
さて、今回の新作はバート・バカラック&ハル・デヴィッド作品のカバー集である。ファーストアルバムのSeasons Of My Soulにボーナストラックとして収録されたバカラック作の「アルフィー」が歌唱・アレンジ共にとても素晴らしい出来だったので、私は今回のリリースを大変楽しみにしていた。そして届いたアルバムは期待どおりの仕上がりとなっていた。
1曲目のThe Look Of Loveから曲の良さを引き出すアレンジとルーマーの歌声に引き込まれる。リーフレットのクレジットを見ると演奏はたくさんの楽器によってなされているようだが決して大げさではなく、しっとりとした感じ。そこがまた良いと思う。
数多くの作品から選ばれたのは他に、Close To You、 Walk On By、 This Girl(Guy)’s In Love With You、 What The World Needs Now Is Loveなど。お馴染みが並ぶが、他にバカラック好きの私も知らなかった曲がいくつかあり、彼の魅力がさらに広がることになった。そして8曲目収録のHouse Is Not A Homeが私の中で一番お気に入りのバカラック曲だが、こちらもじっくり歌い上げている。“Rumer has given these songs new life...the lady has a golden voice”とのバカラックの言葉がアルバムに表されているが、まさにそれを実感させるパフォーマンスである。
全体的に余分な間奏を入れないヴォーカル中心のアレンジがなされており、12曲入りでも46分程度のボリュームであるが、それだけルーマーの歌に集中して聴くことができる。これから何度も繰り返しプレイすることになりそうなアルバムである。
<追記>「アナログ盤にはMP3ファイルのダウンロード・コードが封入されている」
