ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

思い出のプログレ・アルバム#2 「危機/イエス」

2012年08月31日 | プログレ
 本日からこのブログのタイトルを「飛呂彦の"My Treasure Box" としました。復活してから今まで何となく自分の好きなものやことについて書いてきたのですが、それは自分が大切にしているもの、つまり宝物なのだろうということで。しばらくはそういう内容で続けてみようと思います。
 さて、今日は少し長くなります。

○思い出のプログレ・アルバム2「危機/イエス」(原題 Close To The Edge)
 私と「危機」(楽曲の方)との出会いは、当時よく聴いていたNHK-FM の番組でオン・エアーされた時である。一言で表現すると、「感動」。特に私は、パート3の「盛衰」の美しさにひどく感動したのだ。「危機」は40年経った今でもよく聴く曲の一つで、その感動は未だに消えない。
 2ヶ月分の小遣いを合わせてようやくアルバムを購入。印象的な緑色のジャケットを目にしながら早速針を落とす。A面。森林の水のせせらぎから始まり、即興演奏のような導入部分、スティーブのギターによる印象的なフレーズを持つパート1、言葉数の多い歌詞がロックのリズムと旋律に流れ、続くパート2ではビルの独特のハイ・チューニングによるタイトなドラム音が続き、あたかもパート1の変奏曲のような曲調は不安を感じさせる。加えてクリスのベースがズーン・ビンビンと聞き手の心臓にも響く。続くパート3「盛衰」(これは名意訳だ!)での静かで美しいメロディとハーモニー。歌詞の内容ももの悲しげで、女性的なジョンの声がやさしく包む。そして荘厳なリックのチャーチ・オルガンからシンセのフレーズで最終章パート4へ。スリリングなオルガンソロからクライマックスの多重録音による大コーラスによる大団円、そして何もなかったかのような森林のせせらぎ……。まさに起承転結、輪廻の思想をも感じさせるプログレッシブ・ロックの一大交響詩であり、名曲だ。内ジャケットのロジャー・ディーンによるイラストがさらにこの曲に対する想像力を掻き立てる。これに、歌詞の内容がわかれば、さらに彼らの作りだした小宇宙の中に浸ることができるだろう。このアルバムはこの1曲だけでも充分存在意義がある。が、B面へ針を落とすとさらに彼らの別の小宇宙が持続する。
 「同志」は出だしの12弦ギターと中間の交響曲のような展開がとても美しい曲だ。私の好きなメロトロンが活躍している。この曲もパートに分かれているが、最終章の「黙示」がどの部分をいうのか、未だ不明である。(もしかすると、スティール・ギターのフレーズが終わったその後の静寂部分を示すのか?)
 B面2曲目の「シベリアン・カートゥル」はタイトルの意味がこれまた未だよく分からないが、変拍子の複雑でかっこいい曲。ギターのスティーブ・ハウはあまりコード弾きをしないように思われるが、この曲もフレーズのオン・パレード。リフを弾くリックのキーボードと音的にぶつかることがないので、よほど編曲に時間をかけたのではないか。中間で一瞬静かになる部分があるが、そこのメロトロンが宇宙空間を醸し出すようで心地よい。そして、最終部分のヴォーカルの繰り返しがフェードインする楽器と同化しクライマックスを迎える展開、最後の決めのフレーズなど、プログレ大好き少年を夢中にさせる仕掛け満載の名曲である。
 この曲をいつか演奏してみたいと思ってはいたが、学生時代、実際に演奏(コピー)が可能だったのは「同志」で、それもリハーサルだけで終わってしまい完成しなかった。CROSSBEAT という雑誌(2011年6月号)のプログレ特集に掲載されていた、「海洋地形学の物語」リリース当時のインタビューでジョン・アンダーソンは、それまでで一番難しい曲は「同志」だったと言っている。テンポの変化が頻繁で、全員でアンサンブルを取るのが大変な曲、とのことであった。意外である。「危機」の方がもっと複雑に感じるのだが、本人達にしてみると実際には違ったらしい。
 1973年、イエスは来日することとなった。アルバム「危機」は来日記念盤という形で日本でリリースされた。当時の宣伝コピーを今でも覚えている、「… イエスの音楽はメリハリの音楽である。…」メリハリという言葉をその時初めて知った。が、こうして改めて「危機」について感想を述べてみると、アルバムの中の楽曲は確かに「減り張り」の変化を楽しむことのできるものばかりと言えよう。
 しかし、結局私にとってこのアルバムを言葉で語り尽くすことは難しい。今も「謎」の部分を抱えているのだから、自分でもいろいろな思いがあったと思う。単純に言うと、プログレッシブ・ロックと言われる音楽の素晴らしさを、思春期の自分に教えてくれた一枚の傑作であったということだ。
 現在手元にはアナログ盤4種(日本初回リリース盤、イギリス・エンボス・ジャケット盤、アメリカ・ファーストプレス盤、同セカンドプレス盤。アメリカ盤の方がサウンドに迫力あり。)、CD盤5種(リリース年不明の通常日本盤、ボーナストラック入りRHINO03年盤、紙ジャケの01年盤・同RHINO06年盤・同11年国内SHM-CD盤)があり、ひとつのアルバムの所有枚数としてはいつの間にか最多となっていた。あと1枚、2012年現在、前作「こわれもの」のSACD盤サラウンドがリリースされているので、次はぜひとも「危機」をサラウンドで聴きたい。やはり私はこのアルバムが大好きなのである。


