○「ジェネシス・リビジティドII /スティーヴ・ハケット」
以前にも書いたが、プログレ大好きの私にとって今現在の注目はスティーブ・ハケットである。そして、彼の最新作「Genesis Revisited II」がリリースされた。現在のハケット・バンドを基本に、多彩なゲストミュージシャンを迎えて、過去8年間在籍したジェネシスのナンバーとソロ作のセルフ・カバーを集めたアルバムである。
まずは、ジャケット写真。Tower Struck Down というソロの曲が収録されているが、まさにそれを表現したイラスト。(大震災を経験した我が国では心証的にかなりきついものがあるが、そのせいか日本盤のみジャケ写真が変わるそうだ。)そして、中のブックレットにも曲名とそれに合わせたイラストがいくつか掲載されているが、スティーブの考える曲のイメージが表れているのだろう、大変興味をそそられた。例えば、2ページにわたる「月影の騎士」では、月の光が見え隠れするロンドン・ブリッジ上空の大きな雲の下を漂う固形の何かが描かれている。屋根裏部屋の中、クリケットの道具が転がる横で大きな箱のようなオルゴールを開けて驚きの表情をしている女の子の絵は「怪奇骨董音楽箱」など、これらを見るだけで楽しめる。
さて、楽曲の方は、基本的にオリジナルの完全再現である。イントロ代わりにナイロンクラシカルギターが加わったり、ギターソロなどに若干新たな解釈やアドリブ?が聞かれる部分もある。私にとって大変うれしかったのは、完全再現であるため、12弦ギターが大幅にフューチャーされていること。ある時期からジェネシスの曲では使用されなくなった12弦は、かつては彼らのトレードマークとも言って良いほど多用されていた。そのせいで私もK.ヤイリの12弦アコギを購入したのだ。「サパーズ・レディ、からまり、リップルズ、怪奇骨董音楽箱」など、12弦大活躍の曲が並ぶ。選曲も私の好きな曲が多く、私のお気に入りはスティーブのテイストによるものが多かったのだと改めて感じた。
次に多彩なゲスト・ボーカル陣。曲によって歌い手が違っている。特に注目したのは、元イット・バイツのフランシス・ダナリー。もともとピーター・ゲイブリエルの声に似ていると感じていたので、ピーターが脱退したときにダナリーが加入していたらどうなっただろうと勝手に想像した時期があった。ソロになってから独自のアレンジでジェネシスナンバーをステージで披露していたのはYou Tube で見たことがあるのだが、今回のこのアルバムでは2曲に参加。「サパーズ・レディ」の一部と「月影の騎士」である。こうして聞いてみると、より似せて歌っているのか、なかなかゲイブリエルの雰囲気が出ている。しかし、似ているだけでやはり違うと感じてしまう。ピーターの歌が誰も真似はできないほど個性的だということを再確認。また、サイモン・コリンズという名が見られるが、フィル・コリンズの息子だろうか、「サパーズ・レディ」での歌声には親近感を感じた。
それにしても、ハケット・バンドの演奏力、というか原曲のコピー力はすごい。完璧に再現している。特にキーボードのロジャー・キング。とても器用な人なのだろう、音色や演奏など細かい部分まで見事な再現ぶりである。
そして、スティーブのギター。ジェネシス時代はそんなにテクニックのあるギターリストとは感じなかったのだが、「月影の騎士」のソロでのテクニック(ライトハンド奏法をいち早く披露していた)や、各曲のフレーズなど、良く練られたものばかりで、素晴らしいギターリストであることを再認識した。そしてそのテクニックもさら円熟味を増し、深いエコーによる独特の深遠なサウンドと共になかなか真似のできない次元に至っていると思う。
以前、彼のアルバムをカミノ・レコードに注文したとき、直筆のサインが入っていたことを今思い出した。ジェネシスのアーカイブVol.2 とハケットのライブ・アーカイブである。(写真。どちらもハケット先生のサインのはずだが何か違う気も…)そして、今回の新作ではアナログ盤付属の限定版も別途リリースされるという。それにも先着予約のサインがされるらしいが、残念ながら注文の機会を逸してしまった。
唯一辛口を述べると、このオリジナル再現アルバムを今後何度も聞くかと言われれば、きっとそうはならないだろうということ。結局はコピーに近い演奏なので新鮮さが薄いからだ。しかし、ジェネシス・メンバーとしては唯一積極的な音楽活動をしているハケット先生。今後も彼の活躍に期待し、今回のアルバムでの来日公演がないかな、と切望している。
