最近クイーン・オブ・シティポップと呼ばれている土岐麻子の新譜ベストアルバム "HIGHLIGHT" を購入した。
本ブログで和製ポップスを取り上げるのは森高千里やオフコースくらいで珍しいことなのだが、土岐麻子については実は以前から聴く機会が多かった。というのは彼女がジャズやスタンダードを歌ったアルバムを出しているからだ。それをレンタルCDショップで何気なく見つけ、借りて聴いた。まず彼女の声が耳に残る。ハイトーンかつウィスパー・ボイス風の歌声が私にとっては魅力的だった。スタンダードを扱ったアルバムからの曲を集めた "Couleur Caf Meets TOKI ASAKO STANDARDS Mixed by DJ KGO" は曲の切れ目がなく一気に聴かせるアルバムだった。それも新鮮だった。というわけで私は土岐麻子をジャズシンガーだと思っていた。
そんな時期を経て、今年1月にPINKというアルバムがリリースされけっこうラジオで曲が流れていた。あれ、この曲イイナ、誰が歌ってるのだろう?と思っていたらそれが土岐麻子。フレーズが耳に残る。メロウなアレンジも昔のAOR風で私好み。ここで遅ればせながら、彼女がポップシンガーであることを認識したのである。
ここに至るまでFM東京のグッドラック・ライブに出演したり、この夏のSapporo City Jazzにも登場。残念ながら後者には行けなかったのだが、前者のスタジオライブはエアーチェックして(死語?)ライブの雰囲気を味わった。今月NHK-FMの番組「サウンドクリエーターズ・ファイル」にも2週連続で登場。そして、今回このベスト盤にたどり着いた訳である。
最初と最後に新曲を置いた全15曲はとても聞き応えがある。今年出たばかりのPINKからの曲も含まれており、全ての曲で作詞を行っている。自らの解説によるとこのアルバムのテーマは“ダンス”であるとのこと。確かに元気あるノリの良い曲が並ぶ。その中でも3曲目の「乱反射ガール」は良い曲だ。好みのコード進行だ。他に「Gift〜あなたはマドンナ〜」は“シュペリエ−ルな”のフレーズが印象的な明るいポップスで作詞作曲はEPO。まさにそれらしい曲。「僕は愛を語れない」は80年代を思い出させるAORアレンジが心に刺さる。後は省略。一言付け加えるとすると、縦横無尽のメロディを独特の声で巧みに歌う土岐麻子ワールドを堪能できるアルバムである。