思い出のプログレ・アルバム#1 「リザード/キング・クリムズン」

2012年08月30日 | プログレ
 「リザード」を初めて聞いたのは友人の家であった。その友人の兄が買ったというのを聞かせくれたのだ。「宮殿」はすでに持っており、大好きなアルバムとなっていたので、キング・クリムズンというバンドに対して大きな興味を持っていた。当然、他のアルバムも聴いてみたいとなる。最初に聞いたとき、宮殿以上の衝撃だったと思う。そして最終的には私にとってはこれが最高のクリムズン・アルバムとなった。幼少の頃からクラシックや映画音楽を聴いていた自分をロック(=プログレ)に目覚めさせてくれたのがクリムズンの「宮殿」ではあったが、この「リザード」こそ自分のロック・リスナー化にさらなる拍車がかかったアルバムだったのだ。
 中でも組曲「リザード」の構成は本当に素晴らしい。凝ったジャケットとリンクした想像力を掻き立てる各タイトル、難解だがイメージを膨らませる歌詞とそれを包み込む美しいメロディ、そしてジャズミュージシャンを交えたスリリングな演奏、それら全てが特筆ものである。私は中学生であった当時、英和辞書片手に詩を訳し、この組曲が一体何を物語っているのかと思いを馳せたものであった。さらに、クラシック好きの私にとって、「ピーコック物語のボレロ」が「白鳥の湖」やラヴェルの「ボレロ」を感じさせたのかもしれない。
 他の楽曲もどれもじっくり練られ、演奏も素晴らしいものばかりだと思う。特に、2作目から参加しているメル・コリンズのサックス・フルートは本当に素晴らしい。クリムズンに新しい命を吹き込んでくれたと感じる。小品「水の精」はとてもロックのバンドとは思えないほどの美しさ。この曲と1曲目「サーカス」でフリップのアコギが存分に聞けるのもうれしい。私は彼のアコギ・プレイが大好きなのだ。(残念ながら「ディシプリン」以降聞かれなくなってしまったが。)さらに言うと、「サーカス」と「リザード」ではメロトロンの重厚な和音も十二分に堪能できる。
 今回の5.1サラウンド盤がリリースされたが、私自身もこのシリーズのサラウンドを単純に楽しんでいる。新たなミックスにおいて特に気がついたのは、「ルーパート王子の目覚め」のボレロに移る終了部分で小さく聞こえていたピアノのアルペジオ音がかなり大きくなっていること。全体的には各パート音がさらに際だち、特にタイトル曲での宇宙感、つまり音の広がりがさらに深まったと感じる。また、前述の「サーカス」でのアコギが空間を飛び回る定位になっているのも面白い。
 手元にはこのサラウンドが収録されたDVDオーディオの国内盤と輸入盤を含めCD3種(2000年30周年記念紙ジャケ盤はゴールド・メッキ仕様)と、高校生の頃に買った国内アナログ盤があるのだが、今後ファーストプレスの英国アナログ盤をぜひとも手に入れたいと思っている。
 後になって知った、前後の決して落ち着かないバンド運営状況の中で、よくもここまでの作品づくりがなされたものと感心する。前2枚のアルバムにおけるサウンド・コラージュ的な曲(「宮殿」のムーン・チャイルド後半、「ポセイドン」のデビルズ・トライアングルのこと)は正直言ってちょっと飽きるのだが、そんな部分も皆無のこのアルバム。私にとっては文句なしの名盤である。


