ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

秋の夜長のこの一枚 SEASONS OF MY SOUL / RUMER

2013年09月29日 | ミュージック
 知人の紹介で知ったこのアルバム、すっかり気に入ってしまい現在ヘビーローティション中である。Rumerはパキスタン出身のイギリス人シンガーソングライター。経歴を見るとなかなか波瀾万丈の人生を送ってきた様だが、それとは裏腹の甘くてロマンティックな曲調にうっとりし、そして歌声は時々カレン・カーペンターに似て聞こえ、美しくも切ない。最近の若手シンガーのような派手でアップテンポの曲はなく、しっとり情感を歌い上げる。私の年齢と今の季節にぴったりはまる。バート・バカラックが彼女を絶賛したというが、彼の名曲Alfieも歌っている。今まで聞いた数多くのカバーの中で一番好きになった。難しい旋律をさらっと美しく歌い上げている。新作と思ったらこのファーストアルバムは2010年リリース。3年近くも聞きそびれていたとは。

 続くセカンドアルバムBOYS DON’T CRYは彼女のセレクトした曲のカバー集。ポール・ウィリアムス作のTravelin’ Boyに懐かしさを感じ、ホール&オーツの名曲Sara Smileやトッド・ラングレンBe Nice To Meもすっかり彼女の持ち味が加わり別の曲のよう。彼女の存在を知らせてくれた知人に感謝し、秋の夜長ミステリ小説を片手に耳を傾けよう。


YES イエス「危機」がとうとう5.1サラウンドに!

2013年09月28日 | プログレ
 待ちに待ったイエスの「危機」Close To The Edgeサラウンド版が来月リリースされるというニュースが入った。ジェネシスやキング・クリムズンの全アルバムが順調に5.1チャンネル化される中、イエスはFragileが発売されていただけだったが、ようやく私にとっての最高傑作が陽の目を見ることとなった。そしてその内容を見ると、CD/DVD-Audio版とCD/Blu-ray版の2種類がでるようだ。

 ミックスを担当したのはクリムズンやELPのサラウンドを担当した Steven Wilson。DVDにはLossless 96kHz/24bitサウンドが含まれているが、Blu-rayにはそれがなく、DTS-HD 96kHz/24bitによるサラウンド音声とのこと。さらにBlu-rayにはNeedle-drop of Original UK Vinyl LPCM 96kHz/24bit A1/B1 pressingとの表記があり、もちろんこれはオリジナルLP、それもマトリックス番号A1/B1という、場合によっては何万円もして取引されている音源をリッピングしたものだろう。その他、Instrumental Versions ? New Stereo Mixという説明もあるが、まさか演奏のみ(つまりカラオケ)が収録されている訳ではないだろう…??

 詳細は下記サイトをご覧いただくとして、私にとってはどちらのヴァージョンも捨てがたい。よって両方とも予約を入れてしまった。またまた小遣いが飛んでいく…!が、この大好きなアルバムをぜひサラウンドで聞きたいと常々思っていたので、ようやくそれが実現する。ただただ発売日が待ち遠しい。

http://yesworld.com/2013/08/close-to-the-edge-in-5-1-surround-and-stereo/

アコギ サドルの形

2013年09月23日 | ギター
 私はギブソンJ-45の2弦の音が好きだ。きりっと際だった音がすると弾くたびに感じていた。これはマーティンM-36にはない感覚だ。私のM-36は全体的に柔らかなトーンで6つの弦による音が周りの空気を包み込む感じ。一方J-45はより太くかつシャープに周りの空気の外へ突き進む、そんな印象を持っている。J-45のボディがM-36より深めだという違いはあるとして、それ以外のそのようなサウンドの一因として特徴的な第2弦の音がある気がする。なぜだろう。そこでふとサドルを見て独特の形をしていることに気がついた。2弦をあてる部分の形が独特なのである。マーティンのサドルと全く違う。もしかしたらこのことに私の印象が関係しているのだろうか。

 ギターにおいてナットとサドルの2カ所が弦を直接載せている部分なので、音にとって重要だということは納得できる。特にサドルは、エレキギターではオクターブバランスの調節をするなどギターの音程・音色に重要な部分だろう。そして、今各社において様々な形のサドルがあるようだ。調べてみた。

