ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

ロジャー・ウォーターズ25年ぶりの新作 “Is This the Life We Really Want?” はプログレか?

2017年06月16日 | ミュージック

 ロジャーのことだから、恋とかロマンスなどではなく、現代社会の抱える問題へのアンチテーゼ、心の叫びが歌われているのではないかと思われるが、輸入盤が到着したばかりで歌詞をしっかり見ていない私はこの新作のサウンド面だけから述べたい。

 誰もが知るようにロジャーはピンク・フロイドのメンバーだった人。そして今現在もフロイド時代の曲をツアーで披露している。その辺がどのようにこの25年ぶり(!)の新作に生かされているのか興味はあった。反面、デヴィッド・ギルモアの’15年のソロやフロイドのラスト・アルバム発売時には予約してまで購入した私は、あまり期待せずにこの新作の到着を待ったのも事実。ところが、予想外に良かった。

 1曲目からアコギと歌にストリングスが加わりロジャーらしい雰囲気で始まる。THE DARK SIDE OF THE MOONで聞かれたようなダイアログが所々挿入されている。演奏面では決して派手な楽器のソロなどはないのだが、独特の歌世界に引き込まれる。6曲目のタイトル曲まではじっくり聴かせる曲が続く。7曲目のBird In A Galeは少しアップテンポの曲で、ロジャーの雄叫びがドラマチックだ。9曲目のSmell The Rosesもアップテンポの曲でプログレ風の緩急ある展開に引き込まれる。フロイドのアルバムでは「アニマルズ」が結構好きなのだが、それと同じように犬の鳴き声が入り、まるで「アニマルズ2」の装いだ。

 ギルモアのソロ・アルバムRATTLE THAT LOCKがフロイドとは離れジャズなどの要素もある自由な作りだったが、ロジャーの作品は一貫して従来のロジャー節が聞かれるようなアルバムである。(ボックス・セットのSOLO ALBUM COLLECTIONを持っているので、それと比較した個人的感想。)そしてこのアルバムがプログレかどうか…、ジャンルにとらわれないロジャー・ミュージックだと思うがどうだろう?



ジョン・バリー映画音楽集 "THE REAL… John Barry The Ultimate Collection"

2017年06月13日 | ミュージック

 ネット・ショップのポイントが貯まったので何か購入しようと探した中見つけたのがこの3枚組CD作品。ジョン・バリーの映画音楽については以前こちらこちらこちらで紹介したのだが、改めて他の作品も聞いてみたくなった。しかしながら、このアルバムにはすでに持っている曲も重複している。その音源はかつてカセットテープ版(写真右下)で聴いたのと同じ(ということはサントラではなく別演奏)と思われるが、音がさらに良くなっている(気がする)。ジャケットの記載ではオリジナル・レコーディングからマスターされたアルバムとの表記が見られる。

 ということで馴染みのある曲も充分楽しめるのだが、購入の目的は未知の曲。3枚のディスクの中には多数あった。後年の作品になるに従ってストリングスが中心のオーケストラ的サウンドが多くなる。特にDisc3にはWALKABOUT, MARY QUEEN OF SCOTS, BODY HEATなど初めて知る作品名が並んでいる。Somewhere In Timeのような雰囲気の曲が多く、それは私にとってとても好ましいことであり、至福の時を過ごすことができた。そしてジョン・バリーの音世界がさらに広がった。FOLLOW MEという名曲がなぜか収録されていないが、007のようなアクション・サウンドとイージーリスニング的な夢弦サウンド両方がお好きな方にはお薦めできるアルバムである。


アナログ・コレクション:「男と女」US仕様サントラLP国内盤

2017年06月12日 | ミュージック

 先日リマスターのサントラCDを紹介したばかりだが、関連して本映画のアメリカ・リリースのサントラについて触れたい。こちらの音源はステレオなのである。リマスターCDを含む私の持つサントラはすべてモノラル録音である。フランス仕様がモノラルなのであろうか?詳細はわからないが、現実に2種類の音源があるのだからファンとしては両方所有しておきたい。

 それで手元にあるのはUS仕様の日本盤LPである。ステレオと言っても、かろうじてヴォーカルは中央から聞かれるが主な楽器の音は左右に振られ、モノラルの音源を無理やりステレオ化したように思われる。さらにこれに関しては、かつてモノとステレオの両者が1枚に収録されたCDが発売されている。今は廃盤で少しばかり高額で取引されているようだ。それを持っている方は「一粒で二度おいしい」ことになるのだろうから、少し羨ましい。

