ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

最近のミステリー2冊「カササギ殺人事件」「元年春之祭」

2018年11月27日 | ミステリー小説
 北海道新聞日曜版に書評コーナーがあり、毎回ミステリー小説も含めて多くの本が紹介されている。今月18日付けの記事でミステリー評論家大森滋樹氏の推薦した一冊が「カササギ殺人事件」であった。ちょうど私もこの作品を買って読み始めたばかりのところだった。
      
 この記事によると、「暗号好きの売れっ子ミステリー作家が『最後の作品』としてアガサ・クリスティにオマージュを捧げ、黄金期風謎解きミステリーの傑作をものしたのだ。しかし、『謎は解けた.犯人は…』と探偵が言いかけたところで原稿が途切れている。肝心の結末が紛失しているのだ。」との展開から編集者のスーザンが失われた原稿を探そうとするのだが…、というストーリーらしい。できればこうした事前情報は知りたくなかったが、やはり面白そうではないか。書店で目にした衝動買いの本だったが買って良かったと単純に思う。まだ上巻の探偵が捜査を始めたばかりのところなのでこれからが楽しみだ。

 そして「元年春之祭」。これはこの記事を読んで知った作品。「謎解きに純化している。旧家で起こる連続殺人、密室状況、読者への挑戦(2回ある!),意外な犯人、意外な動機」との大森氏の言葉には読まずにはいられない。書店で探したが見つからなかったのでネットで注文し先日届いたばかりである。「カササギ殺人事件」と同時進行で読んでいる。外国人のカタカナ氏名はなかなか覚えられないのだが、「カササギ〜」の登場人物の名前はほとんどが鳥の名前であるとのことで、割とわかりやすい。一方「元年〜」は前漢時代の中国が舞台なので名前を把握するのに少し時間がかかる。しかし、本作の帯には「ミステリ史上に残る前代未聞の動機。この事件は刀城言耶に解かせたかった。」とあの三津田信三氏が寄せた推薦文と「二度の読者への挑戦が挟まれた、華文本格推理の傑作」と謳っていることでもう期待感が一杯である。中国ミステリに触れるのも初めてなので、とても新鮮な感覚で読み進めている。

 クイーンの国名シリーズやカーの作品紹介以降、本ブログでミステリーについて記す機会がなかったが、実は色々読んでいて、また買ったけれど未読の作品も多い。その中真っ先に読んでみたい作品に出会ったことに感謝しつつ、冬の夜を過ごしていこう。

・「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ、山田 欄・訳(創元推理文庫)
・「元年春之祭」陸 秋槎、稲村文吾・訳(ハヤカワ・ミステリ)

50年後のザ・ビートルズ追体験〜11月22日は「ザ・ビートルズ(通称ホワイト・アルバム)」

2018年11月22日 | ザ・ビートルズ
 50年前の今日、イギリスにてザ・ビートルズの2枚組アルバムが発売された。前作のMagical Mystery Tourからほぼ1年ぶりの新作であった。その通称「ホワイト・アルバム」を今レコード盤で聴いている。
        
 ホワイト・アルバムは1968年11月22日に本国英国にてリリースされた。当時の私は小学生で、自分がこのアルバムを購入したのはそれから2〜3年後の中学生の頃だった。その時にはキング・クリムゾンやイエスなどプログレ大好き少年だったはずだが、ビートルズ・ファンにもなっていた私は2ヶ月分の小遣いを貯めて何とか手にした記憶がある。しかし、知っていた曲はOb-La-Di Ob-La-Daくらいで、アルバムを通して聴いた最初の印象は短い曲が多くて何かまとまりがないなという感じだった。それでも、特にポールの作ったI Will、Martha My Dear、Mother Nature’s Sunなどはすぐ好きになったし、各サイドに1曲ずつ入っていたジョージの曲も気に入った。そして何度も聴くにつれ、そのI WillとWhy don’ we do it in the road?のポールの歌声があまりにも違うことに驚いたり、Rocky Raccoonのメロディが妙に耳に残ったり、BirthdayやEverybody’s Got Something…のロック調のリズムが体に染み込んだり、リンゴが初作曲したDon’t Pass Me Byのカントリーさを面白いと感じるなど、徐々にアルバムの楽しさや良さがわかってきた。その中であえて一番好きな曲をあげるとしたらGood Nightだろう。自分はポール派だと思っていたが、この曲はジョンの作曲。ゴージャスなストリングス・サウンドとリンゴの渋い歌声に魅了された。しかし、何だかよくわからないRevolution #9もジョンが作ったということがわかりビートルズの奥深さを知ったのはずっと後のことである。
          
