ビートルズのアルバムを50年後の発売日と同じ日に、アナログ盤で聞こうというビートルズ追体験。50年前の1965年3月22日はザ・ビートルズのアメリカ・キャピトル盤アルバム、THE EARLY BEATLESが発売された日である。今回はちょうど日曜日であった先日22日に、手持ちのこのアルバムに針を落とすことができた。
オープニングはLOVE ME DOである。「初期傑作集」とでも名付けられたこのアルバム、キャピトルとしてはデビュー時期の作品をリリースしたい意図があった、というのも、アメリカでのビートルズの楽曲の発売権利は最初はヴィー・ジェイ・レコードというゴスペル専門の会社が持っていたからだ、というのはよく知られた話。つまり、このアルバムでようやくキャピトルはビートルズのデビューアルバムをリリースしたことになった。ただし、ヴィー・ジェイがすでに発売したアルバム(それもジャケットや曲順を変えて4回も)のためファンにはジャケット写真以外新鮮味がなく、売り上げの順位的には苦戦したらしい。
この2年ぶりの新作ソロはコンセプトアルバムである。SWの言葉によるとJoyce Carol Vincentというイギリス人女性が家族や友人がいるにもかかわらず都会で3年間見つからない孤独死を遂げた実話からヒントを得たとのこと。そんな予備情報があったため冒頭の数曲は情念を感じる作品に思えた。しかし後半はプログレ風バンドサウンドが炸裂。シンセやギターが大暴れでソロを奏で、メタル・クリムズン風サウンドの合間にメロウな美しいフレーズが入り込むところがウィルソンらしい。美しさと荒々しさを併せ持つ、いつもどおりの妖しいサウンドで、特に13分に及ぶ9曲目のANCESTRALが聞き所である。