ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

思い出のコンサート '75 World Rock Festival

2013年04月30日 | ミュージック
 3月6日にここに書いたのだが、自分が以前行ったコンサートなどのチケットがどこかにあったはずということで探してみた。自分でも忘れていたが、実は写真用のアルバムに張って保管していたのだ。家内がそれを捨てようとしているのを間一髪間に合い阻止した。男はこのように昔のものを律儀に集めてなかなか捨てられない習性があるようで、私もその類に入る。どうもそこのところは、女性陣には理解できないようである(30日放映の「さんま御殿」でそのようなやり取りがなされていた)。
 久しぶりにそのコレクション?を紐解いてみると、人生において最初に出向いたロックコンサートは、1975年8月3日(日)開催のWorld Rock Festival、札幌真駒内屋内競技場であった。このフェスは東京、名古屋、京都、仙台でも開催されたのだが、最初の札幌公演の出演者は、内田裕也と1815ロックンロールバンド、ニューヨーク・ドールズ、クリエイション、フェリックス・パパラルディーwithジョー、四人囃子、コスモス・ファクトリー、カルメンマキ&オズ、そしてメインはジェフ・ベックグループ。JBGは当時Blow By Blow の頃で私も大好きなアルバムだったのでやはり彼が最大のお目当てであった。そもそも外タレ(死語?)なぞ直に見たことがなかったのである。しかし、プログレ好き少年の私は、四人囃子、コスモス・ファクトリーもかなり楽しみにしていた。
 このフェスにはいくつかの思い出がある。①コンサートの途中で「先ほどジェフベックの乗った飛行機が羽田(?)から飛び立ちました。」とのアナウンスが入ったこと。みんな、ワァーと歓声を上げたが、私は、え、まだ北海道に来てなかったの!?と驚いた。一緒に行った友人もそう思ったらしい。ついでに、千歳に着いた時もアナウンスがあり、それをきっかけに客は興奮状態に。②期待した四人囃子の演奏が予想以上に良くなかったこと。PAの状態が不調だったのと、プログレサウンドの要、メロトロンが鳴らなかった(らしい)。後のインタビューでそのようなことをメンバーが語っていた記憶がある。
③私はアリーナ席の端の方の席だったのだが、ふと気がつくとすぐそばにカルメン・マキが出てきてこっそり他のアーティストの演奏を聴いているではないか。悪いとは思ったがすぐ近くに行ってパンフレットにサインを頼んだ。確か快く引き受けてくれたと思う。だが、それに気がついた他の客が次々やってきてサインをせがむものだからマキさん、早々に退散してしまった。そして、その後、今度はニューヨーク・ドールズのメンバーが二人ほど登場し、やはりサインを頼んだ。一人はグループ名を、もう一人は変な記号のようなものを書いてくれた。(写真)④とうとうベックの登場という時、観客が一斉にステージ前になだれ込んだ。その中に私もいた。実はその日すでに誰かの演奏時に同じような状況が発生し、その時は係員に皆戻されていた。しかし、今度ばかりは誰一人それに従わない。結局最後までその状態のまま、ベックのステージは進行した。当時は安全対策がまだ十分ではなかったのだろう、その数年後、あの札幌のレインボーのコンサートでの悲劇が発生してしまい、当然ながら規制が厳しくなった。そう考えると、あの時私は怪我もなくよく無事だったなと思う。友人は着ていたシャツが少し破れていた。しかし、そのために10メートル程度の至近距離でジェフ・ベックの勇姿を見ることができたのだ。
 ちなみに当時のチケット代は、前売りS席2,800円であった。


エラリー・クイーンの国名シリーズ新訳

2013年04月24日 | ミステリー小説
 かの有名なエラリー・クイーンの国名シリーズ、文庫での新版が刊行されている。最初に目にしたのが、「エジプト十字架の謎」(創元推理文庫)で3年ほど前のこと。それは従来どおりの井上勇氏翻訳ものだが、新版ということで字体が大きくなった。私にとってこの字の大きさが目下とても重要なのである。この作品は以前紹介したあかね書房発行の少年少女世界推理文学全集の一冊として小学生の頃読み、エラリー・クイーンの名を初めて知った思い出深い小説である。