 今思うと、サージェント・ペパーの「総天然色」から「真っ白」になった(中身のポスターはサイケデリックな側面もあるけど)訳は収録された曲に現れているのではないだろうか。ビートルズのメンバーは68年2月頃からインドの瞑想キャンプに赴きそれぞれが曲を書いた。同行したドノバンからアコギを借り、そして演奏法を教わったそうだがその成果が多くの曲に現れている。5月には50周年デラックス盤にセットされた「イーシャー・デモ」で聞かれるように4人が集まり持ち寄った曲で新作に向けてのセッションを行った。この時はメンバーが結束してアルバム作りに向かっていたと感じられる。しかし、その後スタジオ入りしてからはオノ・ヨーコの出現などで人間関係がこじれ、リンゴの一時脱退という事態まで引き起こし、レコーディングはぎくしゃくしたものとなった。こうなるとそれぞれの曲をそれぞれで作り上げるという動きになるのは必然だ。ジョージが若きクラプトンにギターを依頼し録音したような動きもそれまでにはなかったことだ。だが、こうした様々な出来事が改めてバンドとしての結束感を導いて、最終的に2枚組アルバムの完成に至ったのである。結束から個別へ、個別から結束へという流れがバンドとしてどうあるべきなのか、どう進むべきなのか白紙に戻して提起した、そんな思いがこの真っ白ジャケットに表されているのではないだろうか。などと独りごちていると、実際にはこのアルバム用にイラストが準備されアルバムタイトルも別案があったが、他のバンドが似たようなアルバムを出すことがわかり、従来との対極にある「白紙」に戻ったということだったらしい。まあ、個人的感想なのでご容赦を。
        
 私が所有する本作は中学生当時に買った国内ステレオ・アナログ盤、30周年記念の紙ジャケ盤とTHE BEATLES IN MONOのCD、MONO LP BOXのアナログ盤、そして先日発売された50周年デラックス盤CD3枚組の5種である。今日は50年後の追っかけビートルズの日なので2種類のアナログ盤を聴いている。特に国内盤LPは聴きたい人に貸したり、押し入れの中に置いたままという状況だったのでジャケットの表面がすっかり汚れてしまっている。打たれたナンバーはA 080681。この番号は何を意味するのだろうかと今更ながら思う。そして、この国内盤には4面とも曲間の溝が見あたらない。確かに音的にも切れ目なく曲が続く所もある。そのつもりでモノラル盤を見たら曲間がわかる作りになっていた。これにも何か意味があるのだろうか?また、この頃にはステレオ・ミックスでのリリースに意味が出始めていたので、メンバーもその気になってステレオ盤を制作したとのこと。事実アメリカと日本ではステレオのみのリリースだったらしい(米国では11月25日、日本は69年1月21日発売)。
        
 本アルバムの制作・発売時期には様々な出来事があったことが各文献に詳しい。例えばジョンの大麻所持逮捕と離婚、ヨーコの流産、ビートルズ初のソロアルバムとしてジョージの「不思議の壁」の世界リリース、立ち上げたApple Recordsの経営など。こうした中でリリースされたホワイト・アルバムは50年後の今も大きな話題となるほどの問題作であり、ロック・ミュージックとしての傑作なのだと思う。本ブログでも結果として3回も記載することになったのは、結局の所私自身も色々思うところのある大好きなアルバムであるということなのだ。

※参考文献
 THE BEATLES REMASTERED CD GUIDE(株式会社ミュージック・マガジン)
 THE BEATLES MATERIALS VOL.1(同上)
 ビートルズ・ストーリー’68(株式会社音楽出版社)