「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」エラリー・クイーン角川文庫版

2017年06月10日 | ミステリー小説
 角川文庫版国名シリーズの新訳を完成させた越前敏弥氏がそれ以前に刊行していたクイーンの悲劇三部作。この機会に読んでみた。(厳密には「レーン最後の事件」を含めてドルリー・レーン四部作となるのだが、越前氏訳の最終作は未読。)いずれも中学か高校生の頃読んだはずだが記憶は不確かであり、ほとんどが初めて読む感覚に等しかった。

 通常では2作目の「Yの悲劇」が特に有名だが、私としては犯人の設定と「あの終わり方はちょっと、、、」という気がしていまいち推す気にならない。むしろXやZの方が犯人の意外性や物語性、そして論理的な解決の部分で評価したい。とりわけ語り手として新登場するサム元警視の娘ペイシェンスが活躍するZは新鮮な気持ちで作品に没頭できた。彼女は最終作でも登場するはずだから楽しみである。

 作者クイーンがバーナビー・ロスという別名でXの悲劇を発表した1932年は、続くYの悲劇や国名シリーズのエジプト十字架、ギリシャ棺を立て続けに刊行したそうだ。作家としての才能を充分に発揮していた時期の名作であることは言うまでもない。角川版の各解説は有栖川有栖、桜庭一樹、法月綸太郎。これもまた面白い。それぞれの視点での作品観がわかる。ぜひご一読を。


スタートレック・フリートコレクション リブート

2017年06月08日 | TOYS
 こんなのが昨年(2016年)10月に発売されていた。そのことを知ったのはつい先日。地元の書店のフロアが大幅拡張され、文房具用品の充実となぜかプラモデルなどのホビー・コーナーを新設。その一角にこのF-toysコレクションが並んでいたと、我が息子からLINE連絡が。プチ・スタートレッカーの私は間髪入れず1個買ってきて!とお願いし、彼が選んだ箱がこれ。映画版スタートレックInto Darknessのエンタープライズ号。その作りとしては、白い部分も彩色している凝ったもの(息子談)。全5種あるようだが、値段が税別580円とはちと高めではないか。それに対し、今の時代それくらいはするよ(息子談)とのこと。購入への食指は動かされるのだがここはじっと耐え、過去のコレクションと共に眺めることにしよう。

50年後のザ・ビートルズ追体験〜6月1日は「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」

2017年06月01日 | ザ・ビートルズ
 50年前の1967年6月1日、本アルバムが発表された。ビートルズとしては8枚目のオリジナルアルバムであると同時に、その後のロック・ミュージック界に大きな影響を与えた重要作でもある。その特色として北海道新聞5月24日夕刊記事では、「コンセプトアルバムの先駆けで、最初のタイトル曲から最後のA DAY IN THE LIFEまでを一つの物語として完結させている…」、「当時としては異例の約5ヶ月間をかけ録音、音を何重にも重ねたり効果音を多用、インド音楽を組み合わせた実験的なサウンド…」と紹介。さらに、「レコード・コレクターズ増刊THE BEATLES MATERIAL」によると、「切り抜きのオマケや専用の内袋が封入されていたことに加え、ジャケットの裏側に全ての曲の歌詞が印刷されたことも楽譜販売の関係から大英断の行為であった。そして全世界で同一内容とジャケットで発売することになったのも大きな変化である。アルバムをトータルな作品として認めさせたのだ。これがきっかけでロック・アーティストという概念が広がっていったのである。」これらは今では当然のことに思われるだろうが、だからこそ音楽産業の歴史の一つをビートルズはつくったとも言えるだろう。そういえば、シングルカットした曲が一つもないこともトータル・アルバムとしての存在を誇示しているようだ。

 さて、私は単純にこのアルバムが好きだ。何と言っても曲が良い。当初は本当にライブ録音だと思っていた1曲目タイトル曲から2曲目WITH A HELP FROM MY FRIENDへの繋がり、不思議な感覚にさせるFIXING A HOLE、 ハープやストリングスが美しいSHE’S LEAVING HOME など、特にポールの書いた曲が気に入っているが、どの曲も思い出深い。ビートルズを知り始めた頃、ラジオからカセットテープに録音したこれらの曲を何度も何度も聴いたものだ。

 手元にあるレコードはいつのまにか5種類も。50年後の追いかけなので、LP盤で聴くのが鉄則。今回はモノラル盤とステレオ盤の両方に針を落とす。両者でミックスされた「音」が違っているからだ。中学生の頃私が最初に買ったのがステレオのスペイン盤。国内盤ではなく輸入盤に目が行ったのはなぜなのか、全然覚えていないのだが(こちらで紹介済み)、長らくこれが愛聴盤となった。
     
     
     

 このアルバムについて何か書こうとしたら、なかなか言葉が見つからない。今日はじっくり聴くことだけに専念しよう。

 50年後の追っかけビートルズ、次は11月27日のMagical Mystery Tourである。