 国名シリーズは、第1作の「ローマ帽子の謎」がクイーンのデビュー作となり、その後次々と刊行された。手元の東京創元社解説目録によると、「1 ローマ帽子の謎 2 フランス白粉の謎 3 オランダ靴の謎 4 ギリシャ棺の謎 5 エジプト十字架の謎 6 アメリカ銃の謎 7 シャム双子の謎 8 チャイナ橙の謎 9 スペイン岬の謎 10 ニッポン樫鳥の謎」の10冊がタイトルされている。(ただしニッポン樫鳥…は日本独自の題名で、本来は国名シリーズではない。)確か、中学生の頃全てを読んだはずなのだが記憶が定かでない。もしかしたら、フランス白粉…は未読かもしれない。そんな状況でも、4の「ギリシャ棺の謎」がとても面白かったことは覚えている。かなり長い作品ではあったのだが、犯人の名前も記憶にあるくらい印象深い。そして現在、「ローマ帽子の謎」が新訳版で出版されている。そこで、今回話題にしたいのは、この新訳版についてである。

 最近、ミステリーの古典的名作が新たに翻訳されている。実はこのクイーンの国名シリーズも、角川文庫より昨年(24年)10月から新訳版が刊行されている。その皮切りが「ローマ帽子の秘密」である。原題をThe Roman Hat Mysteryというのだが、こちらはmysteryの訳を「秘密」としている。そして今流行?のコミック的な登場人物のイラストを表紙に載せており、エラリーの顔が描かれている本作品は店頭では今までの国名シリーズのイメージとはかなり違って見えるのではないかと思う。

 後書きで飯城勇三氏が、「今回の翻訳は私が知る限りでは最高の訳文である」と断言している。その理由は、クイーンは毎回「読者への挑戦」という趣向を設けているのだが、前版より読者が犯人を当てるための材料がわかりやすく記載されている、つまりよりフェアになったということのようだ。確かに例として引用されている部分の従来の訳は直訳的でわかりづらく、犯人捜しに生かすのはなかなか難しいと思われるのだが、新訳では我々日本人にもその辺がわかるように(と言ってもよほど注意深く読んでなければならないが)工夫されているのである。このシリーズは「刊行開始」と帯に表記されているので、おそらく今後他の作品も新訳で出版されるのだろう。現在はフランス白粉…を経て「オランダ靴の秘密」まで刊行されている。

 そして、ほぼ同じ時期に創元推理文庫からもこの国名シリーズの新訳(中村有希・訳)が出版されたのである。カバーのデザインは一新され、鍵のイラストが入っているなどミステリーの趣がありなかなか良い。ローマ帽子とフランス白粉が出て、今年第3作のオランダが刊行予定とアナウンスされている。

 両者の翻訳上の違いとしてまず気がつくのは、クイーン警視と息子エラリーの会話において、創元版は従来どおりエラリーは丁寧な話し方だが、角川版は今風に言うとタメ口言葉である。後者を最初読んだ時にはかなり違和感を感じたが、親子の会話なら実際そうなるだろうと思いながら読むと馴染んでしまった。(日本語の方が多彩な表現を示すという一例だ。英語は日本語ほど丁寧表現が多くはないし、男言葉と女言葉の表現があるのも同様。当然訳者の判断で翻訳も大きく変わることだろう。)

 最近文庫本を買う時に、活字が大きく印刷されているかどうかが一つの判断材料となっている私だが、今手元にあるディクスン・カーの名作「火刑法廷」ハヤカワ文庫版は他の出版社のものよりも7~8ミリ縦長の作りとなっていて、それだけでも読みやすさを感じる。そしてこれも新訳版である。カーの怪奇趣味もまた好きなのであるが、やはり創元推理文庫から新訳がいくつか出ている。それはまた別の機会に。