ザ・ビートルズ「ホワイト・アルバム」50周年記念エディションCDがようやく手元に

2018年11月17日 | ザ・ビートルズ
       
 11月16日付け北海道新聞夕刊の全国ランクの映画部門の第1位が「ボヘミアン・ラプソディ」だった。そして音楽アルバム部門の2位にビートルズの「ホワイト・アルバム」がランクされていた。Queenもビートルズもこれほど注目されていたのかと正直驚いた。そういえば50周年エディションはアマゾン・ジャパンでも一時「お取り寄せ」となっていたから、やはりたくさんの人が予約を入れていたのだろう。そして私の手元にもようやく届いた。9日全世界同時発売だったため、元々Tower Record on lineでは数日遅れで届くことになっていたが、結局手にしたのは1週間後になってしまった。
       
 私が購入したのはCDの3枚組である。ジャケットはエンボス加工を施したデジパック仕様。コラージュ・ポスターのミニチュアが封入されているが4人のポートレートはブックレットに印刷されているのみ。早速CD1を聞く。ノイズが無くとても澄んだ、かつ迫力あるサウンドだ。まるで目の前にビートルズがいるかのよう。今まで気がつかなかった細かい音を新たに発見できそうな気がした。今回もリミックスを担当したジャイルズ・マーティンは「『ホワイト・アルバム』のリミックスで楽器やリズムの定位を変えたか」という質問に答えて「かなりオリジナルと違う。私がベストだと思うポイント、心地よいと思うポイントに定位させている。センターにドラムスやベースを置き、ヴォーカルもセンターのケースが多い。」とインタビューで答えたそうだ(mora11月9日付け記事)。個人的にはその定位感の確認が楽しみだったのだが、オリジナルがどのようになっていたかよく覚えていなかったのであまり意味はなかった(笑)。しかしニューアルバムを聴くような新鮮な感覚でCD2まで通して聴くことができた。

 3枚目のCDは“イーシャー・デモ”である。ビートルズはインド旅行時に各自が書いた曲をスタジオ入りする前にジョージの家に持ち寄ってデモテープ作りを行ったそうだが、そのデモ演奏27曲が収録されている。この時点で後の完成版と変わらずと言って良いほど仕上がっていることに驚く。そして曲はアコースティック・ギター中心に演奏されているが、Everybody’s Got Something To Hide…のように,まるで別のバンドがビートルズの曲をアコギでカバーしているのかと思わせるほどグルーブ感のあるデモもあり、非常に楽しめた。

 前作から1年を待って発表されたビートルズの新作は50年前の今月22日にリリースされた。「50年後の追っかけビートルズ」の取組としては、今回はこのようなスペシャル・エディションが登場したのでイレギュラーな状況となったが、改めて同日にアナログ盤を聴く予定である。


サッポロ・ギター・フェスタ2018に行ってきた。

2018年11月05日 | ギター
 11月3日4日開催のサッポロ・ギター・フェスタに今年も行ってきた。今回は息子も同行することになり、気になるギターはどんどん試奏させてもらおうと言いながら会場のサッポロ・ファクトリー・ホールに到着。
     
 ギブソン・ギターの特に335に興味のある息子だが、会場入りしてすぐ左に並んでいるのを発見。早速お気に入りの色の一本を試奏させてもらった。私自身も初めて手にした335であるが太めのサウンドで大変良い音であった。その隣にはレスポールがケースに入れられたまま十数本並ぶ壮観な光景が見られる。さらに先に進むとポール・リード・スミスが廉価版から高級機まで並び立っていた。
     
 その奥はテイラーのブース。ここで足を止め昨年弾きそびれたエレガットと12弦を弾かせてもらう。エレガットは抱えやすいようにボディのデザインを変えている比較的安い価格帯(それでも高級)の個体だったが、とても弾きやすかった。息子も同じ感想で気に入った様子。その一角にウクレレのコーナーがありそれも手にさせてもらったが、テキトーに弾いたにもかかわらずなかなか楽しめた。
     
 その他息子が興味を持ったのはギブソンのレスポール・ジュニアと昨年も出展していたスェーデンのStrandbergギター。後者はテレキャス的色合いの一本をセレクトし、会場奥の試奏室(実は楽屋)に案内されかなりの音量で弾かせてもらっていた。
 昨年出展していた山野楽器のG&Lが出ていなかったのがとても残念だったが、白色のオレンジのアンプがあったり、各店舗が格安の中古ギターやグッズを販売していて今年も見応え・弾き応えのあるフェスタだったと思う。我が息子も大満足の様子だった。