ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

プログレ最新作 Genesis Revisited II / Steve Hackett

2012年10月30日 | プログレ
○「ジェネシス・リビジティドII /スティーヴ・ハケット」

 以前にも書いたが、プログレ大好きの私にとって今現在の注目はスティーブ・ハケットである。そして、彼の最新作「Genesis Revisited II」がリリースされた。現在のハケット・バンドを基本に、多彩なゲストミュージシャンを迎えて、過去8年間在籍したジェネシスのナンバーとソロ作のセルフ・カバーを集めたアルバムである。
 まずは、ジャケット写真。Tower Struck Down というソロの曲が収録されているが、まさにそれを表現したイラスト。(大震災を経験した我が国では心証的にかなりきついものがあるが、そのせいか日本盤のみジャケ写真が変わるそうだ。)そして、中のブックレットにも曲名とそれに合わせたイラストがいくつか掲載されているが、スティーブの考える曲のイメージが表れているのだろう、大変興味をそそられた。例えば、2ページにわたる「月影の騎士」では、月の光が見え隠れするロンドン・ブリッジ上空の大きな雲の下を漂う固形の何かが描かれている。屋根裏部屋の中、クリケットの道具が転がる横で大きな箱のようなオルゴールを開けて驚きの表情をしている女の子の絵は「怪奇骨董音楽箱」など、これらを見るだけで楽しめる。
 さて、楽曲の方は、基本的にオリジナルの完全再現である。イントロ代わりにナイロンクラシカルギターが加わったり、ギターソロなどに若干新たな解釈やアドリブ?が聞かれる部分もある。私にとって大変うれしかったのは、完全再現であるため、12弦ギターが大幅にフューチャーされていること。ある時期からジェネシスの曲では使用されなくなった12弦は、かつては彼らのトレードマークとも言って良いほど多用されていた。そのせいで私もK.ヤイリの12弦アコギを購入したのだ。「サパーズ・レディ、からまり、リップルズ、怪奇骨董音楽箱」など、12弦大活躍の曲が並ぶ。選曲も私の好きな曲が多く、私のお気に入りはスティーブのテイストによるものが多かったのだと改めて感じた。
次に多彩なゲスト・ボーカル陣。曲によって歌い手が違っている。特に注目したのは、元イット・バイツのフランシス・ダナリー。もともとピーター・ゲイブリエルの声に似ていると感じていたので、ピーターが脱退したときにダナリーが加入していたらどうなっただろうと勝手に想像した時期があった。ソロになってから独自のアレンジでジェネシスナンバーをステージで披露していたのはYou Tube で見たことがあるのだが、今回のこのアルバムでは2曲に参加。「サパーズ・レディ」の一部と「月影の騎士」である。こうして聞いてみると、より似せて歌っているのか、なかなかゲイブリエルの雰囲気が出ている。しかし、似ているだけでやはり違うと感じてしまう。ピーターの歌が誰も真似はできないほど個性的だということを再確認。また、サイモン・コリンズという名が見られるが、フィル・コリンズの息子だろうか、「サパーズ・レディ」での歌声には親近感を感じた。
 それにしても、ハケット・バンドの演奏力、というか原曲のコピー力はすごい。完璧に再現している。特にキーボードのロジャー・キング。とても器用な人なのだろう、音色や演奏など細かい部分まで見事な再現ぶりである。
 そして、スティーブのギター。ジェネシス時代はそんなにテクニックのあるギターリストとは感じなかったのだが、「月影の騎士」のソロでのテクニック(ライトハンド奏法をいち早く披露していた)や、各曲のフレーズなど、良く練られたものばかりで、素晴らしいギターリストであることを再認識した。そしてそのテクニックもさら円熟味を増し、深いエコーによる独特の深遠なサウンドと共になかなか真似のできない次元に至っていると思う。
 以前、彼のアルバムをカミノ・レコードに注文したとき、直筆のサインが入っていたことを今思い出した。ジェネシスのアーカイブVol.2 とハケットのライブ・アーカイブである。(写真。どちらもハケット先生のサインのはずだが何か違う気も…)そして、今回の新作ではアナログ盤付属の限定版も別途リリースされるという。それにも先着予約のサインがされるらしいが、残念ながら注文の機会を逸してしまった。
 唯一辛口を述べると、このオリジナル再現アルバムを今後何度も聞くかと言われれば、きっとそうはならないだろうということ。結局はコピーに近い演奏なので新鮮さが薄いからだ。しかし、ジェネシス・メンバーとしては唯一積極的な音楽活動をしているハケット先生。今後も彼の活躍に期待し、今回のアルバムでの来日公演がないかな、と切望している。


