
昨日は当会のzoom月例会、本年度最後の月例会の担当は松井先生。
テーマは「開咬について考える」
不正咬合の中でも開咬にトピックスをあて、小児期の開咬、成人の開咬と分け
矯正治療による後戻りのある症例について、その原因が舌癖などの習癖なのか
その他の要因について、非常に多くの症例から考察されていた。
内容的に大きな学会の講演レベルのものであり、非常によかった。
当然、ディスカッションも盛り上がり、年度締めくくりにふさわしい内容の勉強会であった。
追伸:国会議員の給与増額の法案が衆議院で可決された。
現内閣に対して批判的な議員も結局は、自分たちのことしか考えてないのね…
総理が変わったとしても、色々決まった増税の法案は覆らない。現与党が政権握ってる限り
日本の腐敗した政治は変わらないな…
先週末は、PGIの代表・西川洋二先生に名古屋にお越しいただいて
顎関節治療の勉強会が行われた。
アップデートされた内容が多く、例えば
理想咬合における上顎臼歯の機能咬頭が下顎大臼歯のセントラルピットへという理論の盲点や、
抜歯矯正における咬合接触の捉え方などの概念、
レントゲン画像による判断できる知見で殆ど知られていない点など含め、提示された症例群は
特に口腔外科医や矯正医にとっては衝撃を受ける内容であろう。
それゆえ今回は50~60代のベテランの先生方の参加も多く
この西川先生の概念が、いかに臨床において重要なのかを意味している。
ちなみに師匠(西川洋二)が名古屋駅の人混みみて
今日はなんか大きなイベントがあったのか? と
いや最近こんなんです、、 名古屋駅の混み方、最近ほんとひどい
昨日は愛知学院で行われた補綴歯科学会のプロソ23に参加。
大会長である近藤教授とは以前より親交があり、
教授から当会のメンバーにも参加をよびかけてほしいと連絡があり
数名をつれて参加してきた。
学会はすっかりデジタルの内容が主流になり、
その進化も驚くものであった。
歯科界もやがてAIにとってかわられるのではないかと
思うほどのデジタル化で逆に不安になる。
ペリオのセッションでは術者のテクニカル的な話があり
参考になることも多く、またこの様な学会に参加することで
現在の歯科の潮流を肌で感じることも刺激にはなりますね。
先週末は名古屋にて、私の友人である野寺先生による
矯正治療の勉強会が行われた。
顎生理機能を考えた矯正治療について、学術的な概念を整理され
多くの臨床例から参加者に解説をしてくれた。
今さかんに行われているマウスピース矯正の問題点を
その事例を通して詳細も紹介されたり、
PGIの概念に沿った矯正治療について、非常にうまくまとめ上げられており
スライド構成は進化していた。
そのため、前日土曜日の夜に朝日大20期生の一部の仲間と同窓会なるものを行い
かなり深酒をしてしまった私であったが、野寺先生の話があまりに良すぎたため、
うたた寝する余裕がなかった。
ちなみに卒業以来会ってなかった同級生や、久しぶりにあった同級生、
同窓会で心の洗濯ができ充実した時間を過ごすことができた同窓生に感謝です<(_ _)>
先週末は名古屋にて当会の秋季例会が行われた。
学会や運動会シーズンと重なり、会員の3割程度の参加ではあったが
充実した例会であった。
午前中は、後藤先生、今枝先生、松下先生、浦田先生の会員発表があり
それぞれの先生方の症例は質が高く、問題提起もしっかりした内容だったので
ディスカッションも内容が濃かった。
皆、スライド構成が申し分なく、見ていて気持ちがよかった。
午後の基調講演は、札幌市開業の太田祥一先生にご登壇いただき
下顎位について、理論の整理と講師の先生が考えるアルゴリズムから
臨床例を通じて丁寧な解説が行われた。
私個人的には得るものは多くあり、非常に楽しく拝聴することができた。
今回もとてもよい内容であった。
先週末は咬合フォーラムに参加するため大阪に。
普段から私に目をかけてくださっている難波先生と石川先生が座長をするため
絶対参加してよ、と難波先生に言われていた学会。
