ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

HIGHLIGHT The Very Best of Toki Asako/土岐麻子

2017年07月28日 | ミュージック

 最近クイーン・オブ・シティポップと呼ばれている土岐麻子の新譜ベストアルバム "HIGHLIGHT" を購入した。

 本ブログで和製ポップスを取り上げるのは森高千里やオフコースくらいで珍しいことなのだが、土岐麻子については実は以前から聴く機会が多かった。というのは彼女がジャズやスタンダードを歌ったアルバムを出しているからだ。それをレンタルCDショップで何気なく見つけ、借りて聴いた。まず彼女の声が耳に残る。ハイトーンかつウィスパー・ボイス風の歌声が私にとっては魅力的だった。スタンダードを扱ったアルバムからの曲を集めた "Couleur Caf Meets TOKI ASAKO STANDARDS Mixed by DJ KGO" は曲の切れ目がなく一気に聴かせるアルバムだった。それも新鮮だった。というわけで私は土岐麻子をジャズシンガーだと思っていた。

 そんな時期を経て、今年1月にPINKというアルバムがリリースされけっこうラジオで曲が流れていた。あれ、この曲イイナ、誰が歌ってるのだろう?と思っていたらそれが土岐麻子。フレーズが耳に残る。メロウなアレンジも昔のAOR風で私好み。ここで遅ればせながら、彼女がポップシンガーであることを認識したのである。

 ここに至るまでFM東京のグッドラック・ライブに出演したり、この夏のSapporo City Jazzにも登場。残念ながら後者には行けなかったのだが、前者のスタジオライブはエアーチェックして(死語?)ライブの雰囲気を味わった。今月NHK-FMの番組「サウンドクリエーターズ・ファイル」にも2週連続で登場。そして、今回このベスト盤にたどり着いた訳である。

 最初と最後に新曲を置いた全15曲はとても聞き応えがある。今年出たばかりのPINKからの曲も含まれており、全ての曲で作詞を行っている。自らの解説によるとこのアルバムのテーマは“ダンス”であるとのこと。確かに元気あるノリの良い曲が並ぶ。その中でも3曲目の「乱反射ガール」は良い曲だ。好みのコード進行だ。他に「Gift〜あなたはマドンナ〜」は“シュペリエ−ルな”のフレーズが印象的な明るいポップスで作詞作曲はEPO。まさにそれらしい曲。「僕は愛を語れない」は80年代を思い出させるAORアレンジが心に刺さる。後は省略。一言付け加えるとすると、縦横無尽のメロディを独特の声で巧みに歌う土岐麻子ワールドを堪能できるアルバムである。


創元文庫「夜歩く」新訳版ジョン・ディクスン・カーを追加で購入

2017年07月25日 | ミステリー小説
 先日のジョン・ディクスン・カーまとめ買いに続いて、通販の古本でカーの「夜歩く」新訳版を追加購入。到着すると帯付きだったのが嬉しい。
   

 原題はIt Walks by Night 。by nightというのはfly by night「夜間飛行」のように使われる表現だが、ここでは夜の間というよりは「夜によって、夜であるために」という直訳的意味合いに解釈した方が良い。そして、主語がit。人ではない何かが夜になると歩き回るのだ。これだけでゾッとさせられる。横溝正史にも同タイトルの作品があった。

 この小説は旧訳で子供の頃を含め2回読んでいる。私にとっては初めての三度読みである。さらに読みたくなるのは、そのような怪奇趣味に加えて不可能犯罪・密室の三拍子が揃った作品だから。犯行現場の見取り図もついている。ついでに言うと、2回も読んだのに真相をすっかり忘れているのである。


2017 今年のサッポロ・シティ・ジャズは「野宮真貴」ライブへ

2017年07月22日 | ミュージック

 11回目を迎えた今年のサッポロ・シティ・ジャズも、小野リサ、土岐麻子、渡辺香津美、われらが寺久保エレナなど魅力的なラインアップが揃う中、私が選んだのは「野宮真貴」。昨日がその公演日であった。

 昨夜はソールド・アウトで超満員。特設のテント会場も熱気にあふれていた。野宮さんと言えば元ピチカート・ファイブで、オシャレな渋谷系サウンドが頭に浮かぶ。だが、映画「男と女」のテーマ曲をカバーするなどフレンチな要素もあり注目していた。そして、釧路管内音別町出身、子供の頃は札幌や室蘭にも住んでいたとのことで、とても親近感がもてるシンガーである。

