リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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骨隆起・骨瘤について

2020-12-28 08:19:07 | Weblog

日常の臨床では、部分的な歯の歯槽骨に骨瘤がみられる事例は少なくないと考える。
また臼歯部頬側、前歯部唇側にも連続した骨瘤がみられることや
上顎の口蓋中央部、下顎舌側に骨隆起がみられる事例もあると思う。
一般的に骨隆起や骨瘤は応力による骨添加によるものと考えられていて
私もその考え方を支持している。
しかし、この応力によるものであるなら、この点について
どう臨床で捉えないといけないかについては
あまり臨床では考えられていない現実があると考える。
骨隆起や骨瘤がみられる症例は経年的に骨添加は続く事例は多く
また骨添加が収束する事例もあると考える。

今回は顎骨に起こる骨隆起よりも
部分的に起こる骨瘤について問題提起をあげたいが
部分的な歯の歯槽骨に起こる骨瘤に対して
何を考えないといけないかは、一般臨床医には必要不可欠ではないだろうか。
2008年以降、骨隆起や骨瘤について、いろいろ観察している私見では
適切な対応を行うと骨添加を抑止でき、
何も対応しなければ骨添加は続く事例が多いと考える。

2018年に私は学会誌に、骨隆起・骨瘤について行った独自の調査から統計をとり
仮説をたて、それを検証し、事例に対する対処まで記した内容の論文をのせた。
私的には、第三者的視点で普段の臨床で遭遇する事例に対して
論文に記している内容を考察したことを行うとやっぱり
自分の記したことは的を得ていると思う所存。。。

論文の内容の視点で、みなさんも見ていただければ
何かお役にたてるかもしれません。

論文全文を閲覧したいと思う先生がおられましたらメールにてご連絡ください。
PDFでお送りいたします。

2020年も残すところわずかとなりました
皆さま佳い年をおむかえくださいませ<m(__)m>


咬み合わせの科学 Vol40 No3

2020-12-21 12:01:31 | Weblog

今月発刊された日本顎咬合学会の学会誌にPGI名古屋のメンバー
鳥居先生の論文が掲載されております。
当会の会員での学会誌への論文投稿は5人目です。
またPGI名古屋としての学会誌への論文投稿は2014年以降11題目です。

学会への論文投稿は査読が近年は非常に厳しいので
鳥居先生は学術的な文章構成にかなり苦労されておりましたが
この論文は読み応えある内容です。
お暇な時間にご一読くださればと願います。


昨今の歯科医療に思うところ

2020-12-06 08:19:14 | Weblog

先だって、使用している総義歯の安定が悪く、新製する必要があった患者に
総義歯を作成するため、前回筋圧形成後のチェックバイトを行っているときに、
突然患者から「保険の義歯ですよね?」と尋ねられた。 
もちろんそのつもりで作成していたのだが、なぜそのようなことを尋ねるのか問うてみると、
以前他院で保険義歯と自費義歯の説明をうけ、適合精度と製作過程の違いによる費用の差が
あったため、費用の面で保険で義歯作成をおこなったらしい。
当院では保険診療で義歯を作製すると初診時に話をしていたのに、
当院の行う製作過程から高額な費用がいるのではと不安になったとのこと。。。

通常、総義歯治療を行う時は、個人トレーの作成、個人トレーにて筋圧形成を行い
無圧印象により作業用模型にて咬合床作成、咬合採得(必要に応じてGOAなどの
顎機能を採得)、試適(必要に応じてリマウント)、完成義歯装着、というステップが
普通である。これは大学で教わった基本中の基本の手技であり、また全ての内容が
保険診療における算定できる項目である。巷ではこのステップが、簡略化されたものが
保険で、精密な作業行程を行うものが保険外診療とされていることが多いみたいだ。。。
精密な作業をしなければならないから、手間暇・時間がかかるから
「この治療は保険外診療」というのはいかがなものだろう。
総義歯治療だけでなく、修復・補綴治療、欠損補綴治療において保険または保険外の
内容というものは使用する材質の違いであって、行う内容は殆ど同じである。
患者側の、歯科治療に対する思い入れ、こだわりで良質なものを求めるとき、
または保険適応外とされている治療を要する場合に自由診療を行うものである。
保険診療・自由診療どうこうという問題に関係なく、目の前の病態に真摯に向き合い、
結果、最終的な修復物補綴物を、何を選択するかは患者の意思を尊重するべきである。
本来の医療の姿はこうでなければならないのでは?
自分を大きく見せる宣伝や、ビジネス化したサービスに特化しても、
自分の技術を過信し高額な治療を患者に勧めて行っても、
メッキはすぐにはがれるものである。どんな些細な治療でも確実に結果をだすことにこだわること。
世間様にアピールするならこっちの方が大事であろう。
誤解しないでほしいことは保険診療にするべきということを述べているわけではない。
医療を行う者のフィロソフィー、医療人としての姿勢を我々は見つめ直すべきであろう。

保険診療を丁寧に行えなければ、まともな自費診療は行えるわけがない。
これは私の確固たる信念だ。