76年リリースのAPPファーストアルバム。私はこの作品をプログレと捉えている。特にB面のクラシック風なオーケストレーションを施された15分に及ぶ「アッシャー家の崩壊」はストラビンスキーあるいはラヴェルの音楽性を感じさせると同時に美しい旋律を持ったロック(それもバンジョーなども使用した)作品が共存した組曲で当初からとても気に入っていた。その作品を引き継ぐ最終曲のTo One In Paradiseも少年コーラス隊を効果的に導入した美しき佳曲で、まさにコンセプ・アルバムと呼ぶにふさわしい作りである。アラン・パーソンズはもともとレコーディング・エンジニアだったそうで、このアルバムを初めて聞いた時にとても良い音の録音だなと素人ながらに思ったものである。
一昨年はイエスのクリス・スクワイアー、昨年はEL&Pのキース・エマーソンとグレッグ・レイクと、往年のプログレバンドの重鎮が死去した。そして、先月末にはジョン・ウエットンの突然の訃報が、、、クリスもグレッグもジョンも皆60歳代。まだまだ音楽活動ができただろうに、本当に残念でならない。ウエットン氏については、キング・クリムゾンへの加入が一番印象に残るが、その後もロキシー・ミュージックやユーライア・ヒープ、ウィッシュボーン・アッシュなどにも参加し、プログレのみならずロック・ミュージック全般にわたり存在感を示した。最近でもスティーブ・ハケット・バンドへのゲスト参加、そしてエディ・ジョブソンとのU.K.再現ライブでの活躍などは先月のこのブログでも紹介したばかり。1月11日の本人の声明では、2月のCruise to the Edge(クルーズ船でのロック・フェスティバル)と3~4月に北米で開催するジャーニーとのジョイント・ツアーに治療に専念するため参加を断念したこと、その代役は仲間のビリー・シャーウッドが行うこと、年の後半のエイジアのステージには必ずカムバックを果たすことなどが盛り込まれていた。(http://www.johnwetton.com/より。写真も)私としても先月の当ブログにてU.K.来日時のジョンの勇姿に思いを馳せたばかりだったので、少なからずショックである。心より冥福を祈ります。