Hollywood Bowlのライブ盤は1977年にリリースされたとのことで、ビートルズが解散してからかなり経っての初ライブ盤お披露目となったわけだ。私自身はなかなかこのアルバムを耳にする機会がなく、2年ほど前にようやく中古でレコードを手に入れた。そしてこの度、本アルバムがCD化され今月9日に発売となった。
そもそもレコードを聴いた時に、ビートルズの演奏とずっと鳴り止まぬ歓声が全く別物で、まるで両方を無理矢理合わせたように感じたものだが、実際にはビートル・マニアといわれた黄色い歓声は彼らの演奏中途切れなく渦巻いていた。その中でPAシステムもない状況で演奏していたライブである。時には「カン」に頼って演奏していたのではないだろうか。もしそうだとしても、本当に素晴らしい演奏を彼らは聞かせる。さすがデビュー前も百戦錬磨のライブ活動を重ねただけのことはある。ビート・バンドとしての実力を発揮している。そんなことを感じさせる生々しいサウンドがリミックスとリマスターされたCDから飛び出してくるのだ。今回はLP盤の13曲に4曲がボートラとして加わった。いずれも未発表とのことだが大ヒットした「抱きしめたい」や大好きな Baby’s In Blackなどが含まれ私としては大満足である。
もちろん伴奏もゴージャス。いつも思うのだが、彼女のアルバムでは華麗なストリングスが奏でられ、「夢弦サウンド」を追求する私にとっては至福の時となる。今回も同様。そもそも私はミュージカルや演劇が大好きで、その関係で当時The Broadway Albumを聞いた。針を落とした瞬間セリフが始まり、テンポの良い演奏で始まったのが1曲目のPutting It Together。すっかり気に入ってしまった。今作もそれを彷彿させるように1曲目はセリフで始まる(共演はアンとディジー)。コーラス・ラインからの選曲だが有名なOneではなくAT THE BALLET。全く知らない曲。しかし芝居から切り取られた各収録曲は今回のゴージャスな趣向の元、どれも美しい名曲となる。ブロードウェイの奥深さと選曲のセンスの良さを感じた。
09年作のLove is the answerでは押さえた歌声に声量が失われてしまったのかなと思ったものだが、今作では年齢を感じさせない素晴らしい歌唱を披露している。まだまだ楽しませてくれる、文句なしのアルバムである。2種類のパッケージで発売されているが、ピンク・ジャケットの方がバーブラのソロ4曲のボーナストラックが加わりお勧めである。