ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

プログレ 今日の1枚 #6 Genesis Revisited II Selection

2013年06月27日 | プログレ
 このアルバムはGenesis Revisited IIの別ヴァージョンであり、本編2枚組には未収録のCarpet Crawlersが収録されている。この曲を歌っているのはRay Wilson、フィル・コリンズ脱退後のジェネシスのシンガーとなった人だ。こちらも入手することでGenesis Revisited II はコンプリートとなる。アマゾンのマーケットプレイスでは1000円以下という低価格だったので、ついクリックしてしまった。他の8曲はすべて本編版と同じなのでこの1曲のために買ったようなものである。でもまあ良い、私の好きなThe Lamia, Entangled, Blood on the… などが網羅されているのだから。

 Carpet Crawlersは数多い「幻惑のブロードウェイ」収録曲の中でもよく取り上げられる曲だ。ライブ盤Seconds Outにも収録されているし、99年にピーターも含めた一時の再集結時に出されたシングルでもこの曲の再録を聞くことができる(The Carpet Crawlers1999と標記されておりプロデュースはトレバー・ホーン。改めて聞くとポップなリアレンジがなされている)。そして今回レイのヴォーカル・ヴァージョン。確かにシンプルでわかりやすく、メロディが美しい曲だ。このように取り上げられているということは、メンバー全員がお気に入りの曲なのかもしれない。

 ところで、レイの加入したジェネシスは全くの別物だった。まるでマイク・ラザフォードとトニー・バンクスによるプロジェクト・バンドだったような気がする。ツアー・メンバーも一新されたのでなおさらだ。だからアルバムCalling All Stations はほとんど聞くことがなかった。だが、レイの渋い声はゲイブリエル的だなというのは強く印象に残っている。そして今回のCarpet Crawlerは後半のシャウトする部分がまるでゲイブリエルが歌っているかのように聞こえた。フランシス・ダナリーや他の参加歌手よりずっと。だから何?と言われればそれまでだが、要は結構楽しめたということである。そういえばCalling All Stationsがダークで広がりのあるサウンドだったのを思い出してきた。この機会にあのアルバムをもう一度聞いてみるのも良いかも。

 Genesis Revisited IIのおかげで私自身の「ジェネシスへの回帰」が新たに始まった気がする。


思い出のプログレ・アルバム#10 「トリック・オブ・ザ・テイル/ジェネシス」

2013年06月26日 | プログレ
 ピーター・ゲイブリエル脱退のニュースを聞いたとき、いったいジェネシスはどうなるのだろうと皆思ったことだろう。当時は2枚組の大作「幻惑のブロードウェイ」がリリースされ、それがあまりにも素晴らしい出来だったので、私としても脱退劇に大きな衝撃を受けていた。何せ、ヴォーカリストでありフルート奏者であり時々バスドラムを鳴らす、あの奇抜な衣装をまとったゲイブリエルはやはりジェネシスの看板であり、他のメンバーは彼の後ろに座りながら楽器を黙々と弾くという、まるでバックバンドのような存在に思えたのだから。

 だからバンドは解散せず、新しいアルバムを制作中だ、というその後のニュースにはひと安心したが、聞くとヴォーカルはドラマーのフィル・コリンズが担当するらしい。More Fool Meでの柔らかいトーンとヘタウマ風のイメージがすぐに浮かび、このことにはちょっとガッカリだった。だれかゲイブリエルに取って代わる素晴らしいシンガーが加入すると思っていたから。

 そんな気持ちのまま、いつもの試聴させてくれるレコード店で新作A Trick Of The Tail(76年)を聞いた。試しに聞いてみようかぐらいのつもりだった。1曲目Dance On A Volcano、そのイントロ、予想外にカッコイイ。ファンの心を十分に引きつけるジェネシスらしいサウンド。そしてヴォーカルは、ピーターが戻ったのかと思うほど彼の声に似ている!フィルってそういう声質だったの!?それが第一印象だった。続くEntangledにはもう完全にノックアウト。今聞いても本当に美しい佳曲だが、初めて聞いたときのあの衝撃。その時点ですでに私はアルバムの購入を決意していた。ジェネシスは健在だった。このアルバムとの出会いのショート・ストーリーである。