 ステージでは、ピアノ・ギター・ベース・ドラムスというシンプルな編成のバンドを従えて登場。何と1曲目は写真撮影が可能で、ライブの模様を積極的にSNSで発信してもらいたいとのこと。(ブログですがそうさせて頂きました。)冒頭は夏向きの曲をカバーしたニューアルバムWonderful Summerからの曲を中心に進行。途中でテレビのCMソングをいくつか披露。この曲、実は私が歌ってました!との紹介にどよめきと拍手が。さらに圧巻だったのはご当地CMソング・コーナーとして歌われた「千秋庵の山親爺」と「狸小路商店街の歌」。前者はバンドのメンバーも含めてとても良い曲と大絶賛、後者は私も充分に口ずさめるお馴染みの曲だが、実は作詞・野坂昭如、作曲・いずみたく、歌・朝丘雪路とボニージャックスだと紹介され、そんなにすごい人達が関わっていたのかと再認識。そして、アンコールではピチカートのメドレーが演奏され、コアなファンも満足できたに違いない。

 全体的に大人の雰囲気いっぱいの落ち着いたライブだった。もちろん野宮さんのファッションも含めてオシャレ感もいっぱい。フレンチ系の曲が演奏されなかったのが残念だったが、次回に期待しよう。

アナログ・コレクション: エマーソン・レイク&パーマ−4枚のアルバム

2017年07月14日 | プログレ

 暑い!北海道では10日間連続真夏日という20年ぶりの暑さとのこと。札幌も今日は33度ほどあったそうで真夏日を記録した。大通公園のビアガーデンは来週開園だから、ちと早い真夏の到来である。そんな中夏になると思い出すことがある。エマーソン・レイク&パーマーの初来日が1972年の7月、ちょうどこの時期で、それに伴って来日記念盤として発売された4枚目のアルバム「トリロジー」を愛聴していたことである。あの頃も暑い夏だった。記憶が定かではないが、それまでに「タルカス」や「展覧会の絵」は聴いていたはずだ。だが、初めて買ったEL&Pのレコードは「トリロジー」だった。(詳しくはここで。)その後「タルカス」も購入したが、好きなバンドであったにもかかわらず、なぜか揃えたのはその2枚のみ。

 そしてこの度、狸小路(たぬきこうじ)にあるFresh Airさんの店頭ワゴンセールにて、ファースト・アルバムと「展覧会の絵」を見つけ購入した。どちらも国内初回盤(さらに「展覧会」の方は帯付き)で、記憶が40数年前にタイムスリップ。多少汚れがあるが許容範囲のジャケットを見て、そうそう、こんな作りをしていた!などの思いが蘇る。そして針を落としてみると盤の音質はなかなか良い。特にファーストの方は1曲目「未開人」から厚く重たいサウンドが聞かれる。2枚とも音飛びやノイズもなくアナログサウンドを十分楽しむことができた。

 すでに3人中2名が鬼籍に入ってしまったことが信じられない自分だが、リアルタイムを共に生きたことに感謝しつつ、あとは「恐怖の頭脳改革」がそろえば私としてはひと段落である。その彼らの5枚目は超ビッグになったELP待望のアルバムで、リリースされた時には楽曲の素晴らしさ(=良さ)もあり爆発的に受け入れられたものだった。実はワゴンセールにてその国内盤もあったのだが、買わなかった。ここまで来たらぜひ帯付きを探し求めたいと思ったのである。

さあ読むぞ!新訳ジョン・ディクスン・カー創元推理文庫版

2017年07月11日 | ミステリー小説

 創元推理文庫版ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)の新訳本を写真のように揃えた。これまで「三つの棺」「火刑法廷」の新訳(早川文庫)を読了したが、創元版ではまず「曲がった蝶番」に取りかかっている。読むペースが遅いのでこの夏から秋にかけて読破予定。

 実は有名な「ユダの窓」は一度も読んだことがなかった。密室のトリックが有名すぎて読む前にその内容を知ってしまったという残念な理由があったからだ。しかし、この作品は法廷ものとしても優れていることがわかり、新訳版を数年前に購入。「貴婦人として死す」も全くの未読で、このような作品があったことは創元文庫のリストで初めて知った。他の作品のうち「髑髏城」は旧訳版で読んだ記憶がある。「曲がった蝶番」も児童書訳で読んだ。いずれもかなり昔のことだ。名探偵フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿、そしてアンリ・バンコランの活躍を順不同で改めて楽しみたい。

 以前こちらで述べたことがあるが、JDCは怪奇趣味+密室トリック+ユーモアの組み合わせに大きな魅力を感じていて、できれば全作品を読んでみたいと思う作家の一人である。この願いがはたして叶うだろうか、、、!?