以前にも書いたが、プログレ大好きの私にとって今現在の注目はスティーブ・ハケットである。そして、彼の最新作「Genesis Revisited II」がリリースされた。現在のハケット・バンドを基本に、多彩なゲストミュージシャンを迎えて、過去8年間在籍したジェネシスのナンバーとソロ作のセルフ・カバーを集めたアルバムである。
まずは、ジャケット写真。Tower Struck Down というソロの曲が収録されているが、まさにそれを表現したイラスト。(大震災を経験した我が国では心証的にかなりきついものがあるが、そのせいか日本盤のみジャケ写真が変わるそうだ。)そして、中のブックレットにも曲名とそれに合わせたイラストがいくつか掲載されているが、スティーブの考える曲のイメージが表れているのだろう、大変興味をそそられた。例えば、2ページにわたる「月影の騎士」では、月の光が見え隠れするロンドン・ブリッジ上空の大きな雲の下を漂う固形の何かが描かれている。屋根裏部屋の中、クリケットの道具が転がる横で大きな箱のようなオルゴールを開けて驚きの表情をしている女の子の絵は「怪奇骨董音楽箱」など、これらを見るだけで楽しめる。
さて、楽曲の方は、基本的にオリジナルの完全再現である。イントロ代わりにナイロンクラシカルギターが加わったり、ギターソロなどに若干新たな解釈やアドリブ?が聞かれる部分もある。私にとって大変うれしかったのは、完全再現であるため、12弦ギターが大幅にフューチャーされていること。ある時期からジェネシスの曲では使用されなくなった12弦は、かつては彼らのトレードマークとも言って良いほど多用されていた。そのせいで私もK.ヤイリの12弦アコギを購入したのだ。「サパーズ・レディ、からまり、リップルズ、怪奇骨董音楽箱」など、12弦大活躍の曲が並ぶ。選曲も私の好きな曲が多く、私のお気に入りはスティーブのテイストによるものが多かったのだと改めて感じた。
次に多彩なゲスト・ボーカル陣。曲によって歌い手が違っている。特に注目したのは、元イット・バイツのフランシス・ダナリー。もともとピーター・ゲイブリエルの声に似ていると感じていたので、ピーターが脱退したときにダナリーが加入していたらどうなっただろうと勝手に想像した時期があった。ソロになってから独自のアレンジでジェネシスナンバーをステージで披露していたのはYou Tube で見たことがあるのだが、今回のこのアルバムでは2曲に参加。「サパーズ・レディ」の一部と「月影の騎士」である。こうして聞いてみると、より似せて歌っているのか、なかなかゲイブリエルの雰囲気が出ている。しかし、似ているだけでやはり違うと感じてしまう。ピーターの歌が誰も真似はできないほど個性的だということを再確認。また、サイモン・コリンズという名が見られるが、フィル・コリンズの息子だろうか、「サパーズ・レディ」での歌声には親近感を感じた。
それにしても、ハケット・バンドの演奏力、というか原曲のコピー力はすごい。完璧に再現している。特にキーボードのロジャー・キング。とても器用な人なのだろう、音色や演奏など細かい部分まで見事な再現ぶりである。
そして、スティーブのギター。ジェネシス時代はそんなにテクニックのあるギターリストとは感じなかったのだが、「月影の騎士」のソロでのテクニック(ライトハンド奏法をいち早く披露していた)や、各曲のフレーズなど、良く練られたものばかりで、素晴らしいギターリストであることを再認識した。そしてそのテクニックもさら円熟味を増し、深いエコーによる独特の深遠なサウンドと共になかなか真似のできない次元に至っていると思う。
以前、彼のアルバムをカミノ・レコードに注文したとき、直筆のサインが入っていたことを今思い出した。ジェネシスのアーカイブVol.2 とハケットのライブ・アーカイブである。(写真。どちらもハケット先生のサインのはずだが何か違う気も…)そして、今回の新作ではアナログ盤付属の限定版も別途リリースされるという。それにも先着予約のサインがされるらしいが、残念ながら注文の機会を逸してしまった。
唯一辛口を述べると、このオリジナル再現アルバムを今後何度も聞くかと言われれば、きっとそうはならないだろうということ。結局はコピーに近い演奏なので新鮮さが薄いからだ。しかし、ジェネシス・メンバーとしては唯一積極的な音楽活動をしているハケット先生。今後も彼の活躍に期待し、今回のアルバムでの来日公演がないかな、と切望している。