
これを片手にいろいろな場所に撮影に行ったものだ。一番覚えているのは、近くにあった丘珠空港に部員と行って飛行機を撮影したことだ。空港ビルの外から中の飛行機を撮っていたら、パイロットらしい人が寄ってきて、飛行機を撮るならあっちの方に行ったらいいよ、飛んでる下の方から撮れるよと自衛隊の方を指さした。札幌の丘珠空港は自衛隊の管轄であるが、行って頼めば撮影可能だと教えられた。その言葉を信じて正門に行って申し出たら、内部とやり取りし始めなかなか入れてもらえない。何のために撮影するのかなど根掘り葉掘り聞かれ、何だか悪いことをしている気がして結局退散した。そんな重苦しい経験をしたのが初めてだったのでよく覚えている。
今もこのカメラはシャッターもきれるし、フィルムの巻き取り部分もスムーズに動く。だが一部ねじが外れているところもあり何とか修理したいと思う。父なき今、大切な形見のひとつである。