やっぱりオフコースはイイ、、、(その2)

2017年07月02日 | ミュージック

 もうひとつの思い出は、学生時代のバンドが卒業前に自主制作アルバムを作ろうと録音作業をしていた時大変お世話になった方の話。その人はバンド・ギタリストの大学の先輩で某レコード会社に勤めていて、オフコースのレコーディングに係わっていた。裏話的に教えてくれたのは、彼らはスタジオに入ってから曲作りを始める、その時に壁に紙が貼ってありそこに「愛」だの「別れ」だの曲のモチーフになる言葉が書かれていて、それを見ながらまずコード進行を考えながら作業している、当然歌は最後になるのだということだった。それが具体的に見えたのがNHKで放送されたドキュメンタリー番組「若い広場」のアルバムover制作過程を追った「オフコースの世界」。キーワードの掲示こそ見られなかったが、ラフなコード進行を元に肉付けをしながら仕上げていく模様をみて納得した。特に某曲の初期バージョンの練習風景が紹介されていたが、それが最終的に「愛の中へ」として完成させるというプロの力の凄さを見せつけられた。実は我がバンドもそのような曲作りをする場面が多かったので、かなりの親近感を感じさせてくれたのも事実であった。(中身は別として。)

 このような思い出の中、最近またオフコースを良く聴いている。特に好きな曲は、「水曜日の午後」「ワインの匂い」そして「きかせて」。動画サイトをチェックすると昔は頻繁にラジオ番組には出演していたようでスタジオライブの音源もいくつかアップされていて、つい聞き込んでしまう。そこで聞かれるスタジオ盤とは違ったコーラス・アレンジを参考に、近い将来自分でも演奏したいと思う。(「きかせて」はライブでは演奏していないと勝手に思っていたがちゃんとあることに驚き!)

 アルバムでは目下のところ「きかせて」や「YES-NO」、「時に愛は」などを含むWe areが好きなのだが、次作のoverも良い。ドキュメンタリーを見たことも興味を倍増させた。そして、これらの2枚のアルバムタイトルをつなげると、We are over(僕たちは終わった)となることの意味なんかも当時は考えていたものだった。この時実は鈴木康博がグループをやめる方向で進んでいたのを知ったのは数年後のことである。そういえば、4人編成になったオフコースのas close as possibleツアー(87年)の札幌公演に行ったものだ。もう30年も経つのだなぁ。

 オフコースは、しばらく経つとまた聞きたくなる。やっぱりイイ、、、


やっぱりオフコースはイイ、、、

2017年07月01日 | ミュージック

 オフコース。小田和正がオリジナルメンバーとして所属していたバンドだ。元々は鈴木康博などとのフォーク編成だったが、後年3名のミュージシャンが正式メンバーとして加わりバンド化した。三十数年前の頃、バンドとしてのオフコースはテレビにあまり出ず、小田和正のカリスマ性も加味され高い人気だった。シングル盤として出される曲はことごとくヒットし、アルバムも大注目だった(と思う)。

 当時社会人になったばかりの頃、私は学生時代のバンド活動を離れ、一人楽曲制作にあたっていたが、オフコースの曲はなぜ売れるのか?を探ってみようと彼らの曲を聞き込んだ時期があった。その結果、オフコースが大好きになってしまった。曲が良いことはそのとおりなのだが、コーラスやハーモニーの絶妙な点が曲の良さを引き立てていると理解した。それに習って自作曲もコーラスに凝ってみたりしたが、まるで声変わりのなかった小田氏やボーイソプラノだった鈴木氏両者の美しいハーモニーにかなうはずがない。ただ、同じ曲でもカウンターメロディをつけることや、バックヴォーカルのアレンジで全く違った印象になるということを学んだ。また、サウンド的に隙間の多い傾向があり、そのことについて小田氏は後述のドキュメンタリー番組で「オーバープロデュースせず、音的には足りない部分もあるけれど、それは聴く人が足して聴いてくれればいい」というようなことを語っていた。この時制作していたoverはまさにそれを感じさせるアルバムだったが、それも歌唱力の素晴らしさがあったからこそだろう。

 そういう中、名曲YES-NOを私自身バンドで演奏できるチャンスがあった。私はシンセと高音のバックヴォーカルを担当し、トランペット音のイントロ付きとなしの2バージョンを演奏した。ヴォーカルの男子が高い声も出て、オフコースのライブ版と同じキーで歌えた(たしかスタジオ版のキーより半音低い)せいか、聞いた人がサビのハーモニーのところが本物そっくりで鳥肌が立ったと言ってくれたことを今も有り難く覚えている。その時の録音が残っているが、たまに聞くと我ながらイイ感じだと自己満足である。しかし、実際にコピー演奏を経験してみて、アレンジはリズムも含めてそれほど複雑ではないのに、最小限の工夫で最大限に曲を引き立てているところが職人技であるとつくづく感じた。(続く)