リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

オリジナルHP: http://rikidental.client.jp/

会員発表

2014-09-24 09:00:08 | Weblog
来週はICOIの国際学会が開催され私は会員発表をする。
普段私の関係するスタディーグループのメンバーに
プレゼンテーションの流れと構成において
厳しく指導している関係上、自分自身が1発表者として
プレゼンするときは、発表する緊張とは別の張り詰めた緊張感がある。

ちなみに今回は発表症例にと、考えてもいなかった普段の日常臨床において
ルーチンに記録を撮り続けていた症例の一つをあえて選んだ。
もしこのブログを見ている先生で、ICOIでの私のプレゼンを見てくださる方がいるのなら
私の真意を感じ取ってもらえればと願う。

線引きをしない歯科治療

2014-09-18 08:50:03 | Weblog

『あるがままを受け入れ、決してそれを評価しないこと』(クリシュナムーティ)
自分の目で見て確かめたことだけを書いた『昆虫記』(ファーブル)
同様のスタンスをとった「種の起源」(ダーウィン)
彼らは、自分の考えを決して法則や理論によってまとめたり単純化したりしなかった。
何より「観察」であると。
我々歯科医がそうあろうとするとどうなるのか。
臨床で起こっている事実をつぶさに観察することで大事なことは学べる。
それゆえ「適応症」、「予知性」と称して医療者としての
保身となる線を可能な限り引かないこと。
出来る限り歯を残したいということを患者が真に望むならそれに無限の努力をすること。
このことは何の保障もないので悩むこともあるが、
そこに臨床医としての面白さ、楽しさ、進歩があるのだ。
そういう姿勢でいれば、万一上手くいかなくてもそれがトラブルになることはまずない。

このエッセイは西東京市開業の押見一先生の書いたものである。
昨今の歯科界への警鐘であるこのお話。素晴らしい考え方である。

欠損があるから、予知性が乏しいから歯を抜いてインプラントだの、
アンチエイジングを考えた審美治療だの、
金属アレルギーを予防するために、やれメタルフリーだの、
全ては医療側の利得からくる保身の表れではないだろうか。
例えば金属アレルギーを予防するためにっていっても本当に金属アレルギーが
ある患者ならまだしも、来る患者すべてにそんな話をしても、
歯科の歴史をみると問題とされている金属修復を何十年も口に入れてる人で
健康極まりない人は数え切れない程いる。
我々臨床家の使命とは、線引きをしない歯科治療であり、
個々の患者においての生体のあるがままの状態を受け入れ、
その中で歯をできる限り少しでも長く残す努力をすることである。
それは洗練された地味な基本手技の集合体によってのみもたらされる。
私は地味な医療こそ本来の医療であると信じてやまない。

押見先生の名言には他にも、
「名刺交換?必要ないよ。先生の症例を見たい。レントゲンだけでも
  先生の臨床に対する姿勢や性格、すべてがみえるもんだよ。」 と、
特に押見先生はレントゲン画像にこだわっている。
術前術後のレントゲン写真だけでもその治療の流れや質や難易度などは
見えてくるからである。
ちなみに提示する2症例、術前術後のレントゲン画像所見だけでもプレゼンはできる。

顎関節症患者の咬合治療

2014-09-01 12:17:34 | Weblog
顎関節症を患っている口腔内において特に顎内障の場合、
症状を改善させたあと、補綴処置が必要なとき、
その咬合位を反映した処置をしていかなければならない。
しかし補綴箇所に最後臼歯が関わる場合
顎位保持に対して注意が必要である。
今回提示する症例は顎内障の患者の一症例であるが
テンポラリーレストレーションに移行する時にとった資料である。
あえてこの事例の理由は解説はしないが、気づかないで
咬合採得を行なってしまえば同じ症状の繰り返しとなる。

治療において観察する集中力と一つ一つの手技は
常に油断してはいけないことを示唆する特徴的な事例である。