ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

思い出のプログレ・アルバム#11 ピンク・フロイド「狂気」 The Dark Side OF The Moon / Pink Floyd

2017年11月30日 | プログレ
 73年にリリースされた時、即愛聴盤となったアルバムである。最終的なトータル作品となるまで、何度もライブで演奏され試行錯誤が繰り返されたと言われていた。それだけに完成度の高いアルバムだと思う。ダイアログの挿入、効果音、シンセサイザーのシークエンス、変速拍子、途切れのない曲間など様々な試みの他に、サックスやバックコーラスの導入によりアメリカ的なポップさも加味された。中でも「虚空のスキャット」のジャズ的かつ美しい旋律での叙情性は私の感性を直撃した。

    
 それにもかかわらずレコードを買い求めたことがなかった。従って本ブログの「思い出のプログレ・アルバム」では過去に紹介していない。当時、FM放送で全曲が流れ、カセットテープに録音し聞いていたのではないかと思う。もしくは友人から借りたかのかもしれない。つたない小遣いは私にとってクリムゾン関係が優先で、同時期にリリースされた「太陽と戦慄」の方を購入したのだ。その後も一枚は手元に置きたいと思いつつ、ようやくアナログ盤を入手したのは2011年の9月である。リマスターされた音源での復刻盤で、完備した付属品の他に新たにサイケ風に装飾されたプリズムのポスタ−と高音質MP3ファイルのダウンロード・コードがついていた。

    
 一方、CDの方は最初の紙ジャケ盤を購入していたが、これはA式の厚紙ジャケットで、この度新たにE式紙ジャケが発売となった。帯も含めて発売当時を可能な限り再現したという国内盤仕様を無視することができず、結局購入。(ついでに紙ジャケの厚さの違いを写真で。このようにE式仕様で再発売された紙ジャケCDはレッド・ツェッペリンやEL&Pにもあり、結構買わされました。)音源的にはSACDサラウンド版も持っているので今更との思いがあったが、到着して聞いてみると2011年リマスター音源を使用したとのことで、最初の紙ジャケ盤より少しばかり音圧が高い。低音の厚みもあり予想外に良い音だった。
    

 本アルバムは付属品が豪勢なのも特徴だ。復刻LPも紙ジャケCDもサイズ違いではあるがその辺は充実しており、新たな紙ジャケの方も写真のとおり。
    

 月の裏側、プリズム、七色の光、ピラミッド、音のコラージュ、笑い声、心臓音、時計の音、「月に暗闇はない、あるのは暗黒のみ」ダイアログ、ブラック・ミュージック、ジャズ、スキャット、ロック、叙情性、そしてヒプノシスのアートワーク。これらがこのアルバム対して思いつく言葉だ。トータル・コンセプト・アルバムとして、サウンド面をひとつにまとめたエンジニア、アラン・パーソンズの手腕も大きかったのだろうと思う。音源を手に入れたのは遅かったが、過去にこのアルバムとリアルタイムで接することができたことは大きな喜びである。

50年後のザ・ビートルズ追体験〜11月27日は「マジカル・ミステリー・ツアー」Magical Mystery Tour

2017年11月27日 | ザ・ビートルズ
  50年後の追っかけビートルズ、今回は1967年11月27日に発売されたMagical Mystery Tourである。
     
 いつもの参考書THE BEATLES MATERIALS(レコード・コレクターズ増刊、和久井光司・著)によると、アメリカ滞在中にポールが得たアイデアを元に企画されたのが、何かが起きることを期待しながらバスの旅に出るというストーリーの映画であった。結局「事件」は何も起きず、映画自体は不評に終わるのだが、音楽の方は素晴らしくアルバムは翌68年1月以降8週間トップの座に輝いた。アルバム用の曲は6曲のみだったため、英パーロフォンは2枚組のEP盤でのリリースを予定したが、米キャピトルはLP盤を熱望し、B面に67年のシングル曲をまとめたアメリカ編集盤として11月27日に発売した。EP盤は12月8日に発売となったが、日本でリリースされたのは翌年の3月で、LPは何と1年後の12月になってからである。

