リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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私の日常臨床 Vol,46

2020-11-25 08:03:45 | Weblog

今回の症例の問題提起は治療計画について。
主訴は左下がしみていたい、かみ合わせがしっくりいかない
ということであった。
以前、同主訴で他院に受診し、精査を行ってもらったところ
中程度の歯周病と顎関節症もみられ、包括的な咬合再構成治療が必要と
診断されたとのこと。後日いくつかの治療プランを提示されたが
そのプランのすべての内容がなぜか自費であり、治療を始めるには
着手金をいくらか納めなければ始めれないといわれ困惑し、
他院ではどのような治療方針を行うか見てほしいと
当院に通院していた患者からの紹介で来院された。

私が行った診断では、軽度の歯周疾患であり、顎外症の所見はみられたが
軽度であった。そこで患者の希望もあり、初診時に当院で行っている通法の
処置で顎機能障害の症状は、軽度であったこともあり完全に改善させた。
初診時に患者の主訴であったかみ合わせの違和感と歯の痛みを
改善させたこともあり、私にすべてを任せることを患者は希望された。
そこで安定した顎機能と咬合位が得られた状況なので、私が考えた
必要部位の介入を行い治療は終わった。

症例を通じて、この記事を見てくださっている先生方に
おこがましいことであるが、私と一緒に考えてほしいことは、
治療計画を説明するにあたり「絵に描いた餅」では患者の術者に対する信頼度と
治療に対する高い協力度を得られることは少ないと思う。
治療を行うにあたり、診断については同じでなければならないが、
治療計画や治療法については、行う術者によって様々である。
ただ、治療計画は患者の希望、背景や年齢なども含め
行おうとしている処置が本当に必要な処置かを十分に考慮した方がよい。
例えばいくつかの治療プランを立てたとしても
歯を抜歯して欠損補綴を行う治療計画と、
その歯を抜歯せずにそのままにしている治療計画を同時に提示すれば
その歯はまだ十分残せることを意味している。
『予知性が低いから抜歯した方がよいと判断』は根拠にはならない。
そういう私も昔は予知性ばかりを掲げ、同じように戦略的抜歯を行った症例が
幾つかあるが、臨床経験を積めば積むほどその根拠に疑問を抱くようになった。
我々歯科医の最大の使命は、歯の温存である。
必要最低限の処置で効果をだすことが歯科医療の本質ではないだろうか。
学術の世界で頑張っている歯科医か否かでも、症例発表の症例として
華やかなフィニッシュになるかどうかの治療計画や、医院の売り上げを
少しでもあげるための治療計画であってはならない。

くれぐれも誤解してほしくないことは、前医のことを非難しているわけでもなく
(昔の私も「その時点での理想治療」を求めることにこだわっていたから)
提示している症例が費用を安く済ませてあげたことを掲げているわけではない。
病態をわざわざ煩雑化せず、的確な診断と適切な処置のもと、
出来る限りシンプルに治療を行うことの方が、
予知性と再介入が必要になった場合、患者も術者も苦労することは少ないと考える。


2020年11月20日 PGI名古屋 月例会ZOOM

2020-11-21 08:07:16 | Weblog

昨日の夜は当会の11月例会。
今月の担当は大林先生と稲熊先生による症例検討会
両先生とも討論が盛り上がりそうな症例を提示してくれたので
勿論討論が盛り上がった。

ZOOMでは集中力があまりでないという話、
当会では毎回そうでもない。
やはり演者の提示する内容で決まると思う。
毎回演者の先生方が提示してくれる症例は、
聞く側のことを考えてくれている内容が多く、
ZOOMの例会を私は結構楽しんでいる。

次回の例会は来年1月。
今度のテーマはトラブルシューティング。


2020年11月15日 PGI名古屋 矯正歯科治療の勉強会

2020-11-16 07:50:57 | Weblog

昨日は銀座開業の野寺義典先生にご登壇をいただき
顎機能を考えた矯正治療についての勉強会を行った。

以前は野寺先生には基本的な矯正治療についてのお話を
お願いしていたが、今回からは全く内容を変え
顎機能を考えた矯正治療において、矯正医がもつべき
咬合、顎機能の捉え方と
成人矯正、小児矯正での具体的なアプローチ法について
ご解説をいただいた。