 結局クイーンは角川版と創元推理版とどちらが良いのか。実は創元版はこれからじっくり楽しむところなのである。悪しからず。


ガブリエラ・アンダース Gabliera Anders

2013年04月21日 | ミュージック
 バーブラ・ストライサンドのように我がCDラックに複数枚のアルバムが並ぶ女性アーティストがいる。ガブリエラ・アンダースGabriela Andersである。
 彼女のアルバムWanting を知ったのは札幌の玉光堂パルスというCDショップの店頭にあった試聴コーナーだった。ボサノバ好きの私は、2曲目に「イパネマの娘」が入っているこのCDを手に取り聴いてみたのだが、1曲目のFire Of Love に思わず魅了されてしまった。シンプルではあるがリズミックかつとてもスペーシーな広がりのある演奏にかぶさるミステリアスな彼女の歌声に引き込まれたのだ。モノクロの街中を一人歩くアンダースが映えるジャケットも魅力的で、ジャケ買い的に購入した雰囲気もあるのだが。確か99年のことだった。ところがどういう訳かこのアルバム、程なく聞かなくなりしばらく我が家の押し入れの段ボール箱で眠る羽目に。そして何度目かの引越しである08年頃、荷物の整理中に見つけ出し聞いてみた。実に10年近く経ってしまったが、以後愛聴盤となっている。
 久しぶりに聴いてみて、いろいろ再発見した魅力がある。ジョージ・デュークが参加し、ボサノバやサンバにジャズのみならず、レゲエやタンゴの要素も加味され洗練した都会的サウンドである。さらに完全なAORと少し違うのはアンダースの歌が時には囁くように、そして時には独特のスキャットを交えるなど様々な彩りがあるからだ。そして、曲が良い。中でも Just An Hour はG・デュークのアレンジで歌われるソフト・ジャズのバラードで、アンダースの歌とデュークのピアノソロが胸を打つ秀作。また、エリック・ベネとのデュエット曲 Forever はシンプルなメロディーなのに二人の見事な歌唱力で聴かせる1曲。そしてラストの Brasileira は軽めのジャズ・ボッサ調で、誰もが好きになるであろう美しい旋律と彼女の本領発揮というべきスキャットが堪能できる名曲だ。
 実は、このアルバムを輸入盤で購入していたのだが、日本盤には1曲ボーナス・トラックが加わっていることを知り、新たにそちらも入手してしまった。その時の解説を見て、驚いた。アンダースはボサノバ・ユニットのBelezaベレーザのヴォーカリストだったのだ。そして私はベレーザのアルバムをすでに3枚ほど所有していた。それらも玉光堂パルスで試聴し気に入って購入したものである。そのベレーザとして録音されていた曲の中にWantingでカバーされているものが多数あることにも気がついた。(曲のクオリティはこのソロの方が数段上であるが!)まさかそのような関係があるとは全然気づかなかったわけだが、やはり好きなものは好きなのだ、ということでさらにアンダースに惚れ込み、他のソロ名義2枚のアルバムも手に入れることができた。アルゼンチン生まれのためスペイン語で歌っている曲もあり、どこかエキゾチックな不思議な魅力を持つアーティストである。最近は活動をしていないようで、アルバムのリリースがないのがとても残念だ。

*写真上列左より~Beleza: One Note Samba 2003, Beleza 1996, Seven Days 1996,
*写真下列左より~Solo: Wanting 1999, Last Tango in Rio 2004, Bossa Beleza 2008