 一般的なギブソンのサドルとしてネット上で紹介されているのは、2弦の接弦部分が後ろに下がる、つまりピン寄りの形をしたものだ。そこを含めて各弦とは点的な接触をする構造になっている。これらサドルとナットに関するだけでもいろいろな人がレクチャーしていて、音質や音量に大きく影響するという。また、2弦と6弦がピン寄りの形をしているものがある。これにより2弦と6弦の弦長が僅かに長くなるのでフレット音痴が減ると言っている人もいる。仮に接弦位置が弦ごとに違えばオクターブ調整がより適正になると言う人もいる。

 ギターとは何とも奥深いものである。ナットやサドルの材質にこだわり自分で形を整えることで音が良くなる、と唱える人も多い。今のところそれに深く関わろうという気持ちはないが、やはりJ-45の2弦の響きが良い理由は気になる。そしてそれを説明するものは見つかっていない。ただ、弾いていて気持ちが良いのだからそれで良いのだろう。ふとマーティン000-1を見ると、これもまた変わった形のサドルを載せていることに気がついた。アコギの音・探求の旅は果てしない…。


ザ・ビートルズBBCオンエア音源 On Air-Live at the BBC Vol.2

2013年09月18日 | ザ・ビートルズ
 BBCのラジオ放送でオンエアされたザ・ビートルズの演奏を集めた新たなアルバムが11月11日、全世界同時リリースされる。「オン・エア-ライブ・アット・ザ・BBC Vol.2」で、前作「ライヴ・アット・ザ・BBC」(こちらもリマスターで再発される)と重なる演奏なしで、I Wanna Hold Your Hand、She Loves Youなど5曲のNo.1ヒットを含む40曲と、メンバーのダイアログが収録されているとのこと。CD2枚組とLPレコード2種類での発売だ。

 資料によると、62年からの3年間でビートルズは275曲の演奏をBBCにて放送したらしい。何度も演奏した曲もあれば1回きりのものもあったとのことだが、当時のライブ・バンドとしての勢いを感じる。そして私はその勢いを改めて体感したく、このアルバムのリリースをとても楽しみにしている。古い録音であるにもかかわらず、アルバムが出ることにこうして心が躍ってしまうのはさすがビートルズのなせる技。加えて、アイドルとしての側面も醸しだしている今回のジャケット写真も、なかなかイイ。

 ところで、ダイアログ・トラックとは何か。これはスタジオでの雑談や、メンバーとBBCの司会者たちとの会話を収めたものとの説明がある。私は「ビートルズ・レア・フォト&インタビューCD Vol.1」というCDを持っている(結局Vol.2以降は出ていない?)が、英語による対話が収録されているだけなのでじっくり聞くことはなかった。ただ、付属の写真集欲しさで買ったようなもの。従って、今回のダイアログ・トラックについての魅力は何なのかはわからない。これについては現物に触れるまで判断を待とうと思う。しかし、前述のように当時のビートルズの勢いのある演奏、迫力あるパフォーマンスには大いに魅力を感じる。放送用音源として当然一発録りであろう。言うまでもないが彼らのライブ・バンドとしての演奏力は高度で、曲のクォリティの高さとの相乗効果を醸し出していた。その凄さは前作で実証済み。体調の良い時に聞くととてもテンションの上がるアルバムだ。だから今回も楽しみなのだ。

 それにしても、BBCは数多くの未発表の音源を持っているのだなと思う。NHK-FMでも昔から時おりBBCライブを放送しており、特にプログレバンドの貴重な音源には涙ものだった。中にはレッド・ツェッペリンのように正式にリリースされているものもある。ラジオ放送は映像がない分想像力をかき立てる。私がラジオドラマを好きな理由のひとつもそこにある。かえってめまぐるしくカット割りが変化する映像版ならば、じっくり耳を傾けることのできるラジオ音源の方が好ましい。ここまで書いたらこのアルバムの注文はもう必須事項だ。問題はリマスターされた前作をどうするか。…「考え中」である。


SONY CD/MDプレーヤー ZS-M5 を分解した

2013年09月16日 | 音響製品
 この3連休、初日の昨日は所用があり函館に出向いた。プライベートで行ったのは8年ぶりであったのでとても懐かしかった。そして連休2日目の今日は天候不順なため自宅でポータブルのMD/CDプレーヤーの分解掃除をしてみた。モノはSONYのZS-M5。97年発売。当時MDを使い始めていた頃でMDとCD兼用のプレーヤーを欲しいなと思っていたところ、出張で東京に行った時に見つけ、デザインの良さを気に入り購入した次第。なかなか良い音を出してくれ、居間に置いて愛用していたのだが、その後年数が経つにつれてCDに音飛びが起こり、やがてディスクを認識しなくなる状況が発生。また上部の開閉式カバーも不調に。いつか中を開けて直そうと思っていたのだが、それが本日となった。