 私が初めて聞いたのはLP盤の方である。新曲の中ではタイトル曲が一番好きだ。シンプルなコード進行の中にツアーが始まるわくわく感が込められており、エンディングのサントラ風効果音も良い。インストのFlyingは浮遊感あふれる曲で耳に残るし、さらにYour Mother Should Knowはメロディーが良い。だが何と言ってもB面に並ぶHello Goodbye, Penny Lane, All You Need Is Loveなどがいかにもビートルズらしい名曲であるし、Strawberry Fields Foreverはレコーディング上難産の曲として有名。特にHello Goodbyeは曲のセンス、歌詞の面白さに当時のビートルズの勢いが感じられて、映像版も全く見る機会がなかった私にとっては、このキャピトル・ヴァージョンがアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」なのである。

 アルバムとしてはブックレットが付属し、また当時の流行を表したと思われるサイケデリックなファッションも加わり、クリスマスに向けた豪華さが感じられる。手元には昔持っていたはずの国内盤LPはすでになく、今所有するのはフォーエバー帯盤、モノ・ボックスLP、そして国内オデオン盤のEPである。モノ・ボックスはアメリカ仕様のジャケットが重くて、唯一のモノラル盤。EPについてはこちらで触れたが、この記事からいつのまにか3年以上も経ったことに驚いてしまった。

 さて、次回の追いかけは1年後まで待たねばならない。68年11月22日発売のThe Beatles(ホワイト・アルバム)である。

コンパクト・エフェクター感想記6〜エフェクター・ボードの製作?

2017年11月25日 | ギター
 アマゾン発の商品を梱包していた箱を使って、エフェクター・ボードを作ってみた。紙製なので水平方向にしか持ち運びができない代物であるが、家の中で使う分には差し支えないと思う(笑)。
   
 パワーサプライは OTraki 10チャネル独立型、チューナーはDigiTechのPOLYCHROMATIC TUNER(ポリフォニック・チューニングが可能)、そして緑の小さなエフェクターは Donner Wave Delay(中国製)。ディレイは中国製で安価ではあるが充分使える。それにこの会社はサポート体制が素晴らしい。
 スペースの関係で必要最低限を並べただけだが、遊ぶには充分である。あとは、日々練習あるのみ!

サッポロ・ギター・フェスタ2017に行ってきた(4)

2017年11月19日 | ギター
 まったく知らなかったのは、テイラー・ギターはビルトイン・ネック構造でネックの取り外しが可能だということ。ボディ側の接着部分は常に90度を保てるので、ネック側の接着部分を削る等の調整を試みれば、必ず真っ直ぐなネックを維持できると説明があった。本体を半分に切ったレプリカを見せながらの大変説得力のある話しであった。
 一方、この1月からローズウッドに関する新しい国際取引規制がかかり、輸出入に係わりヘッドの木材としてローズウッドを用いなくなっているという話しも聞いた。もらったテイラーのパンフレットにもこの規制のことが記載されていた。ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)については既に規制があることを知っていたが、良質な木材に対し益々厳しい社会情勢となっているようだ。
 テイラー・ギター、今思えばナイロン・クラシカルも何種類か出品されていたので触れば良かったと、少し後悔が。そう言えば12弦ギターもあったな、、、。

 他のブースもスタッフの皆さんはとても親切で、色々説明してくれた。特に、マーティンのブースでは疑問に思っていたサドルの形について聞くことができた。私の持っているM-36とOOO-1でサドルの形が違う(以前このページで触れた)ので、何故なのか、サウンドにどう影響しているのか聞いてみた。サドルは90年代のある時期から全面的に入れ替わったとのこと。確かに我が家の2本はちょうどその前後の時期のものだ。「オクターブバランスのためという工夫はあるが、音的にはそれほど大きな影響はないと思いますよ、私のは古いマーティンですが昔のサドルのままでも良い音していますから」との説明。そういわれれば気にすることもないのかと思い、帰宅してから手持ちのM-36を久々に弾いてみた。今日は新品ギターをたくさん弾いてきたが、20年以上の風格を持つ我が家のこれも、やっぱり良い音なのであった。