CDのボックス・セット

2012年10月22日 | ミュージック
○ Magic Voices / Singers Unlimited (シンガーズ・リミテッド)
 所有するCDの中で、いわゆるボックス・セットと言われているものがいくつかある。その中で一番のお気に入りはシンガーズ・アンリミテッドの全集Magic Voicesである。1998年リリースのドイツMPS盤。
 彼らは、1950年代に活躍したグループ「ハイ・ローズ」のメンバーだったジーン・ピュアリング(Gene Puering)とドン・シェルトン(Don Shelton)の2人に、紅一点ボニー・ハーマン(Bonnie Herman)とレン・ドレスラー(Len Dresslar)を加えて、1967年にシカゴで結成された。ドイツのMPSレーベルに1971年に最初の録音を行って以来、1980年までに15枚のアルバムを発表、マルチトラック・レコーディングで音を重ねることによって、4人とは思えない多彩なハーモニーを形成するのが特徴で、聞く者を魅了する。
 私のiPod での再生回数の記録を多い順に並べると、1位と2位がシンガーズ・アンリミテッドとなることが多い(Put Your Dreams Away, A Time For Love の2曲)。もともとこのグループは人の声ってやっぱりすごいな、と思わせるほど素晴らしい歌声を聞かせてくれる。さらに多重録音を駆使し、巧みな和音による最高のハーモニーを聞くことができる。基本的にはジャズ的アレンジによる場合が多いが、曲自体はポップスの名曲やクラシック、さらにクリスマスの賛美歌までレパートリーも広い。
 81年のEasy To Love 以来アルバムを出さなくなって久しいが、活動中のクリスマス・アルバム以外の全アルバムがこのボックスには収録されている。CDは7枚組で、47ページに及ぶ写真と解説が盛り込まれたブックレットが付属。曲は残念ながらアルバム毎ではなく、分散して収録されているものもある。
 私が特に好きなアルバムは、①Invitation、 ②Sentimental Journey そして、③Eventide の3枚である。①はアート・ヴァン・ダムのアコーディオンが伴奏のメインを務め、それが何とも心地よい。②は私風に言う「夢弦(むげん)」サウンド満載の一枚で、一連のスタンダード・ナンバーにおけるストリングスと歌のハーモニーで心が洗われる。③はアルバムとしては地味な存在かと思うが、ジムノペティ、アリアなどのクラシックからフィーリングのようなポピュラーソング、さらにジーン・ピュアリングのオリジナル曲も含まれた多彩な選曲。そしてハープ演奏が幼少の頃に聞いた「引き潮」を思い出させノスタルジックにさせる私の一押しのPut Your Dreams Away が収録されたアルバムである。
 私はこのボックスCDをアメリカのタワーレコードから購入した。当時、国内のサイトでこのようなマイナーなCDを購入することはできなかったと思う。インターネット普及し始めの頃だが、直接海外に、それもネットをとおして簡単に注文することができる時代の到来に、大変驚き喜んだものである。ただ、長距離を経たせいか、届いてみると中のCDケースが何カ所か破損していた。CD本体にそれが及ばなかったのは幸いであった。
 現在彼らの活躍がないのは残念だ。そんな中で、最近 The Swingle Singers のアルバムを聴いた。古いグループだが、メンバーが代替わりし地道に活動をしている。そして、男女8名のメンバーが醸し出すハーモニーが美しい。ロンドンの地下鉄で客を装っていきなり車内で歌い始めるなどというお茶目なこともしている。(YouTube) 注目したいグループである。

シンセサイザー演奏とラジオドラマ

2012年10月19日 | ミュージック
 1991年頃からの数年間、私は本業の傍ら、シンセサイザー奏者として当時の地元美唄での野外イベントに招かれ演奏していた。プロフィールの演奏写真は当時のものである。シンセ用にアレンジし、シーケンサーに打ち込んで製作していたオリジナル曲が何曲かあり、それをイベントの主催者に聞かせたところ気に入ってくれたのである。初年は2~3曲だったのが翌年からは持ち時間が増え、逆にそれに合わせて新たに作曲するようになっていった。素人なのに我ながら頑張ったものである。メインで出演していたプロやセミプロのミュージシャン達と話すことができたのも嬉しい出来事だったが、なにより、野外のプロ仕様のステージで演奏することの楽しさを実感させていただいた。