 アルバム全体は言うまでもなく素晴らしい仕上がりだ。バンド存続に向けての気迫が素晴らしい楽曲と演奏に見事に昇華した。オープニングとラストの曲がシンクロするというコンセプトも「月影の騎士」同様に再現されている。このアルバムからジェネシス・ファンになった人もたくさんいるだろう。曲は全てプログレ大好き人間をくすぐり、演奏欲求を向上させるものばかり。学生時代のプログレ・バンドでもSquonkやRipples を取り上げ演奏したが、前者は何とか歌えたが後者は高い音程が出ず、他の人にお願いしなければならなかった。それでもやりたかった。私は12弦ギターも担当し、もう一人のギターリストの12弦と合わせながら、完全コピーを目指したものだった。(多分、それはうまくいったと思う。)

 07年リリースの紙ジャケSACD+DVDデジタル・リマスタリング版でのREISSUE INTERVIEWS におけるメンバーの回想ではいろいろ興味深いことが述べられている。まず、実はバックトラックを完成させた時に新しいシンガーを見つけるためのオーディションを行い、選ばれた人物にSquonkを歌わせたところキーが合わなくて断念したという話。当時ヴォーカルをさほど重視していなかったので演奏をきっちり仕上げてからのリハーサルで、シンガーのキーに伴奏を合わせることなど全く考えていなかったそうだ。結局そのことがあったから、フィルがヴォーカルを取ることになったのだが、その選ばれたシンガーとはいったい誰だったのだろう。さらに、アルバムが完成した時には、今度はコンサートに向けてステージ用のシンガーを探したそうだ。しかしそこでフィルの奥方から、「あなたがやればいいじゃない」と言われたことが結局その後のジェネシスの大成功に繋がったというのは有名な話。

 ジャケットを制作したのはヒプノシス。各曲のイメージを表現したイラストが並んでいるのだが、ヒプノシス風な感じがしない。余談だが、日本での最初のリリースはシングル・ジャケットで中に歌詞カード挿入されているタイプ。日本での彼らのアルバムは、「フォックストロット」も「月影の騎士」も最初は独自の作りだった。であるからいずれはオリジナルのジャケ盤LPが欲しいと思う。探す努力もあまりしてはいないのだが。

 ともかく、新生ジェネシスの力量を見せつけた渾身のアルバム。私はフィル・ヴォイス時代のアルバムは、アートとしてのジャケットも含めて断然これが一番である。


思い出のプログレ・アルバム#9 プリーズ・ドント・タッチ/スティーヴ・ハケット

2013年06月24日 | プログレ
往年のジェネシス・ファンを喜ばせたアルバムGenesis Revisited II のリリース後、見事な来日3公演を果たした我がスティーヴ・ハケット先生。特に私が行けなかった3日目のライブではハイライトのSupper’s Ready においていつもとは違う感情の高まりを表現するようなギターソロを披露したとの報告を関係諸氏からお聞きした。そんなハケット先生だが、オリジナルのアルバム作品はもうかなりの数になる。その中で私が特に気に入っているのが78年発表の2作目Please Don’t Touch だ。