 おしまいに、本日唯一の買い物を紹介。Black Smithというブランドのエレキ弦。ナノカーボン・シールド仕様であるが価格が540円。イシバシ楽器の販売で、お店の人もこれは安いです!と太鼓判。全く知らないメーカーだったが、韓国で生産されているそう。試しに使ってみようと思う。
    

サッポロ・ギター・フェスタ2017に行ってきた(3)

2017年11月18日 | ギター
 圧巻はテイラー・ギターであった。写真のとおり、これだけの個体が一堂に会したのは恐らく札幌では初めてではないかと担当者も言うくらい、たくさんのギターが並んでいた。
        
 「折角だから弾いてみてください」と言われるがまま、ここでも何本かを試奏した。いろいろ違った木材がある中で、まずオバンコールの414ceをお願いした。記憶ではオバンコールは一度も手にしたことがない。サイド&バックに赤や緑が混ざったような筋模様で目を引く木目がくっきり現れている。マイルドだが高音が明るい力のある音を出していた。これは40万円クラス。説明ではオバンコールはローズウッドの親戚で似た音質を出すらしい。
 次は50万以上する高価なインディアン・ローズウッド814ce DLX。そんな高級品でも、はいどうぞと気軽に持たせてくれるのが凄い。低音がさらにしっかりして力強いサウンドだったが、好みとしてはさっきのオバンコールの方が良い感じが、、、。高いギターなのでしっかり弾くことに躊躇してしまったのかもしれないが、何となくしっくりこなかった。
 そこでもう少し廉価版をということで別の一台を弾いたが(型番忘れ)それでも20万円台だった。耳に馴染む普段どおりの良い音という感じだが、総じてテイラー・ギターは評判どおりだということがわかった。
 こうして、普段手にすることのできないギターを、何本も弾くことができたのはとても良い経験であった。(続く)

サッポロ・ギター・フェスタ2017に行ってきた(2)

2017年11月15日 | ギター
 昨年は弓木英梨乃さん(キリンジ)などのギター演奏があったが、今年の2日目はKORGブースのKemperアンプのデモ演奏のみだったようだ(まるでシンセサイザーのような音がギターから出ていた)。

    
 ただし、今年は昨年以上に販売ブースを拡張したとのことで、よりたくさんの楽器に接することができた。実際、ハードケースに入ったギブソン・レスポールが何本も横並びに展示されている姿を見ただけでもかなりのインパクトだったし、高価なポール・リード・スミスが何本も置かれているのも札幌ではめったに見られない光景なのではないか。ブースを回りながらヴィンテージ・マーティンのD-35を弾かせてもらったり、一度も触ったことのないD-28が定番マーティンであることを初めて体感したり、、、、。(親切だった店員さんはきっと買ってもらいたかったのだろうな。)長期店頭在庫のリッケンバッカーが破格の値段で売られていたのと、新品ギタースタンドが500円だったのにも驚いた。

    
 そうこうしている時に来たのがG&Lギターのブース。今回、フェンダー製品がほとんど置かれていなかったのだが、ここにテレキャスやストラトがあったので立ち止まっていたら声をかけられた。自分がテレキャスを持っていると話したら、ぜひ引き比べてみてと言われ、何本か試奏することに。G&Lとは、George FullertonとLeo Fender の二人の頭文字からとったブランド名であるとはその時に知った。レオ・フェンダーのギター製作に対する思いが最後まで込められたのがこのブランドであるとのことだった。ストラト・タイプはピックアップのセレクタに工夫があるらしく、小さなスィッチを押すと様々にミックスされてどうとかこうとかと言われたが、弾いてみると実に気持ち良い音が出た。テレキャス・タイプも試奏したが、これは単純にキャピキャピしたいかにも的な音がして、こちらも中々気に入った。戻ってきてからさらに調べると、アメリカ産、インドネシア産、そして日本産の3種類があり、それぞれお値段が違うらしい。また、ベースギターも定評があるとのこと。私が最も気に入っているフェンダー・ギターの奥深さを勉強させられた瞬間であった。(続く)


サッポロ・ギター・フェスタ2017に行ってきた(1)

2017年11月13日 | ギター
 11月11日(土)12日(日)の2日間、サッポロ・ファクトリー・ホールでギター・フェスタが開催された。
     
 昨年は7月に開催されたようだが、知ったのが終了後だったので今年はアンテナを高くしながら待ち望んでいた。そして2日目に出向くことができた。入場料は前売り800円。果たして元が取れるだろうか?