 2月の真冬に開催された「雪んこ祭り」というのに声をかけていただいたこともある。この時は雪で作られた特設ステージに機材を持ち込み演奏した。低温状態や雪の中にも拘わらずヤマハもローランドも機材については全くトラブルを起こすことなく動き、無事に終えることができた。寒さのため指がかじかんで私自身の演奏は心許なかったのではあるが。

 その後、岩見沢に移り住んだ頃、今度は地元のコミュニティFM局でラジオドラマ製作の話があり、ラジドラ好きの私は早速担当者に打診した。かねてから、ラジオドラマの劇判(BGM)をやってみたかったのである。これは、自分の映画音楽好きから来ていると思う。これまた、手持ちの曲を監督に聞いてもらうと気に入ってくれて、スタッフとして参加することになった。この時は地元の民話に由来するドラマを2本製作するとのことで、古風で雰囲気のあるテーマ曲を作ってみた。その後3作目は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたオリジナル劇が制作された。宮沢賢治も好きな作品だったのでイメージが湧きやすく、最初は取り組みやすいと思ったが、実際には難航した。その理由は、ドラマが4話くらいに及ぶ長編だったこと、劇判はメロディがはっきりしすぎるとセリフの邪魔になり逆効果になるので配慮が必要なこと、そして自分には音楽理論的な裏付けが全くないのでアレンジを含めて形の整った曲までになかなか至らないこと、などであり苦労の連続であった。しかし、それでも既成の曲を使うのは著作権等の問題が生じるため、こんな私の曲でも監督達には好意的に受け止めていただいた。素人作曲家として何ともうれしい限りであった。

 当時使っていたのがヤマハのシーケンサーQX-3である。操作性も比較的簡単で、また屋外で使用しても快調に動き、大変重宝した。しかし、徐々に自分のアレンジ力のなさに限界を感じ、その頃発売となった同じヤマハのQY-300(写真)に変えた。このシーケンサーには音源と共にフレーズがたくさんプリセットされていたので、自分はそれを組み合わせれば良かったのだ。安易と言えばそれまでだが、そのフレーズに触発されて新たな曲想が生じたり、結構使うことができた。それに、このような仕組みは現在のパソコン・ソフトに取り入れられているので、その走りだったのではと思う。

 そのような苦労と出費を重ねて出来上がった自分の曲が、ローカル放送ではあっても電波に乗ってラジオから流れたのは、やはり感動的で忘れられない経験となったのである。


80年代シンセサイザー

2012年10月17日 | シンセサイザー
 「私の宝物」と題して自分の持っている(いた)いろいろなものを紹介していると、何だか欲しいものを手当たり次第に買いまくっているような印象を読み手に与えているかもしれない。実際には、働いてから給料の大半を趣味に費やしたということで、ローンを組んだり、買うために貯めたりとの苦労はあったのだ。決して自分が金持ちで自慢している訳ではない。だから、今日のシンセサイザーの話も、10年以上を経て揃えたものだが、一気に述べると次のようになる。

 私はシンセサイザー、いわゆる鍵盤付きのキーボードを3台所有している。最初に買ったのがヤマハDX7、2台目がローランドαJuno2(写真上)、そして3台目が同じくローランドのD-70(写真下)である。その他、鍵盤なしの音源としてはローランドU-110、ヤマハQY300(音源付きのシーケンサー)などもあるのだが、U-110は処分してしまった。

 DX7は初リリースの頃、店頭で見て聞いてさわって、これは素晴らしいシンセだと実感した。実際、それまでにはないFM音源による音色はその後一斉を風靡するキラキラした金属音やエレピ風の音など、たぐいまれなモノであった。早速予約をし、実際に手に入るまでかなりの期間を待たされたと思う。しかし、購入後は16音も和音が発信され、多彩な音色、エディットやプリセットも可能ということで、長期間これ1台を愛用した。