事前に野寺先生と私で内容の打ち合わせを行ったが
私が希望した以上の洗練された内容であったので
私自身も非常に興味深く拝聴できた。
参加された先生のうち矯正専門医の先生からは
目から鱗の話であったとのお話をうけた。
当会のこの日のためだけに、新たに一から構成された
スライドであったことも非常に嬉しかった。

今回のこのテーマ、
おそらく矯正の世界で、このテーマのコアーとなるものに触れるまでの内容を
まとめ上げたのは野寺先生が初ではないかと考える。さすがである。
とある事情でまだ完成形とはいえないと野寺先生と私の中では
思っているが、昨日の内容でこのテーマの完成形のビューは見えた。


ひとり言・・・

2020-11-07 08:46:09 | Weblog
普段からSNSやメールに歯科医院の経営セミナーなどの
広告がたくさん入ってくるが、最近みたものでやりすぎと思ったものがあった。
『毎月の売り上げが4800万円になる方法』。。。。。
『増患、増収が達成できる広告宣伝のノウハウ』
『患者様にある魔法の言葉を使うと劇的に来患数が伸びる』
などなど、、
ちなみに、知人の歯科医に先だって聞いた話だが、
近年では、来院する患者さんにグーグルで高評価のコメントの投稿を
お願いしたり、その様なコメントを条件に自由診療の費用を値引く
歯科医院があるらしい。

 医療の根幹となるものからかけ離れたびっくり仰天の話ばかりである

よそ様のことをどうこういいたくはないが、
ここ近年、あまりにも歯科界がおかしな方向に行ってしまっているので
このままでは医療が医療でなくなるのではと危惧を抱く。
自分達の切磋琢磨した技術をふんだんに駆使して
個々の症例に対して向き合っていればいいだけの話ではないか??
医療は生体の疾患に対して、健全なものに戻す手助けを行う術がすべてである。
ゆえ誇大広告する必要もなければ、さらに増患を目指す必要もないであろうに。

医院の規模を大きくし、多くの勤務医やスタッフをもつことを
目標にしている歯科医が多いが、大所帯になればなるほど、
経営するために余計なこともしなければならない。
私は自院の規模を大きくするつもりもなければ、スタッフも増員することもしたくない。 
なぜなら、そうすることによって経費を賄うために、自分の理念から逸脱したことを
行ってしまいそうだからである。

一医療人として、医業を行うのであれば、
自分を頼ってくる人達を、皆平等に一生懸命じっくり時間をかけて治療してあげる
それだけでいいじゃんか、、
よくきく宣伝文句の「地域医療に貢献します」をうたうなら尚更であろう…

飲食店でも誇大宣伝せず、決しておごり高ぶらず信念をもって経営している店は
こじんまりしていて店主がすべての料理を作っている。
こういう所は、質素な見た目の料理が多いが
本当に美味しくほっとする気持ちさえ生まれる。
この様な飲食店からも我々は見習うべきことは多いと思う。
ちなみに個人的に本当に素晴らしいと思う、当院から比較的近いお店
奥町の鈴家(うどん) 木曽川の千ごく(らーめん) 大毛の中丸(うどん)
北方の川やす(うなぎ)
私のお気に入りだ

2020年11月1日 PGI名古屋秋季例会

2020-11-02 07:43:49 | Weblog
昨日は当会の秋季例会が行われた。
午前中の会員発表は
笠井先生 岸本先生 松永先生 松下先生が症例発表をされ
発表者全員がインプラント補綴による咬合再構成の症例を提示された。
今回もディスカッションが盛り上がった会員発表であった。

午後からの基調講演は、東京都・新宿で開業の林揚春先生にご登壇いただいた。
「無駄のないインプラント治療」という演題にて
様々な欠損に対するインプラント治療について、
一般的に行われているインプラント治療の盲点と問題点の提起から
効率のよいインプラント治療についてご解説をいただいた。
理論的にも提示された症例からも、非常に納得ができる内容であり
私自身も非常に参考になったお話であった。
参加された先生方も、かなり勉強になったと思う。

次回の例会は2021年6月6日です