 入場直後にエフェクター等関連グッズが当たる抽選コーナーがあったが見事はずれ。残念賞で楽器メーカーのステッカーを一枚もらった。それはともかく、結論から言うとこのフェスタでとても良い経験と勉強をすることができた。

 今回出店しているのは、札幌では老舗の玉光堂楽器センターに加え、ヴィンテージものを多数在庫しフォルヒや新生エアーズも販売するギターショップ・ラムジーズ、新たに札幌に進出したイシバシ楽器など8店舗である。その他メーカーブースとしてヤマハ、山野楽器、KORGなど6社が並ぶ。会場内、所狭しとギターが並んでいるのは実に壮観であった。

 会場に入ると最初に目についたのがかなり変わった形をしたギターであった。すぐ店員さんが話しかけてきて、スェーデンのStrandbergギターだという。昔のスタインバーガーのようにヘッド側で弦を固定し、ブリッジ側でチューニングをするギターなのだが、形が写真のように特徴的だ。そして6弦の他に、7弦8弦ギターも展示されていた。それらは低音弦が足されていて、特にヘビメタ系のギタリストが好むという。弾いてみませんかと言われ6弦の方の試奏にチャレンジ。見かけからの予測どおり、まずは軽い。特徴あるデザインだが、座った時に太ももに乗る部分がフィットするなど工夫されている。メサブギーのかなり歪むアンプにつなげたのだが、迫力のあるサウンドが出て驚いた。これは重いギターを長時間弾くのはきついという方には最適であろう。視覚的にも絶対に目を引くから目立ちたい人にも良いかと思う。いきなりインパクトのあるギターと対面したものである。(続く)

森高千里「ザ・森高」のアナログ盤が到着!

2017年11月06日 | 森高千里
      

 2016年7月に発売された森高の映像作品「ザ・森高」ツアー1991.8.22 at 渋谷公会堂6枚組完全初回生産限定BOXに含まれていた2枚組LPが単発で発売された。これは91年リリースのリミックスやアルバム・ヴァージョンを集めたベスト・アルバム「ザ・森高」をLPレコード化し、そのBOXにて初お目見えしたものである。アナログ・ファンであり森高ファンである私は買わないわけにはいかない。そして本日届いた次第である。

 このアルバム、なかなか面白い。曲を当時流行のエレ・ダンス風に味付けしたアレンジが多いが、中でも「ザ・のぞかないで」が以前ここで述べたように「ドスケベ・チカン・変態」などのワードを用いた最大級の怒りソングとして存在感があまりにも凄い。他に「臭いものにはフタをしろ!!」というとんでもないタイトルの2ヴァージョン・ロックンロール、「だいて」「雨」「この街」などの名曲、寸劇入りの「ザ・ストレス」などなど聞き所満載である。それが180g重量盤レコードで味わうことができる。そして、帯を見て知ったのだが、本LPは「2017年最新リマスター」であるとのこと。ということは、昨年のBOXとは違うアナログ盤なのか???
      
 ともかく、まずはLPサイズのジャケット。小さなCDのブックレットとは全く違うその大きさ、重量感!とりわけ中ジャケの20人の森高、素晴らしい!残念なのは帯にも説明書きがあるが、歌詞カードやCDに付属していた写真集がまったくないこと。これはCDの方で我慢するしかない。

 そしてレコードに針を落とす。リマスターのせいなのか、全体的にシャープで耳に真っ直ぐ届いてくるようなサウンド。私のシステムでは低音不足があるのだが、それをもカバーする素晴らしい音質である。2枚組4面にわたって音が刻まれているから、盤を裏返し、取り替えながら聴く作法も実に良いではないか。盤の中心のレーベルが各サイド色違いなのも楽しい。

 彼女の若々しい歌声(時には一言)をこのようにレコードで聴くことができ、大変満足した私である。明らかに森高に対しては私も「ただのミーハー」なのであった。