 その後、知り合いがローランドのJuno106を持っていて、少しの間借りて使用したところ、MIDIで繋げて同時に弾く(例えばDXのブラスとJunoのストリングス)と、デジタルとアナログの音が絶妙に重なった素晴らしい音色となることがわかり、このことがαJunoを購入するきっかけとなったのである。Juno106の特にパッド系の音は、本当に素晴らしかった。αの方はそこまでではないとしても、ローランドらしいアナログサウンドでストリングス系の音色はとても暖かく良い音であった。

 D-70は76鍵盤の当時としては高級なシンセだった。それにも拘わらず購入してしまったのは、その音色の美しさだった。重厚なアコースティック・ピアノから女声コーラス風のパッド音まで自分好みの音が溢れていた。中でもPrologueというプリセット音は、プログレバンドUKの「アラスカ」という曲の音とそっくりで、これだけで1曲できてしまったほどである。そして発信音がダブルになっているらしく、とてもリッチで重い音を出してくれる。さらに、前述のU-110に使う音色カードがこの楽器にも使え、音色的拡張性があった。大変弾きがいのある楽器である。

 難を言えば、数年してから内部からブーンというハム音?がしていてうるさい。機械だからある程度は仕方ないのかもしれないが、ヤマハではそのようなことがなかったのでどうしても比較してしまう。自分で音づくりもできるのだが、ちょっと難しい。が、プリセット音だけで充分遊べるシンセだと思う。現在は息子の部屋にその大きな身体を君臨させている。


My Guitar #15 弦の話

2012年10月14日 | ギター
 妻の用事で週末に我が家から280キロ離れている北海道第2の都市である旭川に行ってきた。待っている間にオフ・ハウス+ホビー・ハウスがあったので行ってみた。楽器関係の中古商品は結構充実していて、リッケンバッカーのjetglo(黒)の4001ベースギターが置いてあった。4003という機種は比較的見るのだが、イエスのクリス・スクワイアー等が使用していたという4001は初めて本物を間近に見た。そして、ギブソンのギター弦が売られていたのでこのたび買ってみた。ギター弦については人それぞれ好みがあると思うが、私はDR HANDMADE STRINGS Inc.というメーカーのフォスファーブロンズ弦、その中でも茶色のパッケージであるPRE-ALLOY 11~50ゲージが好きだ。これはあるギターリペアー店の主人から勧められたのだが、テンションと音色が自分によく合っていると感じて使っている。それで、ギブソンのJ-45にもその弦を張っていたのだが、考えてみたら今までギブソン弦を使ったことがなかったので今回試してみようと思った次第である。
 パッケージを開けると、紙の袋に納められた各弦が真空パック状になっているビニール袋に入っている。このような状態は初めて見た。実際張ってみて直後の音は、DRよりも少しまろやかな感じがした。逆に言うとDRの方がきらびやかな音と思う。結局従来どおり私の好みはDRかなと思うが、今後どのように鳴ってくるか見極めたい。
 写真は上がギブソン弦のパッケージで、左にあるのは同じホビー・ハウスで見つけたAcoustic Quick-Release という便利グッズ(の説明書)。ストラップピンのないギターにストラップをつける際に便利な小物。下がDR弦のパッケージ。右の緑のパッケージはRARE といって、ドレッドノートギター向きなのだそうだ。こちらはまだ使ったことがないのでYAMAHA FG400 に張ってみようと思っている。
 ギター本体でのサウンドについてはよく触れられるが、弦の違いについてはそれほど語られていない気がする。他のギター愛好家の皆さんはどうであろうか、ぜひお聞きしたいものである。

ザ・ビートルズ50周年記念

2012年10月09日 | ザ・ビートルズ
 先日の2012年10月5日は、ビートルズのファーストシングル盤Love Me Do が発売されてからの50周年記念日であった。以前にキャピトル盤LPの紹介をしたが、やはり私もビートルズは大好きで、遅ればせながら、CDやLP以外のビートルズ関連グッズとして我が家に残されているものを調べてみた。ここ数年、転勤で引っ越しが多かったため、開かずの段ボール箱をかき回すはめになってしまったが…。

①70年に集英社から発行されたギター・ファン向けの雑誌「ヤングセンス」の付録についてきたビートルズ楽曲大全集。一応全曲が収録されておりビートルズの曲を知る楽譜として、ずっと私の手元にあったもの。背表紙が取れ、ところどころ分断されているが欠損ページはない。ずっとこれを見ながら曲を弾いてきたので、一番思い出深い一品である。当時EP盤Let It Be とLP盤Hey Jude が新譜として紹介されている。雑誌本体にも238曲の楽譜が紹介されているが、付録付きで300円であった。