 正式にジェネシスを脱退した後にリリースされた作品で、何はともあれ私はこのアルバムのB面が大好きなのだ。曲の切れ目がない中でハケット風の幽玄な音楽世界が展開する。1曲目、ランディ・クロフォードが歌うHoping Love Will Last。ハケット先生が書いた曲の中で1、2を争う名曲だと思う。シンプルなピアノなどの伴奏にまるでテープの逆回転のようなサスティーン・ギターがからむ、その中で歌うランディのソウルフルな声。ランディ・クロフォードと言えば、フュージョングループのザ・クルセイダースと共演したことで当時話題になっていたが、まだそれほど知名度は高くなかったと思う。その彼女の声が実に曲調に合っている。特に間奏後のサビでのシャウトは鳥肌もの。学生時代、夕暮れ時の電車の中、ウォークマン(カセットテープ式)でこの曲を聴いていたら、目の前に見える黄昏の光(Afterglow)と曲がとても調和して一人感動したことを覚えている。この一曲だけでも聴く価値のあるアルバムだが、続くはお馴染みPlease Don’t Touch。今も演奏されるハケット先生お気に入りの一曲。聞くところによると、当初この曲はジェネシスの中でリハーサルされたそうだが、モノにならなかったらしい。でも、ここでのフルートのアルペジオが聞かれるバージョンは絶対に良いと思うし、ドラマティックだ。その後ナイロンクラシカル・ギターに導かれ、フィナーレのリッチー・ヘヴンスが歌うIcarus Ascendingに続く。アルバムの最後を飾るにふさわしい重厚で劇的な曲。そしてこの曲では間奏部分でいくつかのパターンのギター奏法が聞かれるのがとても面白い。こんなギターも弾くんだねぇ、と単純に驚いたものだ。やがて曲は大団円に向かい感動的に幕を閉じる。

 ランディ・クロフォードやリッチー・ヘヴンス(残念ながら今年4月に死去)のようなアメリカ人ヴォーカリストとスティーヴ・ハケットの共演、当初意外であり驚きだったが絶妙にマッチしているではないか。そもそもリッチーはジェネシスのオープニング・アクトを飾った人だったそうだし、そういえばチェスター・トンプソンがジェネシスのツアーメンバーになるなど、英米混合の下地は整っていたのだろう。

 私とってこのB面は何度も聴きたくなる。そして何度も感動する。A面もNarniaやリッチー・ヘブンスによる別曲How Can I? など遊園地のような気持ちにさせてくれるバラエティに富んだ曲と構成になっているのだが、B面の魅力が強すぎてあまり言葉が見つからない。ジャケットや中袋のイラスト、レタリングもこの寓話世界を作り上げるのに役立っている。とりわけ、ジャケ裏のハケット先生のお姿、とってもカッコイイと思いませんか?


出ました、クィーンの角川文庫版国名シリーズ第4弾「ギリシャ棺の謎」

2013年06月23日 | ミステリー小説
 今月20日、ついに新訳エラリー・クィーン国名シリーズの第4弾「ギリシャ棺(ひつぎ)の秘密」角川文庫版が発売されたのでちょっとご紹介。

 現在、三津田信三氏の「凶鳥の如き忌むもの」文庫版がもう少しで読み終わるところ。このシリーズは文庫化されるにあたって作品舞台の地図などが新たに挿入されるのが恒例となっているがこれもそのうちのひとつ。また、氏の作品はいつも登場人物や土地の読み方が難しいのだが、章が変わる毎にフリガナがつけられている配慮がうれしい。人間消失の謎解きが間もなく始まる。

 さて、国名シリーズ第4弾は待望の「ギリシャ棺」。9作品あるクィーンの国名シリーズのなかでも1.2を争う傑作と言われており、確かに私も中学生時代に読んだ時に面白いと感じた。そして犯人の名前も鮮明に覚えているのだが、ストーリーまでは記憶がない。この角川文庫版は文字が大きく、また新訳だけあってエラリーの吐く台詞も現代風である意味スタイリッシュ。このシリーズでは中の見取り図や現場周辺図などについても訳者が再検討し、より正確化を図る配慮をしているそう。充分再読に値するだろうと思う。1作目の「ローマ帽子の秘密」からいつも解説が面白いので読了後も楽しみだ。(加えて今、「ハッケンくんグッズ」キャンペーンというのを行っていて、名作大漁ストラップをゲット。この中に「犬神家の一族」や「貞子3D」というのもあるらしく、本当はそれが欲しかった!)