難波先生がお勧めする佐々木先生のご講演は、たしかに非常に良い内容であった。
PGI名古屋のメンバーも7名がフォーラムに参加した。
今回も久しぶりにお会いできた先生方もいて、参加してよかった。
ちなみに新大阪駅の混雑はひどく、蓬莱の焼売を買うのに30分近くかかるし。
移動はやっぱり疲れる。
昨晩は当会の月例会
今月は渡辺健人と稲熊智 2名の先生から症例提示。
渡辺先生からは顎関節症2症例の提示があり
機能運動の診断からスプリント治療での調整法と咬合調整について
症例の問題提起をあげていた。
自身で咬合器にマウントされており、彼なりにいくつかの考察をしていた。
粗削りだが症例に対して実直に向き合っている姿勢が分かる内容であった。
稲熊先生からは、咬合崩壊が進んだ高齢男性への咬合再構成についての問題提起。
近年、彼のスライド構成は非常に質が高く、また考察も洗練されている印象がある。
そして今回も同様であった。
症例はどの先生でも遭遇しそうな、
欠損を伴う咬耗・摩耗が進んだ咬合崩壊が進行している、いわゆる難症例。
歯科医によって治療計画は多岐にわたるので、いろいろな意見交換が行われた。
また私からも、重度の顎関節症に対する治療ステップについて
症例でその手順を提示した。ウェブで先だって提示した症例(Vol.68)の全貌である。
今回も充実した例会であった。
久しぶりに症例を提示する。
初診時6X歳女性 主訴は左上2のジルコニアが割れたとのこと
前医にて包括的咬合治療を約1年前まで行っていたとのことだが
1年ほどで右上2の保険外で行った補綴が破損したことについて、
前医では納得のいく対応をしてもらえなかったため通院をやめたとのこと。
当院を友人に紹介されたとのこと。
実際の口腔内を見させてもらった。
このような補綴物の破損がみられる事例においては、まず最も疑うべき病態がある。
そこで初診時、私は通法で行っている診査を行った所、不定愁訴を伴う
重度の顎機能障害を患っていることが診断された。
そのため当院で行っているスプリント療法から生理的に安定した顎位を得た後
2回目のスプリント治療により、状況の安定を目指し
3回目のスプリント治療によって顎機能の安定の確認を行い、数週間の経過観察後
最終補綴は患者背景も考慮して、必要最小限の部位で行った。
治療中期から不定愁訴の改善がみられ、開閉口運動量や顎運動も改善され、
最終補綴後も安定しており、患者からは高い満足を得ることができている。
通常、当院の診断により軽度の顎関節症と判断されるものは、
非常に短期間で顎機能異常を改善させることができるが、
本症例の様に、重度の顎機能障害がみられる事例は、一般的に用いられる
スタビライゼーションスプリントでの「顎位の模索」なるものを行っても
良好な結果は得られないと考える。
また、他の手法を用い顎の安静を図っても、症状は緩解するかもしれないが
その後、どのように処置していくかが大きな課題である。
当院が使用した1回~3回目に用いたスプリントは、それぞれの目的と定義が違う。
術前術後の添付する写真でどのように判断し、どうアプローチしたか
どうして術者が考えた補綴部位だけにしたか
想像を膨らましてもらえればと思う。
本症例はPGI名古屋の月例会で詳細なアプローチを提示したい。
先週末は師匠の研修会のお手伝いがあったため相模大野に。
咬合第3回のセッションは私が任されているパートがあるが、今回は
けっこう一新した内容を受講された先生方にお話させていただいた。
咬合において、臨床で起こるトラブルの原因についてフォーカスをあて
動的運動の見落とされがちな重要な観点についての詳細を解説した。
皆さんがとても興味深く聞いてくださり、
某材料商の方からも非常に参考になったという言葉をいただき
大雨の中、関東まで行った甲斐があった。
スライドの資料が欲しいと何人もの先生にお願いされたが
中々知られていない内容だけに丁重にお断りした次第。
行きも帰りも新幹線は、すごい混雑。まいった