しばらく更新していなかったが、何冊か小説を読み続けていた。そのうちの一冊が「ギリシャ棺の秘密」である。私がエラリー・クイーン国名シリーズ第4作目であるこの作品を最初に読んだのは、遙か昔の中学生の頃、井上 勇訳による創元推理文庫版であった。当時大変面白かったということと、真犯人が誰であるか(それはあまりに意外であったので)を鮮明に覚えていた。だが、なぜ面白かったのか、即ち話の内容は全く覚えていない。そんな状況の中、このほど刊行された角川文庫版新訳にてこの作品を再読した。
ということで、今回私は犯人がだれであるかを知りながら物語を追うことになったわけだが、結局その者を犯人だと決める確証と説明を見いだすことができなかった。見事に手がかりがカモフラージュされているのだ。それなのに、解決編を読むとなるほどと思わされるのである。真犯人を導く作者クイーンのロジックと犯人を隠蔽する巧妙なレトリックに改めて気づかされた。まあ、私の頭がついていけないからというのもあるのだろうが。
そして、初読の時になぜ面白いと感じたのか、まずこの物語の事件発生舞台が墓地であることが、怪奇趣味とまではいかないがゴシック的雰囲気を醸しだしていること、場面も次々移り変わりサスペンス性が込められている。若き青年のエラリーとその失敗(そのためそれ以降は全貌が確定するまでいっさい犯人の名前は言わないという原則が生まれる)が描かれ、いくつかの仮の解決も用意されている。さらにヒロイン的な人物が登場し、重要な役回りを演じるからである、ということが改めて分かった。そうした要素はここまでの3作品と異なっていて、後味も違う。さらに、恒例の面白解説によると、作品のある部分に作者の謎かけが仕込まれていて、…なるほど!というわけで全く気づかなかった。
角川版のこの新訳はやはり読みやすい。
さて、もう一冊はギリシャとは全く関係のないダン・ブラウンの最新作Infernoである。「ダ・ヴィンチ・コード」で有名なロバート・ラングトン教授の4作目でもある。私はこの本をアメリカ合衆国在住である大学の大先輩から頂戴した。重厚な装丁のハードカバーである。その作りが大変素晴らしい。翻訳が来月下旬に登場するようだが、ほんの少し早く読むことができた。と言ってもまださわりの方である。いつもの意味深なプロローグの後、冒頭突然ラングトンが病院で目を覚ますところから始まりすでにサスペンス感がいっぱいである。大先輩によるとモチーフはダンテの「神曲」で、イタリア語による文章が所々出てくるそうだ。PFM(イタリアのプログレ・ロックバンド)の歌詞しか知らない私にはそこは難関だ。(ただし、日伊辞典は持っているし、スペイン語は勉強したことがあるので何とかなるかも…!?)英書でこの長編を読み切るにはかなりの時間を要しそうなのだが、今のところはストーリーを追うことができている。各チャプターが短いので読みやすいとは思うが、翻訳が登場するまでに読み切れるだろうか、それとも…。
ということで、今回私は犯人がだれであるかを知りながら物語を追うことになったわけだが、結局その者を犯人だと決める確証と説明を見いだすことができなかった。見事に手がかりがカモフラージュされているのだ。それなのに、解決編を読むとなるほどと思わされるのである。真犯人を導く作者クイーンのロジックと犯人を隠蔽する巧妙なレトリックに改めて気づかされた。まあ、私の頭がついていけないからというのもあるのだろうが。
そして、初読の時になぜ面白いと感じたのか、まずこの物語の事件発生舞台が墓地であることが、怪奇趣味とまではいかないがゴシック的雰囲気を醸しだしていること、場面も次々移り変わりサスペンス性が込められている。若き青年のエラリーとその失敗(そのためそれ以降は全貌が確定するまでいっさい犯人の名前は言わないという原則が生まれる)が描かれ、いくつかの仮の解決も用意されている。さらにヒロイン的な人物が登場し、重要な役回りを演じるからである、ということが改めて分かった。そうした要素はここまでの3作品と異なっていて、後味も違う。さらに、恒例の面白解説によると、作品のある部分に作者の謎かけが仕込まれていて、…なるほど!というわけで全く気づかなかった。
角川版のこの新訳はやはり読みやすい。
さて、もう一冊はギリシャとは全く関係のないダン・ブラウンの最新作Infernoである。「ダ・ヴィンチ・コード」で有名なロバート・ラングトン教授の4作目でもある。私はこの本をアメリカ合衆国在住である大学の大先輩から頂戴した。重厚な装丁のハードカバーである。その作りが大変素晴らしい。翻訳が来月下旬に登場するようだが、ほんの少し早く読むことができた。と言ってもまださわりの方である。いつもの意味深なプロローグの後、冒頭突然ラングトンが病院で目を覚ますところから始まりすでにサスペンス感がいっぱいである。大先輩によるとモチーフはダンテの「神曲」で、イタリア語による文章が所々出てくるそうだ。PFM(イタリアのプログレ・ロックバンド)の歌詞しか知らない私にはそこは難関だ。(ただし、日伊辞典は持っているし、スペイン語は勉強したことがあるので何とかなるかも…!?)英書でこの長編を読み切るにはかなりの時間を要しそうなのだが、今のところはストーリーを追うことができている。各チャプターが短いので読みやすいとは思うが、翻訳が登場するまでに読み切れるだろうか、それとも…。