 もう1冊、写真右の「11枚のトランプ」は泡坂妻夫氏の名作。これも随分昔に読んだはずなのだが、マジックの不思議と本格推理の雰囲気が絶妙にマッチしていた記憶がある。本当は古本で探していたのだが、同じ書店にたまたまあったので併せて購入。こちらも近々再読してみようと思う。

 良質なミステリーは何度も読みたくなるものである。


Walkman ウォークマンを使ってみた

2013年06月19日 | 音響製品
 最近ウォークマンを意識的に使うようにしていたが、だんだん音がいいなと感じるようになってきた。とは言っても、作成ファイルの容量や種類によって違ってくるのだろうから、MP3、128kbpsファイルに限定しての感想だ。それともう一つ考慮するべきはヘッドフォンである。その形状や品質によって音質がかなり変わってくるのではと思われる。

 ウォークマンにノイズ・キャンセル機能が備わっていることは以前紹介した。それには専用のヘッドフォンが必要とのこと。実はマイクが仕込んであって、周囲の音的環境を感知し、それによって適切なノイズ・キャンセル機能が働くということらしい。My SONY Club のHPによると、「ノイズキャンセリングの原理は、マイクで拾った騒音とは逆の位相の音波成分を発生させて互いを消し合い、その場面で必要のない音、すなわちノイズを低減させるというもの」と説明がある。そのマイクは耳の左右装着部分外側に小さく埋め込まれている。すごい!そこで最近、外でこの機能を試す機会があったので感想を述べてみたい。

 以前にも触れたが、まずはヘッドフォンが耳にしっかりとフィットされなければ高音質もノイズ・キャンセル機能も効果は薄い。そこで私は自分の耳に合うイヤーピースを探してみた。付属のSサイズ(直径10ミリ)は小さすぎ、Mサイズ(12ミリ)は大きすぎで少し耳が痛くなる。その中間サイズがないかと、大型量販店を探した。あるのだ、11ミリサイズが。audio-technica製だったが試着してみたらぴったりだった。6コ入り480円也でそれを購入(本当は6コも必要ないのだが。)

 そのぴったりサイズをできるだけ耳の奥まで装着し、スティーヴ・ハケットGenesis Revisited II を聞く。少し低音を増強するイコライジングにしているためズーンと低音が響く。この低音の聞こえ方が音の良さの一端を担う。これを札幌の地下鉄、新千歳~羽田間の飛行機、そして東京のJR線、京急線で試してみた。

 ノイズ・キャンセルは「室内・航空機・電車バス」と切り替えがあるので、そのつど変えてみる。それによる違いはあまり感じられなかったが、総じて周囲の音が全く聞こえなくなるわけではない。あくまで持続的な雑音が減少するということだ。地下鉄では反射音が元々大きいのでそれは結構気になったが、ほかでは音楽に集中することができた。車内アナウンスは一応聞き取れるのだが、不慣れな場所では放送のたびに片耳のヘッドセットを外すことが必要だった。そして前回も触れたが、この状況では歩きながらの装着は危険だろう。周囲の様子がわかりづらくなるから、ましてや自転車の運転中はウォークマンはやめた方が身のためである。

 今回は音楽に関しての試行であったが、例えば英語などの語学学習の場合はどうだろう。今度はそれを試してみよう。


思い出のプログレ・アルバム#8 ムーヴィング・ウェイヴス/フォーカス

2013年06月17日 | プログレ
 オランダのバンド、フォーカス。思い出のプログレアルバム紹介の中から彼らを外すことはできない。

 私が初めてフォーカスを知ったのは高1の頃の3作目Focus3紹介の雑誌記事だった。それを読む限りはオランダのジャズ・ロック的なバンドのイメージだったのだが、直後に彼らの2作目Moving Wavesを聞いてそれにはとどまらない、クラシック的要素も兼ね備えた高度なテクニックを持つバンドなのだということがわかった。特にヴォーカル・フルート・キーボードのタイス・ヴァン・レアー(という読み方で良い?)の希有な存在感とギタリスト、ヤン・アッカーマンの抜群のギターテクニックは特徴的である。