思い出のプログレ・アルバム My Top 5

2012年08月29日 | プログレ
 ギターが好きで、ボサノバが好きな私はもう一つ好きなものがある。それは「プログレ」である。これだけは中学生の頃から変わらない。それまではクラシック音楽をよく聴いていたし、フランシス・レイやジョン・バリーなどの映画音楽も大好きだった。当時の洋楽や歌謡曲などのヒット・チャートものも当たり前のように聴いていた。ただ、ロックはうるさい音楽として私にとっては無縁の存在だった。それが、ある時NHK-FMのリクエスト番組でキング・クリムズンの「クリムズン・キングの宮殿」を聴いて、衝撃を受けた。この曲との出会いがその後のロック、というよりプログレッシブ・ロックに興味を抱くきっかけとなったのである。
 数多くのプログレが世に出ているので、全てを耳にしたわけではないが、当時を振り返り、「思い出深くて」好きなプログレアルバム・トップ5をあげるとすると、
1 リザード/キング・クリムズン
2 危機/イエス
3 月影の騎士/ジェネシス
4 幻の映像/PFM
5 クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムズン
と今日の時点ではなるだろうか。以下、タルカス(ELP)、狂気(ピンク・フロイド)、トリック・オブ・ザ・テイル(ジェネシス)、ムービング・ウェイブス(フォーカス)、ポセイドンの目覚め(キング・クリムズン)なども忘れられないアルバムだ。
 実は私にとって、自分の思い出の中にあり、感動を与えてくれたこれらのロックアルバムについて言葉で評することはなかなか難しい。現在も好きなアルバムであることは間違いないが、それには理屈ではない情緒的な部分がある。反面、言葉で自分の思いを伝えることは、とても大切だとも思う。なので、自分に対する訓練として上位の5枚について何とか表現してみようと思う。どこまで伝えることができるのか、トライしてみよう。
 さて、このリストをバンド毎にまとめると、①キング・クリムズン×3、②ジェネシス×2、以下イエス、ELP、ピンク・フロイド、PFM、フォーカス各1。「思い出」という視点では妥当かなと思われる。なぜなら、フロイド以外は高校や大学時代のバンドでコピーし演奏したバンドばかりだから。一番多くコピーしたのはフォーカスだったろうか。高校時代のことで、私はフルートとヴォーカルを担当した。大学時代はプログレ・バンドを結成して最終的にはオリジナル曲を演奏したが、当初はジェネシス・バンドでもあった。その時は12弦ギター、フルートそしてヴォーカルだった。
 ちなみに、今の時点でのお薦めは、何といってもスティーブ・ハケットである。初期のアルバムも良かったが、最近の彼の精力的な活動の中でリリースするアルバムはプログレの王道プラス・アルファという感じで、とても安心して聴くことができる。未聴だがクリス・スクワイアーとのユニット・アルバムA LIFE WITHIN A DAY / SQUACKETT は5.1サラウンド・バージョンもあって注目している。


My Guitar #4 マーティン000-1(トリプル・オー・ワン)

2012年08月28日 | ギター
 ここまで来ると、やはりマーティンを所有してみたい。しかし、この時点では自分の中でギターに10万円以上もかけるものではないとの認識もあったので躊躇しながらネットで探していたところ見つけたのがこのギターである。中古で価格は8万円程度。実はこの時、息子が生まれた2000年製のギターを探している時期でもあった。彼のためには生まれた年のワインを3本購入してある。ワインはいつか飲んでなくなるけれどギターは一生残るもの、という勝手な理由でこの2000年製000-1を購入してしまった。
 これ以前は、ギターも新品で購入することしか頭になかったが、実は中古の方が音が良い場合があることを初めて認識した。到着した000-1を弾いて、良い音!と実感したのだ。前述のように、地方の郡部に在住しているため、現物に触れることができずギター購入はもっぱらネットで、文字情報にて判断することとなる。従って購入し到着した時に初めてその音と感触を実感するのである。
 このギターは指板、ブリッジ共にローズウッド、ネックは1ピースマホガニー、トップはスプルース単板、バックはマホガニー単板、サイドはマホガニー合板という作りである。コスパが良すぎて精算が取れずに製造中止となったとの噂あり。そして私が単板作りという概念を実感したのもこのギターが最初であった。ギターに詳しい知人から、単板は全然違うよ、と聞いてはいたのだがなるほどと思った。私にとってこのギターは決してマーチンの入門用ではなく、充分マーチンである。弦をDMのフォスファー・ブロンズに変えたらなおさらリッチで特に高音がきらびやかな音色になり、結構病み付きになる一本だ。私自身の指に慣れてきたのか大変弾きやすくもあるのだが、現在は息子が少しずつさわり始めている。


