リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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咬み合わせの科学44巻1号

2024-08-31 07:55:59 | Weblog

今月の学会誌に私の寄稿が掲載されている。
これまで多くの学会や講演会で、演者の講演内容を拝聴してきたが
歯学史や原典の引用を提示されていることが結構多い。
しかし、提示されていた原典や歯学史の系譜などの内容に疑問が多かった。
また何年か前からPGI名古屋の勉強会で、メンバーにいろいろ
正しい歯学史などについて話していたこともあり
私が参加していない講演会や研修会で同様のことがあったと
メンバーから聞くことが多かった。
そのため、未だに曖昧に扱われている歯学史というものを
明確にした方がよいと考え、そのきっかけとなれば、という思いで執筆した。
本当はまだまだ記すべき重要な事柄はあったが
投稿文字数の制限があったことが心残りであった。

掲載直後に、数人の諸先輩からご連絡をいただき
感想と高い評価を受けたことは、私自身が驚いた。
しかし大変光栄であり、寄稿してよかったと思う次第。

30代40代の先生方、特に講演をよくされる先生方には
元を正す意味もあり読んでいただきたい。


2024年8月19日 コンポジットレジンと接着

2024-08-19 07:33:39 | Weblog

先週末は当会の勉強会。
友人である須崎明先生から主にコンポジットレジンと接着について
臨床に非常に役立つ話をいただいた。
最新の知見や否定されたことなど、多くの大学と交流のある須崎先生ならではの
そして今年もアップデートされた貴重な内容が多くあった。
CR治療のセミナーにいろいろ参加されてた歯科医も
須崎先生の内容が、見る視点、考えなければならないことが
他とあまりにも違うことで驚いておられたが、あまりに臨床的なので
質疑も非常に盛り上がっていた。


私の日常臨床 Vol.72

2024-08-06 08:22:13 | Weblog

あまりにやることが多すぎてすっかり更新を忘れていた
今回は症例を提示しよう。

症例は初診時33歳男性
主訴は崩壊した左上7の痛みと、右下6の頻繁におこる腫脹と
左下の残根部をなんとかしてほしいということであった。

全体的にハイジーンの状態もよくなく、
他の部もカリエスが散見される口腔内である。
治療計画としては、まず基本治療を行い、ハイジーンの改善と維持を確認後
保存が厳しい左上7と左下6部に関しては埋伏智歯の移植、
右下6に関しては再植を行った。
また左下4のC4も抜歯後、このスペースは小矯正で対応した。
術前術後の口腔内とX線画像を提示する。

この症例の考察は、年齢的にインプラントによる治療は早いと考えた。
そして埋伏しているが智歯を活用した移植治療の方が、欠損補綴治療の
選択肢としては優先順位が高いと考える。
また、問診により分かる患者背景(子供さんがまだ小さいので、教育資金など)も考えると
なおさら費用をかけさす歯科治療を提案するべきでない。
この症例の場合は、保険治療で移植が行えるので、
患者の経済的負担はかなり抑えることができた。

当院の臨床実感では、ハイジーンのコントロールが上手くいけば
充分にこの症例は安定すると考える。(右下6は、数年は持たせたい)

欠損部にインプラントをすぐに考える治療計画は
賛成できない私である。。。