 高校時代に結成したプログレコピーバンドで皆の一番のお気に入りはPFMの「セレブレイション」、そしてフォーカスの「フォーカスII」で、最初にその2曲ばかりを練習したものだった。結局そのバンドではフォーカスの曲がレパートリーとして一番多く、みんなフォーカスが大好きだったのだ。(Focus II, Anonymous II, Eruption(抜粋), ハーレム・スカーレム、ストラスブルグの聖堂など。)私はフルートを必死で練習した。その意味でも今も私にとってフォーカスは存在感の大きなバンドである。

 とりわけMoving Wavesは大傑作である。これほど密度の濃い楽曲と演奏が1枚のアルバムに凝縮されているとは驚きだ。冒頭の「悪魔の呪文」で驚異的なヨーデル・ボイスとハードロック並みのギターが聞かれたかと思うと、2曲目はナイロンギターによるクラシカルで美しい「ル・クロシャール」。A面最後の「フォーカスII」は美しくかつドラマチックな名曲(この曲はタイスの初期のフルートによるソロアルバムIntrospection にも収録されているが、そちらのバージョンもまるでクラシックの楽曲のように美しく演奏されている。一聴の価値あり)。 さらにB面全体を使った組曲「イラプション」は5つのパートから成るクラシックとジャズとロックが融合した大作である。確かバルトークの管弦楽の一節が引用されていたはず。途中の「トミー」はメロトロンをバックにギターが泣く名曲中の名曲で、我が敬愛するハケット先生もアルバムBeyond the Shrouded Horizon の中でカバーしていた。そしてクライマックスとなる中間のアドリブ部分ではハモンドオルガンとギターの音が炸裂し、実にスリリング。ベースもドラムもメインの二人をしっかりサポートしている。がっちりと作られた部分と自由な部分がバランスよく組み合わされた音楽、そんな印象を持つアルバムだ。

 この後フォーカスは、よりアドリブ性を充実させたFocus 3を発表。そのアルバムにはヒット曲「シルビア」が収められている。そして、さらなる大作Hamburger Concertoを発表した後、Mother Focusという力の抜けたフュージョン+ポップ風のアルバムを発表し賛否両論、話題となるが、結局私は気に入っている。さらにアウトテイクを集めた Ship of Memories (中のFocus Vは秀悦) 発表時にはアッカーマンも脱退しており、私も彼らから遠のいてしまった。しかし、今もアルバムがリリースされているのはタイスが頑張っているからなのだろう。

 ヤン・アッカーマンのソロについて触れるならば、3作目「流浪の神殿」でリュートを使ったバロック風な作品とティム・ボガード(b)とカーマイン・アピス(ds)を招いたバリバリのロック演奏の両面を展開し、私はこのアルバムも大いに気に入っている。