②左の冊子は72年に札幌で開催されたビートルズ展のパンフレット。その展示会に出向いたことは覚えているのだが、内容までは記憶がない。残念!③右は中学生時代に札幌のレコード店で配布していたビートルズ・ディスコグラフィ。これを手がかりにレコード購入を検討したものだが、予算の関係でままならず。結局この小冊子を見て満足するということになり、大変ありがたい存在であった。

④左の2冊はビートルズ詩集1&2。メロディに合わせて日本語で歌うことができるという趣旨で翻訳された歌詞が集められた詩集。例えば、Yesterday は「イエスタディ ただひとり静かに きのうの悲しみの こころをいやしたい… 」。羽切美代子・訳、親書館。各450円。71&72年発行。⑤右は「音楽の手帖」ビートルズ 81年5月 青土社 980円。300ページ以上に渡る全ページがすべてビートルズに関する記事。村上龍、坂本龍一、谷川俊太郎などの対話、林光、泉谷しげる、三枝成章、井上陽水など著名人らのエッセイ、若干の写真、年譜、ディスコグラフィなどなど、読み応え満載の一冊。大澤正佳氏のエッセイがある、この方は大学のときに習った教授で、ジョイスの専門家。今気がついた…。

⑥The COMPLETE BEATLES Recordings Sessions 30歳の時、初めてロンドンへ旅行。その時の最大の目的はアビー・ロードの横断歩道を渡ること。それは実現したが、その時歩道に面して建っているEMIスタジオも当時は玄関前まで入ることができた。その建物を囲む白い門壁には世界各国から来た様々な人達のメッセージが書かれていたので、ファンが考えることは万国共通皆同じ、と実感した次第である。で、この本はその時にロンドンのヴァージン・メガ・ストアにて購入したもの。当然英語版であるが、後に日本語訳版も出版されている。全レコーディング・セッションが記録として紹介されている。気になる曲について読む程度だったがEMI アビー・ロード・スタジオ内での写真も多く、資料としては貴重なものだろう。とにかく大きく重たい本なので持って帰ってくるのが大変だった。ロンドン旅行の良い記念でもある。

 その他、ハンター・ディビス著の「ビートルズ伝」も高額だったが何とか購入し、大変興味深く読んだ。当時この手の本は少なかったと思われるが、残念ながらいつの間にか行方不明となり、現在は手元にない。「さよならビートルズ」という写真集もあったはずだが、どこに行ったものか…。
 こうして、彼らが解散した頃に私は中学生だったことを思い出している。


My Guitar #14 フェンダー・メキシコ製 Classic Series 50's テレキャスター

2012年10月07日 | ギター
 フェンダー・ギターといえば、私が真っ先に頭に浮かぶのはピンク・フロイドのデビッド・ギルモアの弾くストラトキャスターだ。フロイドやギルモアのライブDVDを見続けた時期があったが、いつか自分もあのように弾いてみたいと思ったものだ。だから、テレキャスターについては一度も考えたことがなかった。しかし、最近アメリカン・ロックを時々聴くようになり、あるいはテレビでのライブ映像を見るときにテレキャスを弾いているギタリストが多いことが気になり、徐々に興味を持ち始めた。そして今、標記のギターが私の手元にある。
 当初は退職後にUSA製を、と思っていたのだが、このメキシコ製中古が格安で販売されていたのだ。それで日常的な練習用にと注文した。到着してみて驚いた。09年製をまったく感じさせない新品同様の状態。ラミネートされ少し円形にカーブしている指板はとても手にフィットし弾きやすい。メキシコ製ながらFenderと表記されているその圧倒的な存在感。そして、あのテレキャスらしいキャピキャピ?した音。素晴らしいの一言である。これならもっと早く手に入れれば良かった、そうすればギターの腕も上達したことだろう、と思わせたほどである。
 フェンダー・ギターには本家USAの他にジャパン製、メキシコ製がある。ジャパンとメキシコの違い等が話題になることもあるようだが私はあまりよくはわからない。ただ、こちらのギターはアッシュ製ボディであることは考慮した。よく聞くこの材を実感してみたかったのである。そして、色を含め外見の仕様も多彩なギターだが、私はナチュラルかサンバーストが好みだったので、そのことも考えに含まれた。エレキギターに詳しい人は、きっとピックアップの違いなどもわかるのだろうが、とりあえず私の場合は音が出れば良い。充分テレキャスらしい音である。購入してみてとても満足している。手軽に、かつ長く付き合っていけそうなギターであるが、何より最近ギターが上達しつつある息子が手にして、とても弾きやすいギターだねと言ながら、時々私の部屋に来て触っている。


