さらにここ数年では新たにヘンリー・マンシーニの作品が好きでよく聞いている。私のこだわり、夢弦サウンド的にもとても豊かなオーケストレーションが施されている。もともとは「10(テン)」という映画の挿入歌 Don’t Call It Love や「ひまわり」が大好きではあったが、他の作品はあまり耳にしていなかった。しかし、隠れた名曲が多いということがわかってからはいろいろ聞くようになった。「ムーンリバー」より美しい旋律の「ティファニーで朝食を」、映画「暁の出撃」の挿入歌 Darling Lili や Smile Away Each Rainy Day も名曲(そしてこれは未CD化)。テーマ曲が有名な「ピンク・パンサー」もひとつの映画にこんなにたくさんの名曲がと思えるぜいたくさ。さらに、マンシーニの特徴は曲にコーラスが多用されている。これがまた心地良い。他にも良い曲がたくさんあるはず。楽しみはとっておこう。
この映画が好きだ。初めて見たのは劇場でのロードショー。当時フランスに旅行するという同僚達に簡単なフランス語会話を教えていたので、その関係で皆で見に行った。だが、私はこの映画に個人的にも興味を持っていた。監督がクロード・ルルーシュ。あの「男と女」の監督だ。そして、彼と関係深いフランシス・レイと、敬愛するミシェル・ルグランの二人が音楽を担当。これだけで映画館に足を運ぶ価値があると思えた。そして、実際見たときには、冒頭のボレロを踊るバレリーナのシーンから引き込まれ、クライマックスのジョルジュ・ドンのダンスシーンの迫力、そしてやっぱり聞けた自分好みの秀悦な音楽に感動。ただ、ストーリーは良く分からなかった。けんかや同性愛、戦争の悲惨さ等が盛り込まれ、様々な人達の話が複雑に混ざり合っているので、初見ではなかなか理解できなかった。芸術的な部分だけが印象に残ったものだ。で、何となく好きな映画のひとつとなった。そして、その後発売されたVHSビデオテープを購入。2本組でかなり高価だった。何度か見てカラヤンなどの有名人をモデルにしていることを含め、ようやくストーリーを理解。さらに「愛と哀しみのボレロ」とは映画を見る気にさせる素晴らしい邦題であるが、実は原題は「ある人と他人(直訳)」(意訳すると「様々な人々」くらいの意味合いか?)ということもわかった。その後、公開版より長尺となる完全版のDVDをレンタルで借りたり、NHKで放映されたのを録画し、たまに好きなシーンのみ見たりであったが、このたびようやくブルーレイでリリースされると聞いた。現在予約し楽しみに待っているところだ。
それにしても、この映画で聞くことのできる音楽は名曲が多い。恐らく、フランシス・レイ的メロディーが多いので大多数は彼が作曲し、ピアニストで編曲もこなすルグランがアレンジを施しているのではないかと推察。しかし、「サラ」というジャズ・アレンジの曲は間違いなくルグランの曲だろう。などと想像するのも楽しい(答えはサントラCDのジャケットに記載あり)。特に私のお気に入りは「占領下のパリ(PARIS LES AUTRES)」で、この曲が歌われる映画のシーン(大晦日のとあるバーでのパーティ)も初見の時からよく覚えている。また、吹き替えで歌っているリリアンヌ・ダビのアンニュイな声が実に魅力的で、思わず日本で制作されたこの人のソロCDも買ってしまったほどだ。「男と女II」のサントラでも例のダバダバダ…を歌っているのでぜひ聞いてほしい。
さて、発売予定のブルーレイだが、劇場公開版なのか長尺の完全版なのかは現時点では不明である。
「美しいおまえ(原題:Lindeza)」O Tao Do Trio
ブラジルの女性3人組コーラス・グループ、オ・タオ・ド・トリオが02年リリースしたアルバム「カフェ・カエターノ」からの1曲。こちらのアルバムはブラジルの先進的なアーティストとして知られるカエターノ・ヴェローゾの楽曲のみを集め収録されたもの。その中でこの曲は目一杯のストリング・スアレンジが施され、他曲とは異色の存在。ボサノバの軽いリズムの上、めまぐるしい弦楽四重奏の旋律が重厚に奏でられ、何とも美しい。まさに曲名どおりである。さらに、グループの歌が時にはソロで、時にはトリオのハーモニーでかぶさり聞き手を至高の世界へと誘う。これぞ夢弦サウンドの極み、本当に素晴らしい。ブラジルにはQUARTETO EM CYという女性4人によるコーラスグループが先駆的に存在する(私も1枚だけCDを持っている)が、オ・タオ・ド・トリオはより現代風に聞かせ、アルバムの他の曲は時にはジャージーに、時にはポップに歌われ聞きやすい。