 <写真下:分解後>スピーカー部分を覆っている前面のネットをはずし、止めてあるネジを回すことで難なく分解できた。見ると、上部カバーの開閉に関係しているギア式ネジが一個外れている。正しく開け閉めできない訳が一目超然。だが、収まるべき場所は分かるのだがどのようについていたのかがわからない。結局、サウンドに影響のない部分なのでネジははずしたままにし開閉装置を解除してしまった。

 次に、何とか普通にCDを聴きたいと思ったので、CDドライブのレーザーレンズの清掃に挑戦。少し苦労したがドライブ部分をはずして、カメラのレンズ用の液体クリーナーで清掃した。電源とスピーカーの配線を戻してCDを試聴。事前に読み込まなかったCD-Rも音楽CDも無事に認識。あとは全体的に内部の汚れを落として元通りに組み立てて終了。やはりレンズの汚れがかなり進んでいたようでこれで当面は大丈夫そう。もともとMDは問題なかったし、ライン・イン端子もあるのでiPodなどの外部音源も聞くことができたのだが、やはりCDが聴けないのは困る。

 分解してみてわかったことは、筐体はプラスチック製なのだがかなり堅い素材で、スピーカーもバスレフ構造をしている。この辺に締まった低音を持つ音の良さの理由があるのだろう。AMのステレオ放送も対応しており、MDの倍速やmp3ファイルは無理だが、なかなかの優れものである。ということでこれからも大事に使っていこうと思う。


スティーヴ・ハケット Live at Hammersmithを注文した!

2013年09月09日 | プログレ
 ハケット先生の最新ライブ盤Genesis Revisited Live at Hammersmithの発売日がサイトでもアナウンスされた。イギリスは10月21日である。ということで、彼の公式ウェッブサイトにあるオンラインストアーHackettsonngs Webstoreをチェックしてみた。
 http://hackettsongs.sandbag.uk.com/
 3CD+2DVDでの本体価格が27ポンド、日本への送料込みで30.5ポンド、本日のレート1ポンド156円で計算すると4,758円である。5枚組にしては予想していたほど高くない。5.1サラウンド音声収録のライブDVDはNTSCのリージョン0なので日本での視聴も問題ない。またこのサイトは世界中への発送を行っており、Masterや VISAのみならず JCBカードでの支払いが可能とFAQでの説明がある。
 そして、何と言っても嬉しいのは、プリオーダーの商品に対してもれなくスティーヴがサインするという。私がよく利用する国内のサイトをみるとすでにアップされているが、現在4,748円なのでその差は10円。到着の日数がしばらくかかることだけ我慢すれば当然ハケット先生の直筆サインのあるアルバムを入手したくなる。ということで注文してみることにした。
 ところが、サイトにアクセスしてクレジットカードでの支払いをしようと思ったらJCBの名前がない。FAQでは記載があるのに。ということで今回は別のカード会社を選択したが、今後のこともあるのでメールで問い合わせをしている。そのことも含めて現物が届いたらレビューしようと思う。

 ところで最近我がハケット先生が Farida D-52/12E という12弦エレアコ・ギターを抱えている記事がこの公式サイトでアップされていた。そしてツアーブログの写真を見ると、そのギターを今回のGenesis Revisited IIツアーのVerona 公演でRipplesを歌うAmandaの傍らで弾いているようなのだ。このギター、Steve Hackett Limitted Editionとのことで25台限定で販売されている。ちょと気になる存在だ。


アビーロードを歩く ザ・ビートルズ追体験

2013年09月07日 | ザ・ビートルズ
 先日20年前のフランス、ボルドーへの旅について書いたが、それで思い出したことがある。ビートルズゆかりの場所、アビーロードに出向いたことである。と言ってもスタジオを訪問したわけではない。ビートルズのラスト・レコーディング・アルバム「アビーロード」のジャケット写真で有名なあの横断歩道を訪れたのである。
    
 私が生まれて初めて海外旅行に行ったのが1988年の終わり、訪問先はパリとロンドン。当時は航空運賃が割安だが数カ所でトランジットするため時間のかかる南回りというルートがあった。その便を使いはるばるロンドンにたどり着いた。そこでの一番の目的がアビーロードを訪れることだった。