東州斎写楽の謎「写楽 閉じた国の幻」島田荘司・著

2013年04月17日 | 
 この小説は2011年版「このミステリーがすごい!」の第2位に選ばれ、その時写楽の謎というテーマに非常に興味を持ったのだが、このたび新潮文庫として刊行された機会に読んでみた。島田荘司氏に関しては、「斜め屋敷の犯罪」という、私がかつて住んでいたオホーツク海沿いを舞台にした作品を読んだことがあった。これは文芸春秋編「東西ミステリーベスト100」にも国内第21位として選ばれており、タイトルがすでにトリックを暗示しているという驚きの作品であった。本作品はそれとは全く雰囲気が異なる。いわゆる殺人事件は登場しない。メインは写楽の謎を解くということで、それは即ち「写楽は写楽という名の絵師であったという説明では納得できない多くの謎があり、だれか別人が写楽と名乗ったのだ、ではその別人とは誰か。」という問に対する答えを導き出すというものだ。
 その多くの謎とは、次のとおり。
・わずか10ヶ月しか存在しなかった。
・140点余りの大首絵(版画による今で言うブロマイド)をその10ヶ月の間にのみ描き上げた。
・それまでと全く視点の違う作風である、歌舞伎役者が喜ばないシワも遠慮なく描き、売れるはずのない無名の下っ端の役者の姿も描いた。
・なぜか作品上に荒々しい線と繊細な線が同居している。
・無名のこの作家の作品を板元の蔦屋(つたや)重三郎が異例の待遇で世に出した(即座に、大量に、歌麿・北斎クラスの高級な摺り方で)。
・後に実は自分が写楽だったと言った人物が皆無。
・蔦屋はじめ出版の関係者や当時の浮世絵師など関係者が誰一人写楽の正体について沈黙したまま。…
 つまり、「風のごとく現れ、それまでとは全く違う作風で作品を描き、出版元の異例のバックアップを受けリリースし、その後わずか10ヶ月で姿を消し、それが何者であったかだれもしゃべらない」というのが写楽の謎なのである。
 それに対する作者の最終的な答えは、「もし○○が○○の時に○○したのだとすると、すべての謎を説明することができる。」というもの。そして、それが史実と照らし合わせ矛盾が生じないことも示し、自説の根拠としている。他の説をよく知らない自分としては、東州斎写楽という名の意味の解釈も含めて非常に納得できる結論であった。素直に面白いと思ったし、上下2巻をあっという間に読み終えてしまった。
 なお、物語性を加味するための主人公によるサイド・ストーリーにより本作品は進行する。主人公の回りに登場する美しい女性教授の存在が最終的に写楽の正体とリンクすることは少し作りすぎかなと感じたが、江戸編に登場する人物達の「べらんめぃ調」は北海道に住む自分にとってはとても新鮮だった。
 作者は後書きで、全てを説明しきれなかった、心残りであると述べている。そして本作品続編の執筆を示唆しているのだが、もしそうなれば、今度は即読みたいと思う。それほど楽しめた小説である。


プログレ 今日の1枚 #5 One Among the Living / Mystery

2013年04月15日 | プログレ
 カナダのバンドMystery 2010年リリースの一枚、One Among the Living である。以前紹介した彼らの最新作は久しく愛聴盤となっているが、このアルバムはその一つ前の作品である。正式メンバーはBenoit David: Vocals, Michel St-Pere: Guitars, Steve Gagne: Drumsの3名で、最新作とはドラマーが違い、また正式メンバーとしてクレジットされていたベースの Antoine Fafard がここではゲスト参加となっている。他にもゲストが多彩で、ギターのダリル・スターマー(ジェネシスのツアーメンバーを務めた超絶ギタリスト)、キーボードにオリバー・ウェイクマン(あのリック・ウェイクマンの息子)の名も見られる。
 このアルバムの最大の聞き所は組曲形式で22分以上に及ぶThrough Different Eyes だろう。曲自体はそれほど複雑な作りではないのだが、静と動のメリハリある構成力、美しいメロディーとそれを際だたせる絶妙なアレンジ等によって壮大な楽曲となっており実に感動的だ。この組曲が中間に配置され、その前後には独立した曲が並ぶ。美しく深遠な雰囲気の曲が多いが、親しみやすいポップさを持つ曲やハードなリフを奏でるメタル風もあり、飽きさせない。そもそも Michel St-Pere の弾くヘビーなギターサウンドとフレーズがとても良い。69分間にわたり心地よく、そして聴き応えのある作品だ。今後繰り返し聞くことになりそうな一枚である。