スティーヴ・ハケット来日公演2013その3~ライブ・レポートの2

2013年06月12日 | ミュージック
以下は(覚えている限りの)演奏曲目。
01. Watcher of the Skies
02. The Chamber of 32 Doors
03. Dancing With the Moonlit Knight
04. Fly on a Windshield (Vocal: Gary O'Toole)
05. The Lamia
06. The Musical Box
07. Blood on the Rooftops (Vocal: Gary O'Toole)
08. Unquiet Slumbers for the Sleepers
09. In That Quiet Earth
10. Afterglow
11. I Know What I Like (In Your Wardrobe)
12. Dance on a Volcano
13. Entangled
14. Supper's Ready
アンコール:
15. Firth of Fifth
16. Los Endos
 記憶違いがあるかもしれない。07から10にかけてはジェネシス「静寂の嵐」B面2曲目以降そのままのうれしい配列。2日目は Blood on the… の前に Horizons を演奏してくれた。3日目最終日はさらに何か変更があったのだろうか。
 ヴォーカルのNad はピーター・ゲイブリエル風の声質だが時にはフィル・コリンズの雰囲気も持つシンガーだ。 Revisited II では Eleventh Earl of Mar なども歌い他の公演では演奏されてもいたようだが今回はお披露目なし。時々リードヴォーカルをとるGaryも迫力ある歌い方で、何より彼のドラムはリズムが完璧。Rob はサックス・フルート以外にもシンセを担当、時には美しいパッド音、そして時には重低音ベースも。さらに時々バナナもとハケット先生から紹介され、本当にバナナを持ち込んでいた(笑)。キーボードのRogerは複雑なジェネシスの曲をそつなくそっくりに弾く。かつてシンセ・プレーヤーだった私としてはどんな楽器を使っているのか興味があったのだが遠くてよくわからなかった。(しかし詳細は公式HPに紹介されている。)
 全体的にはGenesis Revisited 1作目にリアレンジされて収録されたI Know What I Like, Dance on a Volcano, Firth of Fifth, Los Endos や Watcher of the Skies などをほぼオリジナルどおりの演奏で聞くことができたのはとても貴重かつ感動的だった。また、Musical Box が終わった時の拍手は凄まじく、みんなオールド・ソングが好きなんだと実感。そして、一番のハイライトはやはりSupper’s Ready だっただろう。演奏が始まると同時の最大限の歓声、そして冒頭の12弦ギターの美しさ、後半のドラマティックさに会場全体が息をのんで聴き入っていた。この20分以上の大曲が終了するやいなや、観客は皆総立ちで、いったんバックステージに下がったメンバーに対し熱くスタンディング・オベーション。その後2曲のアンコールはまずハケット先生の神髄が聴けるFirth of Fifth、そして複雑なキメのアレンジをイントロに披露したLos Endos。
 両日とも2時間を超えていたがほとんどMCがなかったので、ただひたすら曲が演奏される中身の濃いライブであった。特に私の好きなThe Lamia, Blood on the Rooftops, Entangledを存分に聞くことができ、全17~18曲があっという間に終わってしまったように思えた。
 両日とも公式グッツを購入した人の中で当選者にはサイン会がギグ後に開催されたようだ。私は何も買わなかったので、ライブの余韻に浸りながらすぐ会場を後にしたのだが、今回のライブに改めてハケットバンドの凄さを感じ、十分に堪能した2日間だった。本当に素晴らしかった。ただし、距離的にも金銭的にも今後このようなことは気軽にはできない。それだけにハケット先生との邂逅も含めて今回の体験を大切にしておこうと思う。ともかく、その後のビールの味が格別だった。
(追記)13日現在、公式HPに今回の来日の様子がアップされている。


