昨日9月23日の夜、NHK-FMにて「プ」はプログレの「プ」という番組が放送された。「今日はプログレ三昧」以来の長時間プログレ特集番組でそれなりに楽しめたのだが、番組中でイエスのアルバム「危機」がイギリスでリリースされたのが1972年9月13日だった、今年で50周年です、と説明されていた。そうだ、すっかり失念していた。72年というのは私にとっても重要な年で、キング・クリムゾンの「宮殿」を聞き衝撃を受け、イエスの「危機」に熱中した年であった。中3の頃である。それから50年が経ってしまったのだ。このブログでも「危機」については10年前に詳しく記載していた(ここ)のだが、改めて思うところを述べてみたい。
恐らく複数枚持っているひとつのアルバムとしては「危機」が一番多いと思う。確認してみたらLPが4枚(米国盤2枚、英国盤日本盤各1枚)、CDが6枚(6種類)あった。次点のクリムゾンの「宮殿」がLP1枚、CD5枚なので圧倒的である。「危機」の発売はリアルタイムで経験していてよく覚えている。魅力的な緑色のジャケットで音楽雑誌の広告には「イエスはメリハリの音楽である」のようなコピーが見られた。ラジオでも18分強の「危機」がノーカットで放送されていた(確かNHK-FM)。その後自分もLPを購入して何度も何度も聴いていた。(A面のみならずB面の2曲も素晴らしいのである。)難解な歌詞(もちろん和訳の方)に感動して自分でもそのような詩を書いてみた。中3だったから高校受験の勉強もあったはずだが、歌詞の中の英語を調べて記憶したことはあまり役には立たなかったと思う。(余談だがシンセサイザーやメロトロンにも多大な興味が沸いていた。将来はそれらの楽器を全て所有する人になりたい、と思ったことを覚えているが今それはソフトシンセの形で実現している。)こうしていくつかを羅列してみると、思春期の青春の1コマは、このアルバムの緑色で染められていたのだなと思う。
A面全体を構成する組曲「危機」について、「1970年代のプログレ」著者の馬庭教二氏はその本の中で、5人のメンバーがああでもないこうでもないとスタジオに籠もって演奏を繰り返し、プロデューサーのエディ・オフォードが録音した数多くのテープの中から良い出来のものを編集し、自然に聞こえるようにつなぎ合わせたものだ、ということを記している(ワニブックス p.86)。全く信じられない話だが、もし本当だとしたらロック・ミュージック名盤誕生の陰には名プロデューサーありの秘話として語り繋がれていくべきだろう。
「プ」はプログレの…でも番組最後に「危機」がオンエアされた。それも英国オリジナルアナログ盤を再生しての放送である。プログレッシブ・ロックの一つの典型がこの曲なのだ。50周年おめでとう、Close To The Edge!
(国内盤。帯も解説も緑で統一されていた。)
(USA盤裏ジャケット。上に曲目がクレジットされている。)
(UK盤の裏ジャケット。日本盤もこちらと同じで曲目表示はない。)