思い出のプログレ・アルバム#7 トリロジー/エマーソン・レイク&パーマー

2013年04月13日 | プログレ
 「トリロジー(三部作)」と題され、初めてメンバー3人の顔がジャケットに使われた(が、日本盤はいつもエマソンの顔が隠れてしまう)このアルバムは、「タルカス」や「恐怖の頭脳改革」など傑作と呼ばれる他の作品と比べると比較的地味な存在かもしれない。しかし、写真の帯を見ておわかりのように、1972年6月のアルバムリリース直後に彼らは初来日を果たした。従って当時はプロモーションも強く行われ、その渦中にロックを聴き始めた私もいたのだ。実際、この新作がラジオ*で頻繁に紹介されていたので、私も自然にELPを聞くようになった。もちろん、グレグ・レイクがキング・クリムズンを脱退し、このグループ結成に加わったという事実も承知してはいたのでなおさらだ。
 「トリロジー」はそういう意味でELPを知るきっかけとなったアルバムである。この中で私の一番のお気に入りは 「フロム・ザ・ビキニング」 だ。アコギが奏でる少しジャージーな雰囲気の曲で、終盤の口笛風のモーグ・シンセのフレーズがたまらなく良い。好きな曲は当然弾きたくなる。昔、「展覧会の絵」の中の「賢人」とこの曲だけは完コピして今でもよく弾いている。(それに歌がつけば申し分ないのだが…。)他に、全盛の頃のライブでオープニングを飾った「ホウダウン」(高校時代の我がバンドで、キーボードとベースとドラムの3人が頑張って演奏していたのを思い出す。)、アルバムのオープニング曲でホラー映画のサントラをも思わせる「永遠の謎1~フーガ~永遠の謎2」のメドレー、始まりがこの上なく美しく終わりが荒々しい「トリロジー」、ラヴェルのボレロを彷彿させる「奈落のボレロ」など、改めて見ると名曲揃いである。
 以前スティーブン・ウィルソンによるELPの5.1chリミックス・アルバムについて述べたが、次に何が来るのか明らかになっていない。私としてはぜひこの「トリロジー」を聴いてみたい。それまでのアルバムと比べて、さらなる音空間の広がりを感じるからだ。この後、あの「恐怖の頭脳改革」を制作することになるELPにとって、油の乗り切っていた時期の、私にとって忘れられないアルバムである。
(*来日時には亀渕昭信氏のオール・ナイト・ニッポンにまで出演していた。その時に録ったカセット・テープが今も手元に残っている。)


Walkman ウォークマンを買ってみた。

2013年04月09日 | 音響製品
 学生の頃、カセットテープ式のウォークマンを電車の中や、大学での空き時間などに持ち歩いていたことを思い出す。特に私は軽音楽サークルに所属していたので、その場で実際に音楽を情報交換できるウォークマンを重宝した。
 かつてMDが出た頃、録音もできるMDウォークマンを愛用したことがあったが、ここ数年はすっかりiPod 派で、現在はiPod Classic 80GBを長らく使っている。ところが、このたび久しぶりに携帯音楽プレーヤとしてのウォークマンを買ってみた。その理由は、iPod より音質が良いと言われていること、ノイズ・キャンセル機能があることの2点だ。前者の点については例えばAmazon Japan での商品レビューを見ると絶賛に近いコメントが多くて、かなり気になっていた。
 注文したのはNW-E063 4GBのレッド。容量は小さめだが、多分これを使うのは交通機関での移動の際だけなので充分と判断。ノイズ・キャンセル機能付きだ。届いた際にまず感じた大きな問題は、管理ソフトがマックに対応していないこと。最初からわかってはいたが、ソニー製デジタルカメラ(サイバーショット)がiPhoto でも使うことができるので、何とかなるのではと思っていたのだ。結果はNG。USBで私のマック・プロに繋いでも全く反応なし。仕方ないので、手元にある6年前に購入したWindows マシンに繋いで対応ソフトをDL。つまり適切に音楽を聴こうと思ったら、もう一度CDから取り込む作業が必要ということ。iTune 上で作成してあるプレイリストが使えないのは不便だが、聴きたいCDだけ入れるつもりなので根気よく作業を開始。
 ヘッドフォンは専用で、これでなければノイズ・キャンセル機能は使えない。LMS3種類のサイズの耳当てが付属している。
 さて、実際の音だが…。これは付属ヘッドフォンがいかに耳にフィットするかで決まると感じた。耳当て部分が深めに入った状態で聞くと、中高音域での聞こえ方がクリアで低音も迫力ある。これはiPod以上の高音質だ。だが、だんだんと耳当てがずれてくると、その音質も変わってくる。従って、しっかり自分の耳サイズにフィットする耳当てを装着することが必須だと思う。そして、ノイズ・キャンセル機能も同様。購入後、都市間バスに乗る機会があったので視聴してみたが、適切な状況で聞くと確かに回りの音が気にならない感じ。念のため自宅で装着した状態で音漏れがしているか妻に聞くと、全然聞こえないとの返事。となると、しっかり装着している限りこれはなかなか良いのではないかと思う。
 ウォークマンには音の聴き方に関していくつかのプリセット・モードがある。例えば、アリーナで聴いているシミュレーション、サラウンド効果、クリアなステレオ、各イコライザー機能など。iPod にもイコライザーのプリセットはついているが、その他の機能はウォークマンの方が多彩である。また、直接録音できる機能もあり、カセットやMDなどからポータブル・プレイヤーに入れたい音楽のある場合には大変便利だ。
 交通機関でのお出かけ用としては、これはなかなかだ。ただし、散歩やジョギングのお供としては使用しない方が良い。回りの音が聞こえづらいと大変危険であるから、というのが結論である。