My Guitar #3 サイモン&パトリック Wood Land Folk Cedar

2012年08月27日 | ギター
 数十年ぶりにオベーションのエレガット・ギターを購入したことで、自分の中のなんちゃってミュージシャン心に火がついてしまった。この際ナイロン弦だけではなく、スティール弦のギターも1台欲しいものだと思い購入したのがこれである。思えばこの頃はギターの奥深さに触れ、それが大人買いの欲望の世界に陥る前兆だった…。
 優れた木材で定評のあるカナダ製を探し、もちろん手頃な価格も考慮し最終的に決めた。トップがシダー単板、サイド&バックがレッドワイルドチェリーである。正直言って、久しぶりにギターに触れた私にはそれほど演奏力はない。それでもこのギターは最初から良く鳴っているし、作りもしっかりしていると感じた。しかし、次にマーチンを購入した時点で弾かなくなってしまい、結局は手放してしまった。その後はシダー製のギターは購入していないので、スプルースとの違いも分からないまま(というか気にしないまま)で来てしまった。その意味では、もう少し手元に置いておいても良かったかもしれない。


My Guitar #2 オベーション Ovation CSE-243

2012年08月26日 | ギター
○オベーション Ovation CSE-243
 ヤイリの12弦購入から30年を経た頃、仕事の役職の変化にも少し慣れてきたため、ギターをもう一度始めようと突然思い立った。そこでいろいろ物色したが、自分が今一番やりたいのはボサノバだからということで、エレガットにしようと決め、最終的に選んだのがオベーションのCSE-243であった。2006年の暮れに我が家に到着。本家USA製は高額で購入を躊躇するが、これは韓国製のCelebrityと呼ばれる廉価版である。といっても定価では10万円以上するし、あまり出回っていないため実際に手に入れるまでに少し時間がかかった。
 友人のギター弾きによると、オベーションは抱えた時にそのボディの丸みによりずり落ちやすいとの話を聞いていた。座って弾くと確かにそうだと感じた。友人も結局は手放している。しかし私は、有名なオベーション・ギターを一度は持ってみたかったということで大変満足している。
 サウンドホール部分のインレイがとても綺麗で、スプルース・トップの木目も美しい。ネックのナット幅も自分にはちょうど良い感じだ。(私には、一般的な43ミリ幅は細すぎる。指が太いのと、ずっとクラシックギターを弾いてきたせいだと思っている。)エレガットなので、イコライザーや便利なチューナーもついている。ただ、そのせいか抱えるとちょっと重い。ディープシャロウなので、アンプに繋がずとも音は鳴る。現在はハナバッハのミディアム弦を張っているが、ふくよかで柔らかい音色だ。
 今もボサノバを練習しているが、アンプに繋いで人前で演奏する日が果たして来るのだろうか。
追記: このギターを選んだ理由のひとつが、パット・メセニーがオベーションのエレガットを使っていたからというのがあった。パット・メセニー・グループによるFirst Circle (ECM 1984年リリース)は私の大好きなアルバムで、この中の If I could という曲に使われているナイロン・クラシカルのサウンドがとても美しい。ここでオベーションが使われているのかは不明だが。


My Guitar #1 K.Yairi YW-600-12 12弦ギター

2012年08月25日 | ギター
○最初に
 私のギターは、ほとんどがネットショッピングで購入した。これの不利な点は、当たり前だが、現物を手にすることができないこと。感触を確認したり実際の音を聞くことができないし、木製製品としての木目などの視覚部分も写真でしか判断できない。ここ数年間住んでいたほとんどの場所には楽器店がなかったので、仕方ないことではある。逆に良い点は、たくさんのショップの中から欲しいギターを比較検討できること。そして、メールで商品の問い合わせをすると、たいてい事務的な回答で終わるのだが、中には熱心に、細かく対応してくれる場合もあり、そのような時はとても参考になる。幸い、今まで購入したギターはどれもはずれがなく、とても満足している。売る側も責任を持って対応しているのだと思う。そういうわけで、購入に至る途中の経過も自分なりに楽しんできたところである。

