ダイアナ・クラール THE LOOK OF LOVE
ルックスとは違ったハスキーボイスの彼女が2002年にリリースしたジャズ・ボッサ・アルバムです。タイトル曲はバート・バカラックの名曲でありますし、そのほかスタンダードな曲を集めています。1曲目のS’Wonderfulからドリーミィなストリングス・サウンドが聴かれます。アレンジ&コンダクトはクラウス・オガーマン。彼はA・C・ジョビンのアルバムでアレンジをたくさんしている大御所。DVDで発表されたダイアナのパリのライブでも数曲ゲストで登場し、指揮をしていました。クラールの最新作QUIET NIGHTも似たような雰囲気ですが、そちらではほとんど囁きかけるような歌い方で、本作の方が私は好きです。
チェット・ベイカー/枯葉
今は亡き超有名トランペッターの超有名アルバムですが、この中の2曲目She Was Too Good To Me (実はこちらがアルバムタイトルでもあります)が、素晴らしい夢弦サウンドです。
チェットはその中性的なボーカルも魅力で、この曲では彼のささやきかけるような歌声が実にマッチしています。左右に揺れるエレクトリック・ピアノの音、流れるようなストリングスの旋律、そして間奏で聞かれる本人自身のトランペット。ロマンティックな気持ちになれること間違いなしです。
オーケストラ・アレンジはドン・セベスキー。他の共演者も一流どころが揃っております。
私は音楽が好きですが、特に心地良いストリングスに満ちた曲を夢弦(むげん)サウンドと勝手に名付けています。そうした傾向のアルバムをいくつか紹介したいと思います。
ローラ・フィジィTHE LADY WANTS TO KNOW
オランダ人シンガーローラ・フィジィによるボサノバ・アルバム。1994年リリース。音楽の中でも私はボサノバが大好きです。彼女のアルバムはすでに2枚持っていましたが、ふとしたきっかけでこのボサノバ・アルバムが出ていることを知って、早速注文しました。
1曲目からストリングスが心地良い。マイケル・フランクスの曲を取り上げたり、彼とのデュエットもありますが、中でもお薦めはマルコス・ヴァレ作曲のIf You Went Away 。イントロの緊張感を呼び起こす不思議な旋律とは裏腹に、本編はナイロンクラシカルギターと共に心地良い夢弦サウンドに浸ることができます。
ストリングスアレンジ及びコンダクトはJurre Haanstra。良い仕事をしています。他に2曲ほどハーモニカの名手トゥーツ・シールマンスが参加し、心地良いサウンド作りに貢献しています。