 地下鉄のセント・ジョン・ウッズ駅で降り、友人と二人で現地の人に聞きながら歩き、ようやくあの横断歩道が見えた時の感動は今でも忘れられない。ジャケ写真の頃と違い道路には駐車禁止を表すゼブラ・クロッシングというギザギザ模様が描かれている。そして、その道路に面した場所にビートルズの全アルバムが録音されたアビーロード・スタジオが建っている。当時はEMI Abbey Road Studioという名前だった。建物前にはスタジオの敷地と歩道を仕切る柵があり、見るとその両サイドの白い壁にたくさんの書き込みがあった。当然ながらファンが多数訪れているのだ。そして、玄関先まで行って撮った写真が残っている。確かオフィスの中の人に許可をもらって撮ったと思う。奥に見える大きな建物がスタジオである。ちょうどNew Year’s Eveの日で人も車もほとんどいなかったので、友人とお互いに横断歩道を歩く姿の写真を何枚も撮ったり、アルバムジャケットとは逆方向からの撮影もしながら現場を楽しんだ。ビートルズファンとして彼らがかつて歩いた同じ場所を歩き、存在した同じ空間を一部だけでも共有できたことはこの上もない喜びであった。
    
 ロンドン市内には他にも映画Let It Beで見られるルーフトップ・ライブの行われた旧アップルレコード本社ビル、1作目の映画で登場するメリル・ボーン駅、赤盤・青盤レコードのジャケット写真を撮ったEMI本社ビルなど探せばいろいろ関連する場所があっただろう。また遠くリヴァプールまで足を伸ばせばビートルズのさらなる追体験ができたかもしれない。が、さすがにそこまでの余裕はなかった。ただ、今は東京タワー内にもあるマダムタッソーの蝋人形館に出向き、そこに展示されていた4人のビートルズ・メンバーの若き姿に接することだけはできた。
 このような海外旅行をビートルズのファンでない人には理解できないかもしれないが、私としては今も思い出深いものとなっている。

※追記:今年4月に嵐の松本潤君がロンドンに行きアビーロード・スタジオを訪問したことが最新のファンクラブ会報に紹介されていた。玄関先やスタジオ内で撮った写真の他、横断歩道を歩く姿も掲載されている。記事ではビートルズのことも触れているし、わざわざ見学にいくのだから彼もビートルズファンであるに違いないと思うのだが、いかがだろうか。


E.クイーン「フランス白粉の秘密(謎)」新訳 角川版と創元版

2013年09月03日 | ミステリー小説
 エラリー・クイーン作国名シリーズ2作目のこの作品を角川文庫版と創元推理文庫版の各新訳で読んだ。私にとってクイーンの国名シリーズは小学生の頃から親しみ、その後全て読破したと思っていたが、読み終えてこの作品は未読だったことに気がついた。その意味ではとても新鮮であった。

 最初に角川版を読んだ。前にも述べたがこちらは文字が大きく大変読みやすい。そして、翻訳もいかにも英文を日本語に置き換えましたという表現ではなく、日本語として違和感のない文体なのでとてもスムーズに物語を追うことができた。だからといって意訳に徹しているわけでないのは創元文庫版と見比べるとわかる。この辺は訳者の力量と言うことか。二人の訳者の名前が見られるのは、編集者も含めていろいろ吟味しているのかもしれない。

 この作品は、事件が発生した日一日の状況を中心に、最終章は2日後の朝という極めて短期間での様子が描かれている。「エジプト十字架」のように長い期間にわたる物語ではないので非常にテンポよく進行する。そして最後の一文で犯人が名指しされて終わるということでも有名だ。そこに至るまでいくつかエラリーが父親のクイーン警視と事件について話し合う場面があり、いわゆる推理小説としてのロジックを堪能できる部分も多い。特に最終場面の関係者を一堂に集めて事件を説明する定番シーンで、消去法で犯人を特定していく論理的説明にはぞくぞくするほどだ。ただ、ある重要な手がかりが見つかるがそれだけで犯人が特定できるのではと、ついつっこみを入れたくなる部分があったのも事実だ。即ちそれはタイトル「白粉」の意味にも関連するのだが、読了したから言えることではある。

 さて、創元推理文庫版の方は正確には流し読みである。以前も話題にしたが、両者の一番大きな和訳上の違いはクイーン親子間の会話である。エラリーが父親と対等の話し方をするのが角川版、上下を意識した話し方をするのが創元版。角川版「ローマ帽子」を最初に読んだ時はエラリーの口調に違和感を覚えたものだが、私は今は角川版の方が合っている気がする。日常的に格言を引用したり、外国語や比喩を使った話し方をするエラリーという若者は、私からすると高慢でちょっと気取ったイヤな奴という印象を持つ。そんな若者が親に対し丁寧な言葉遣いをするはずがないのではと感じる。このことについて解説のところで訳者がそのようにした理由について述べているので興味のある方はご覧いただきたい。(ちなみに、角川・創元の両者とも「解説」がとても面白い。)