スティーヴ・ハケット来日公演2013その2~ライブ・レポートの1

2013年06月11日 | ミュージック
 会場の川崎クラブチッタは600席ほどの小さなホール。だからどの席もアーティストが比較的よく見える。ただ、客席は椅子を並べているだけなのでどうしても前の人の頭が少し邪魔になる。もう少し段差があるとなお良いと感じた。
 会場内ではハケット先生関係グッズがいろいろ販売されていたが、私の目を引いたのはSQUACKETTのシングル・レコード(写真)。A面がSEA OF SMILES(SINGLE EDIT)、B面がPERFECT LOVE SONGでどちらもアルバム収録曲だ。これが何と300円だと言う。即購入。事後確認したら¥1200の上に¥700の値札が貼られていたので、これはお買い得だったようだ。
 来ている人たちを密かに観察すると昔からのジェネシス・ファンなのだろう、年齢層は結構高め(含自分)。そして男子お一人様で来ている人が多かったようだ。
 さて、1日目のライブがいよいよ始まった。恐らくYouTubeなどでは映像が既にアップされているのだろうが、私はあえてチェックせずに何の予備知識もなく臨んだ。
 まずバンドメンバーは、
Steve Hackett: guitar and vocals, Roger King: keyboards, Gary O'Toole: drums and vocals, Lee Pomeroy: bass guitar and vocals, Rob Townsend: brass, woodwind, keyboard and vocals, Nad Sylvan: vocalsの6人。Roger, Gary, Robの3名はハケットバンドのレギュラーメンバー、ベースの Lee(現 It Bites)とヴォーカルの Nad はアルバム Genesis Revisited II に参加している。
 ステージにバンドメンバーが現れ、会場は即座にヒートアップし拍手の嵐。そして1曲目は何とWatcher Of The Skies。全くの予想外。何せ Revisited II には未収録の曲だ。そして曲終了時の盛大な拍手。それはスティーブに対する歓迎の気持ちを表すかのようにややしばらく続いた。ハケット先生もうれしそうに何度も頭を下げ、そして「アリガト!」と日本語で返す。最初から大盛り上がりである。そんな感じのスタートだった。
 ところで、ハケット先生の持つギターはゴールド・トップのレス・ポールだ!と思いきや、アームがついているし、ナットで弦が固定されているタイプなので、これはやはりフェルナンデスのサスティナー付きギターではないかと想像する。従来はブラックだったのだが、ジェネシス時代を思わせるゴールドのものを新調したのかもしれない、などと思いながら公式HPをチェックすると次のような記載があった。
Fernandes Les Paul Gold - Very similar to the black model. Steve: "This runs the black Burney a close second. Another great guitar."(これもブラック・バーニーに次ぐ、とっても良いギターだ。)
 すなわちこちらのギターも彼のお気に入りなのである。彼は意外にもピックを使わず常に手弾きによる演奏だった。ちなみに Blood on the Rooftops でのナイロンクラシカル・ギターは間違いなくKヤイリのCE1、そしてSupper’s Ready 冒頭で弾いた12弦ギターはご自慢のZemaitisで、さすがに素晴らしい音だった。(12弦アコギを弾いたのはこの曲のみ。Musical BoxやEntangledではディレイをかましたエレキを演奏していた。)また、ベースのLeeもリッケンバッカー・ベースや12弦とベースのダブルネック、6弦ギター(サウスポーの彼は普通のギターを逆に持ちそのまま弾いていた?)、そしてペダルベース(Roland Midi Bassらしい)などを自在に操り大活躍である。それにしても久しぶりに床が揺れる重低音の響きを体で感じた(UK初来日時以来)。
 公式HPで他の公演をチェックするとロンドン、ハマ-スミスでの公演には、ジョン・ウエットン、ニック・カーショウなどもゲスト参加したそうだ。また、ステージ後方にスクリーンが設置され映像が映されている画像も見られたが、日本には持ち込まれなかったようで残念。(以下次回へ)


スティーヴ・ハケット来日公演2013その1~ハケット先生との接近遭遇

2013年06月10日 | ミュージック
 スティーヴ・ハケットの来日公演(6月7日・8日)に行ってきた。ロックのライブに行ったのは80年代終わりの頃札幌で行われたスティングやデビッド・リー・ロス以来である。昨年の再結成UKやジノ・ヴァネリの来日ライブも行きたかったのだが断念。しかし、今回他の所用があり、それとハケット先生の来日のタイミングが合ったことが実に幸いであった。場所は川崎のクラブチッタ。様々なプログレ・アーティストが今まで公演をし、2002年にはPFMの来日公演のビデオ収録がなされた会場だ。
 川崎自体初めて行く場所だったので、まずは東京到着の足でそのまま向かった。開場にもまだ時間があったので、場所を確認しようと会場方面に向かってLA CITTADELLA KAWASAKIを歩いていると、突然「月影の騎士」の演奏が聞こえて来るではないか。何かと思ったらInterFM*の公開放送用のブースがありそこに何とハケット先生がいて生放送番組がまさに進行中だったのだ。(写真上)。とても驚いた、がさらに驚いたのは、放送が終了した後、彼が外に出てきて、そして同行スタッフが20人ほどいた我々ギャラリーを呼び寄せ、Photo, Photo!と言ったのだ。当然私も近くに走り寄り、即座にハケット先生と握手した。そして一同記念撮影。何という展開だろう、その時ハケット先生の後頭部がわずか50cm先に見えたのだ。その後彼は普通に会場の方へ歩き去っていった(写真下、ピンボケですが)。
 この奇跡のような遭遇に出くわしたハケットファンはごくわずかだったろう。あの様子では事前にアナウンスがあったとも思えない。これははるばる出かけてきた私に対するプレゼントだったのかもしれない。(ライブレポートは次回に。)
*InterFMはradikkerというAppソフトで、Wi-Fiをオフにして繋げると北海道でも聞くことができる。