○K・ヤイリ YW600-12(12弦)
 自分がずっと大事にしてきたのはK.ヤイリの12弦ギターYW600-12である。77年製。30年以上前の学生の頃、アルバイトしてようやく購入したものだ。当時、プログレバンドのジェネシスが大好きで、彼らの曲には12弦ギターが大活躍していた。その影響である。理想の12弦を求めてお茶の水の楽器店を回って物色していた時に、谷口楽器で出会ったのがこの楽器だった。店によると、ヤイリが輸出向けに製作したものと言う。今あらためて見ると、ヘッドには「K.Yairi」と明確に刻まれているが、ペグの裏面に刻まれたロゴマークは「アルバレツ・ヤイリ」のものである(写真参照)。実際に弾いてみて他の12弦と違った美しい音色が聞かれ、また弾きやすく即座に気に入ってしまった。学生の身分ではかなり高額ではあったが、絶対にこれを手に入れようと決断したものである。
 購入後、バンドで演奏するため、自分でピックアップをつけた。確かバーカスベリーというブランド製だったと思うが、たまたま手元にあったもので、両面テープで内部に貼り付けた。コネクターをピンジャック部分に付けるため、穴の部分を少し削った記憶もある。一応アンプから音を出すことができ、その結果バンドでの自分のメイン楽器となった。そしてもっぱらジェネシスのコピーに勤しんだ。当時何をやっただろう、スコンク、さざ波、サパーズ・レディの前半部分、ファース・オブ・フィフス、デュークス・エンド…。
 後日談になるが、ジェネシスが初来日した78年、当時の某音楽雑誌に機材の紹介記事があり、ベーシストのマイケル・ラザフォードが演奏する12弦は「アルバレツ」製、即ちK・ヤイリの輸出用ブランドであることがわかり、ひどく驚き興奮したものであった。
 12弦は、開放弦を生かしながらハイポジションを押さえることで、独特の不思議で美しい響きを得ることができる。それを生かしたオリジナル曲もいくつか作曲した。
 今、このギターはケースの中で眠ることが多くなった。時々出して見ると、30数年過ぎてトップの色が濃くなり、良い意味で年期が入ったなと感じる。音も深みが感じられ、よく鳴ってくれる。ただ、ネックがそり気味になっているので修正を図りたいと思っている。要ヤイリさんに相談…。


木の温もり

2012年08月24日 | ギター
 
 とても久しぶりに更新。長らく冬眠状態。
 さて、私は木の温もりが大好きだ。当然、木製の製品や作品などを見ることも好きである。しかし、今の世の中には本当の木でできている物が少なくなっている。技術の進歩で、見た目は木だが実際はプラスチックでできているなど、ちょっとがっかりする場合も少なくない。時々、通りすがりで、所々に木材を使った魅力的な建物を見るが、単純に「良いなぁ」と思ったりする。
 そんな自分にとって、身近な「木」の存在として「ギター」があり、そして私はギターが好きなのだ。
 もちろん、木で作られている楽器は他にもたくさんある。しかし私自身が未熟ながら演奏できるのはギターだけ。そんなわけで、気がつくと我が家には10本以上のギターが並んでしまった。
 大部分のギターは木で作られている。(オベーション・ギターのように一部が特殊な材料で作られた場合もたまにあるが。)そして、その使われている木の種類によって、違った音色が得られることもギターの魅力である。この違いにちょっとでも気がついてしまったなら、もう後戻りはできない。結局は何種類かのギターを手元に置くことになってしまうのだ。
 私は小学校6年生の頃「禁じられた遊び」を覚えて以来、学生の頃までギターを弾いていた。しかし、就職してからは、いわゆる打ち込みの音楽に没頭するようになり、シンセサイザー演奏が主となっていた。やがて仕事の忙しさでそんな細々とした音楽活動からも遠ざかり、一時期全く楽器から離れてしまう。しかし、ある年突然ギターを買おうと決意し、その結果ここに至るまで10本を超えるギターを現在所有している。単純に趣味で再開したギター演奏ではあるが、何かの参考のため、とてもありがちではあるが自分の手元にあるコレクション? とその購入の経緯を紹介してみたい。