プログレ 今日の1枚 #4 AIRBAG エアーバッグ

2013年04月03日 | プログレ
 The Dark Side Of The Moon(邦題「狂気」。ちなみに先日3月24日がUKにてのリリース40周年にあたるそうだ。) はピンク・フロイドの代表作である。ロック・リスナーにとって知らぬ者はいないほどの名作だ。クリムズンが好きだった私も高校生の頃このアルバムを聴いてフロイドが大好きになった。この大ヒットアルバムの次に注目されながらリリースされたのがWish You Were Here(邦題「炎」)だったのだが、これを初めて聞いた時は「狂気」ほどの感銘は受けなかった。今ならタイトル曲はアコギの練習曲としても愛聴しているのだが。その後制作されたThe Wall ではAnother Brick In The Wall Pt.2 がシングルカットされ大ヒットし、頻繁にラジオでかかるバンドの仲間入りをした。
 前置きが長くなったが、実はフロイドの一連の注目作の中、The Wall の前にリリースされたAnimals* という地味であまり高い評価を得なかった(?)アルバムが私はけっこう好きなのである。中でもDogsという曲は名曲だ。何か独特のコード進行をもち、それが攻撃的かつ美しい。そして、今回紹介するAIRBAG というノルウェーのバンドがそんな時代のフロイドを彷彿とさせる素晴らしいアルバムを作っている。All Rights Removed である。2011年発表の彼らの2作目だ。
 一聴すればこのバンド、フロイド的サウンドだと誰しも思うのではないか。私としてもやはりAnimals時の雰囲気を強く感じる。だが、決してフロイドのコピーで終わっているのではない。ヴォーカルの声質は全然違うし、キーボードのサウンドも今風。曲のコード進行も独特だと思う。ただ、ギターはサウンドもフレーズもD・ギルモアの影響を強く感じさせるので、そこは確かにフロイド「的」ではある。曲中複雑な細かいキメがほとんどなくて、二つのコードが繰り返される中にギターなどのソロが被さりゆったりと曲を盛り上げてくれる。安心して身を任せられるロックという感じだ。うん、やっぱり今風のフロイドを聴いている気がして心地よい…。
 久しぶりにフロイドのアニマルズも聴いてみようか。
(*アニマルズ制作時に、フロイドの次のアルバムでは楽器をいっさい使っていない、というニュースがラジオの番組等で流れていた。それを聞いた人たちは皆???という感じだっただろう。結局ふたを開ければ楽器は普通に使われていたが、なぜそのような話になったのか不明である。動物の声が沢山入っているからだろうか…。)