リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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私の日常臨床 Vol,74

2024-11-22 08:01:25 | Weblog

今回は、左下7の腫れと咬合痛が主訴の症例
歯冠と歯根が破折していたらしいが、
前医では同歯に対して矯正用のバント冠で歯冠を固定して
咬合面からコンポジットレジンで修復していたが
同処置後も痛みは変わらないとのこと。
当院受診時、同歯は動揺1以上あり舌側根尖相当部に腫脹がみられた。
全体的な口腔内診察検査により、要根管治療歯なども多く
問題が多い口腔内であったが、顎機能は正常であった。

主訴の歯に関しては、根破折に対して口腔外で修復して再植を行った。
また反対側7の近心頬側根も口腔外で根切を行い再植を行った。
他部位の歯に関しても基本治療を行い、修復補綴処置を行った。
全て保険診療でカバーできる治療である。

本症例は基本治療による歯の保存が課題である。
また、咬合に関しても慎重な配慮を行っている。
なぜならこの様な事例の偶発症は、口腔内の環境から
曖昧な咬合接触関係では危険ということが一目瞭然と分かる。
このことは左右第二大臼歯の病因が物語っている。
そのため矯正治療が必要な事例と思われがちだが、当院の判断では
矯正治療は患者から審美的要求がないのであれば
まったく必要がないと考える。これにも明確な理由がある。

もし治療プランとして
・下顎両臼歯を抜歯してそれぞれにインプラント
・矯正治療を行い、犬歯ガイドによる臼歯ディスクルージョンを獲得する
といった治療を行うのであれば、オーバートリートメントである。


2024年11月12日 PGI名古屋月例会

2024-11-13 06:30:16 | Weblog

今月のzoom月例会は前岡先生が担当
力のコントロールについて苦慮した症例の10年間を追った内容。
演題の内容よりも驚いたことが、基本治療の質の高さであった。
卒後3年目の時から考えた病因とそれに対する処置の
丁寧さは若手の先生へのお手本だけでなく、
惰性の臨床を行っている歯科医への警鐘になる内容であろう。
討論も非常に盛り上がり、本年度最後の月例会に
ふさわしいプレゼンであったと思う。


2024年11月10日 顎内障の勉強会

2024-11-11 07:37:53 | Weblog

先週末は当会の勉強会
私の師匠、相模大野開業の西川洋二先生による
顎内障がテーマであった

今回は開咬の症例を、矯正治療を考える前に
まず試みるべき処置についてきめ細かい説明が
一番最初にされていた。
この西川式治療法は間違いなく学術の世界、
特に矯正の分野では衝撃的な内容である。

この鮮烈な内容のあと、顎内障の知るべき知見と
対処法についても分かりやすくご解説いただいた。
今回も非常に充実した時間であった。