リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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私の日常臨床 Vol.59

2022-04-27 07:39:34 | Weblog

今回の症例は33歳女性。
上顎両臼歯の慢性的な鈍痛と、目の下のこわばりとほてり感が主訴であった。
当院に通院していた患者さんの紹介で来院。

初診時口腔内所見では一見何も問題が無い所見で、ハイジーンも良好な口腔内。
顎運動は開口運動時、右顎関節にミドルクリックがみられ最大開口量は44㎜であった。

この症例において私は、私が疑っている症状に確証を持つために
スプリント治療を始めに行っていった。
スプリント治療によって症状が軽快したことを確認できたため
スプリントによって分かった咬合の問題点に対処を行ったところ、
主訴であった症状は完全になくなった。
この時点ですでにクリックも消失し、顎運動も非常にスムーズになっていた。
あとは個々の歯の問題に対して処置してあげるだけでよい。
一見難しそうな症例であるが、見るべき疑うべきものへの診査と診断を
的確に行っておれば、何ら難しい事例ではない。
スプリント治療と咬合治療、その後の修復処置はすべて保険診療で行った。
術前術後の提示している写真でいろいろ想像してもらいたい。

ちなみにこの様な事例は
病態に対する捉え方へ慎重に向き合っていれば、
原因解明を行うために、あれこれいろいろな診査をする時間と労力は必要なく、
何を省けるか、どのようなアプローチが近道か大体分かるものである。


2022年4月12日 PGI名古屋月例会

2022-04-13 08:16:55 | Weblog

今月の当会の月例会は鳥居先生による論文検討。
インプラント治療を得意とされている先生なので
インプラント関連の内容と思いきや、ペリオと咬合についての内容であった。
内容としては、咬合性外傷について歯周組織病変との関連を
論文を基にご自身の臨床例を考察した内容を述べられていた。
ご自身の症例に対する考察と結果については
よく考えられており、参加された先生方には
参考になる部分が多かったであろう。

来月は前岡先生がパネラー
基本治療についての話
非常に楽しみである


私の日常臨床 Vol.58

2022-04-05 08:03:18 | Weblog

けっこういろいろ忙しく、更新すっかり忘れていた。

今回の症例は、舌のできものが治らなく痛い という主訴の症例
他院でずっと軟膏を塗布し経過を見てもらっていたが
一向に症状が改善しないということで当院を受診された。
初診時の所見では、確かに右側大臼歯相当部の舌縁下に異常所見がみられた。
軟膏を塗布しても症状が改善されないとのことであり、この様な場合
原因は他にあると考えなければならない。
(念のため当院では、総合病院に病理検査の依頼を並行して行った)
口腔内をじっくり観察した結果、義歯による問題が主訴部の大きな原因と推察し
まず義歯の問題に対処を行った。その結果、症状は徐々に改善された。
この様な事例からも分かるように、
歯科では歯周組織ばかり着目して治療を行うことが多いが
口腔周囲粘膜や舌といった組織との調和も考えなければならない。
また、この症例では審美的な観点からノンクラスプデンチャーの義歯設計であるが
私はノンクラスプデンチャーの適応症例は本当に限られていると考える。
この点については明確な理由があり、症例ではこのことも原因の一つである。

本症例は他にも問題が多くあったため、私の考える視点で全顎的な治療を行った。
ちなみに理想治療として矯正は行う必要はないと考える。
様々な視点で歯科治療を行わなければならない症例である。