思い出のプログレ・アルバム#6 クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムゾン

2012年10月03日 | プログレ
(原題 In The Court Of The Crimson King) 思い出のプログレ・アルバムもとうとう最後の5枚目の紹介となった。このブログの当初の紹介ではNo.5としてランクしていた作品だが、私がプログレ、いやロック・ミュージックと本格的に出会ったきっかけとなったものとして考えるならば、第1位の存在とするべき思い出深いアルバムである。ビートルズの「アビー・ロード」を1位から引きずり落としたとか、プログレッシブ・ロックの金字塔とかの修飾語は私にとっては後付けであり、ともかく私はこのアルバムによってロック音楽に目覚めたのである。
 具体的にいえば、アルバム最後に収録されている「クリムゾン・キングの宮殿」という楽曲である。この曲を当時のNHKローカル局でのFMリクエスト番組で聞いたのがクリムゾンとの出会いである。衝撃的であった。何だかわからないがオーケストラでの弦のような音(実はメロトロン)に、フルートも用いられ、旋律が美しくて、まるでクラシックの交響曲を聞いているかのような感じがした。当時時々耳にしたハードロックバンドの曲には全く興味が持てず、ただうるさいだけと感じていた私が、これもロックなのか?と思わせた曲であった。ただ、その時は曲名やバンド名を聞き逃し、かろうじて聞き取った「宮殿」という言葉だけを頼りに、町のレコード店に足を運び、その曲を探し回った。幸運にも探し当てることができたが、そのジャケットのイラストのもの凄さと、ラジオで聴いた曲との不整合さにまた別の意味でのショックを受けた。
 購入して家で針を落として始まった最初の曲は「21世紀のスキゾイドマン」。ちょっとうるさいと感じたが、次の「風に語りて」は自分好み、そして続く「エピタフ」には、これほどすごい、これほど美しい音楽があったんだ、と深く感動。このことを誰かに伝えずにはいられないほどクリムゾンに夢中になっていった。
 日本では3枚目の「リザード」が先にリリースされ、当時グレグ・レイクはすでにエマーソン・レイク&パーマーを結成しており、後に聞いた「タルカス」でのベーシストとクリムゾンとの関連性などは全く知らなかったのだが、彼のボーカルやその攻撃的なベース、アコギを多用したギター演奏、独特なドラミング、そして管楽器のアンサンブル、どれを取ってもそのサウンドは私を夢中にさせた。なので、全世界中の人が夢中になるのもうなづける。難点は、ムーンチャイルドの後半がちょっと退屈であることくらいか。
 CD化されてから、特に国内では色々な種類がリリースされた。中古で出回ってからではあるが、やはり買ってしまう(写真。トリビュート盤や、21st Schizoid ばかりを集めた盤も含まれている)。中でも、長らく行方不明だったマスターテープがみつかり、それからリマスターされたとされる04年版と40周年記念の新たなサラウンドリミックス版には大きく興味が引かれた。前者についてはあまり違いがわからなかったが、後者の音の洪水に埋もれるサウンド作りには思わず聞き入ってしまった。
 「クリムゾン・キングの宮殿」は間違いなく名盤である。今後も繰り返し聞くことになるだろう。そして、エピタフにおけるアコギのアルペジオは、私が手にしたギターの音色を確認するときの定番のフレーズとなっているのだ。

 ここまで私の好きなプログレ・アルバムを、番外編も含めて6枚紹介した。実際には思い出深いアルバムは他にも多数ある。EL&Pの「タルカス」「トリロジー」、オランダのグループであるフォーカスの「ムービング・ウェイブス」、ジェネシス「トリック・オブ・ザ・テイル」などは特に忘れることのできない作品だ。今後機会があれば、自分なりの感想を紹介しようと思う。