 創元版の方もよくこなれた日本語なので読みやすい。クイーンが描いたというデパート全体図以外の部屋の見取り図が、角川は立体図、創元は平面図と違っていたり、細かい訳文の違いも確かにあるが、そんなことをとおして作品をさらに理解することになるのだろう。

 犯人が指摘される場面で終わるこの作品、登場人物達のその後がどうなったのか気になって仕方がない。特に、冒頭にとってもイヤな人物として紹介される新警察署長の様子がとても気がかりだ。そんなことも含めて思いつくままにこの小説について述べてみたが、一言でまとめるなら、「面白かった。」となる。次は「オランダ」を飛ばして「ギリシャ棺の秘密」(角川版)に進んでみよう。


赤ワインが好き2:ペトリュスに遭遇

2013年09月02日 | ワイン
 帰国後も火のついたワイン熱は下がらず、その後20年間、現在に至っても自称赤ワイン愛好家である。12本しか入らないが専用冷蔵庫も買った。この間、あるイタリアンフレンチ・レストランで出してくれたボルドー、ポイアック産のポンテ・カネが一番のお気に入りだ。5級に格付けされているワインで、ふくよかな味わいと美しいアロマを持ち、深酒しても後に全然残らない。息子の産まれた年のワインとして何本か保管している。彼が二十歳になったときに一緒に飲むのがとても楽しみだ。

 フランスと言えば高級かつ有名なワインが多いのだが。昨冬小樽の某ホテルに宿泊したとき、そのフロントの隣にセラーが置かれワインが保管されているという不思議な光景に遭遇した。その時そこにあったワインが凄かった。思わず許可をもらい写真を撮ってしまった。97年のペトリュスや95年ものラ・トゥールなどのラベルが見られる。ペトリュスは20万円以上の値段が付いていた。よほどのことがない限り一生飲むことのない銘柄ばかりだ。ただ、過去に利き酒をしたことがあるのだが、高級なワインだからといって必ずしもおいしく感じるとは限らない。多分、普段飲み慣れているクラスのワインが私には一番合っているようである。

 時を経て好みも変わり最近はブルゴーニュ産の赤、特にピノ・ノワールを飲むことが多い。しかし、ピノも世界中至る所でつくられている。ワインの魅力はまさにワールド・ワイド。今の職場にもワイン愛好家がおり、各国のワインを持ち寄りながら楽しむ機会がある。料理と合わせながら、そして楽しく話をしながら、私のワイン体験度数はさらに広がっている。


赤ワインが好き1:ボルドーの旅

2013年09月01日 | ワイン
 My Treasureとしていつも音楽関係のことを述べているが、音楽と離れて私の好きなものがある。それは赤ワインだ。最近は飲む量が減っているが、90年台に赤ワインのおいしさに目覚め、以後かなりの数のボトルを開けてきた。

 ワインに目覚めたきっかけは、妻の友人がフランス人男性と結婚し現地に住んでいるので遊びに行ったことである。今から20年くらい前の話だ。住居はパリから300キロほど南西のショヴィニーという町。近くに歴史上の戦いで有名なポワティエのある地区。そして夫君が学生の頃ボルドー地区のワイン農家(シャトー)に下宿していたとのことで、我々をさらに200キロ離れたその場所に連れて行ってくれたのだ。

 それまでもワインは何となくは飲んでいたのだが、実際に造っているその場で飲ませていただいたワインは格別だった。価格的には決して高価というわけではないが、地元の雰囲気もあったのだろうか、その時われわれはすっかり赤ワインの虜になってしまった。シャトーのご主人や娘さんと飲みながら談笑し(といっても片言のフランス語だが)、造っているワインを数本分けてもらい(89、90年ビンテージ)実に楽しいひとときを過ごした。そのワインはChateau La Terraseといって、実は手元にあるワインの紹介本にも掲載されている由緒ある製造者だ。おみやげとしてボトルに貼るエチケットを大量に頂いた。これは貴重だ。

 その後、近くのサンテミリオン地区に出向き、ワインの産地として有名なその場所を観光。とあるショップでお薦めの一本を購入し、それも日本に持ち帰った。(シャトー・ボーセジュール・ベコという有名なワインだということは後で知った。)このような経緯で私にとって赤ワインはその時の思い出と共に忘れられない存在となったのである。