
(最初に以前このブログで記載した「BD/DVDデラックス・ヴァージョン(5.1サラウンドやハイレゾ音源付き)」は、「ハイレゾで聞くことができる」の間違いであったので訂正する。ハイレゾ音源は専門サイトで別途DL販売されている。)

昨年のピンク・フロイドとして最後のアルバムは生前のリック・ライトとの思い出を重視し、彼の残した素材を元に新作を組み立てていた。結果的にアンビエント風ではあったがバンドとしての統一感があった。一方今回のギルモアの新作には様々な要素が盛り込まれている。本来のロック・サウンドに加えて重厚なオーケストラサウンド、ジャズや民族音楽的なサウンドも聞かれる。ソロ・アーティストとしての自分を全て表現したかのようだ。曲のコンセプトや歌詞もいろいろ凝っていて、ボックス・セットにはジョン・ミルトンのParadise Lostが同封されていたのだが、これはタイトル曲Rattle That LockのモチーフになっているようなことをDVD中のインタビューで説明していた。

なお雑誌ギター・マガジン10月号ではギルモアの特集記事が組まれ、本アルバムの紹介も詳しくなされている。アルバム・タイトル曲やフロイド時代の“Shine On Your Crazy Diamond” のギターソロの採譜も掲載されている。最も興味深いのは今回のアルバムでも共同プロディースを務めたフィル・マンザネラのインタビューで、ギルモアのギターサウンド作りの様子が述べられている。また、「現行製品でギルモア・サウンドを再現したい」という記事も、付録のCDに実際のサウンドが収録されており、大変参考になった。
9年ぶりのギルモアのソロ・アルバム。今後何度も繰り返し聞くことで、この新作の奥深さが理解できるというのが第一印象だ。現在ツアーに入っているそうだが、来日公演は予定されていないのか、気になるところである。