アナログ・サウンドが再人気のこの頃だが、私の持つオープンリール・テープデッキはフォステクスのR8である。8チャンネル・マルチトラック・レコーダーとしてデモテープ作りに貢献してくれたことはかつてここで紹介した。
だが、その後数十年ぶりに電源を入れテープの再生を図ったところでリールが回らなくなるという不調を起こし、長らく放置することになってしまった。その故障に関してはコメントもいただいたのだが、私自身ではどうすることも出来ず、後年購入した専用のミキサーも手放す事態に。そしてさらに数年が過ぎたのだが、ここに来て個人的にデッキの修理を生業にされている方に修理の依頼をした。結果、いろいろ試行錯誤されたようだが見事復活してここに戻って来たのである。
再び故障しないうちにと、テープ内のデモ曲をCubaseに移行する作業を敢行した。我が家の機材では直接の音源移行が出来ないため、一度ZOOMのR16にダビングし、そこからiMac上のCubaseにデータを移植する。その結果無事に音源移行は完了したのだが、気になる現象が。
まずは、オープンのテープが経年劣化のためかテープ表面の剥がれを起こし、ヘッドやピンチローラーなどテープに接触する部分がすぐに汚れてしまうこと。これはその都度クリーニングすることで何とかしのげるのだが、テープの磁性体が剥がれると音源の再生に悪影響があるはずだ。
もう一点は、アナログテープからデジタル化した音源では、特にヴォーカルのカキクケコの発音が異常に強調されること。ダビングした事による音質の変化なのか、アナログ・サウンドがデジタル化されることで生じる現象なのかは不明だが、この音は明らかに耳につく。シンセサイザーのベル系のサウンドも鳴り始めにそのような傾向が感じられた。これについてはできるだけ修正するよう努めたが、ヴォーカルについては難しかった。まあ、あくまで自分の趣味の範疇なので良しとしたい。
ということで、R8から移植して仕上げた曲で94年録音「夜空の近くで」をYouTubeに上げた。本来はデモ曲だったが、30年前の声が今は出るはずもなく、加えて意外に聴けるかもしれない(?)と自己満足できたのでアップしてみた。
もう一曲は、私の高校教師時代に某勤務校の生徒達の間で最大のヒット曲となった「黄昏のシルエット」。今もクラス会の時に話題にしてくれる曲である。こちらはR8ではなくTEAC ポータスタジオ244カセット4チャンネルからの音源移植。最後のギターソロのみ新たに差し替えた。エレキギター練習中の私としては、その演奏もまだまだではあるが、教え子達が聞いてくれればと思い公開した。
(どちらも画像がYouTube とリンクしています。)
こうした作業は自分の楽曲が徐々にアーカイブ化されているということだが、今後も楽しみたいと思う。