せっかくテアトルグループ映画館の会員になったので、これからはもっとテアトル系の作品を観よう!と決意しまして。
年会費1000円を払って会員になると「いつでも1300円」「火曜・金曜は1000円」の特典が使え、入会時に「1000円で見られるチケット」がもらえます。
(以前は「1回無料鑑賞券」がもらえたようですが、今はそのサービスは終了したもよう)
シネコンばかりになって、見やすいのは確かですが、「珠玉の映画」「芸術性の高い映画」「低予算だけど頑張ってる映画」「マイナー国の映画」は単館系じゃないと見られない!
特にヨーロッパの映画なんて絶対シネコンではやってくれませんから…昔はコッポラとかヴィスコンティの映画を当たり前のように大箱でやっていたのに、何故こうなった!?
さてこれは欧州ではなくハリウッド映画ですが、予告編を見て気に入りシネ・リーブルで観てきました。それに、石田純一氏のお嬢さん、すみれちゃんが出ている!
ハリウッド映画デビュー作だそうで、既にドラマは出ておられるそうです(「アナザースカイ」で言っていた)。
演技の勉強してるのは知ってたけど、やっぱりNative Englishはいいなあ。すみれちゃんは日本語セリフの方が難しいそうで、だから活躍の場を海外に移したのですね。
主人公のマックは敬虔なクリスチャン。少年の頃、家庭に悩みを抱えていました。
アル中の父が毎日、優しい母を殴る蹴る。それを見て耐えられず教会で告白してしまいます。
そのことを父にとがめられ、彼もまた激しく殴られる。
父への憎しみが募る日々で、ある日ある行動に出るのですが…というシーンから始まります。
大人になり結婚して家庭を持ち、三人の子供にも恵まれ幸せいっぱい。良き友人もいます。
ある日、一家で楽しいキャンプに出掛けますが、末っ子の幼い娘が行方不明に。
捜索の末、ある山小屋で娘の服と床に染みた血の跡が見つかります。ショックの余り泣き叫ぶマック。
仲の良かった家族はこの事件以降ギクシャクとなり、マックは心を閉ざし鬱々と過ごしますが、ある日ポストに手紙が。そこには「父より」と書かれてありました。もうとっくに他界した父から?
手紙には「あの山小屋に来るように」と書かれていました。
車を借りにいった友人にそのことを話すと「危ないから俺も一緒に行く」と言われますが、彼は一人で行くことに。
車を走らせる途中で、暴走する大型トレーラーとあやうく衝突しかけるのですが。。。
マックは「ある美しい家」にたどり着きました。
そしてそこには「三人の神様」が。
黒人のおばさん。若い男。若い娘。みんな普通の人間の姿をしています。
この「若い娘」が、すみれちゃんなのですが、欧米人と交じると「無国籍の人」に見えました。一見、どこの国の人だろ?と不思議な感じ。服はエスニック系だけど。
すみれちゃん、堂々とした演技っぷりで「癒しの聖女」のような役割でした。
セリフもそこそこあるけど、何より「あたたかな微笑みで包み込む」ムードが良くて、ちょっと感動してしまいました(笑)。
チョイ役じゃないですよ。重要な役よ(でもクレジットが下の方だったのはちょっと納得がいかない)。
ここからマックの「旅」が始まるのですが、その途上で、いろんな人に出会います。
そしてその度に様々な「問いかけ」があり、自分自身の苦しみと向き合っていくことになります。
キリスト教徒でないとちょっとわからない?比喩が一杯あるのですが、マックの自問自答が、観ている自身の内部に響くとき、「ああ~そういうことか~」と、思わずうなずいてしまいます。
マックは自分が受けてきた「傷」から、なかなか立ち直れないでいる。
でも、傷つけた相手を「赦せない」と憎んでいる間は、自分自身の苦しみも続くのだ、ということを悟ります。
「赦し」は「救い」なのだということ。
そして、「あなたは人を裁くのね?」とも言われて戸惑いますが、人は知らず知らず「他人を裁いている」ということでしょうか。
美しい自然映像が満載でそれだけでも癒されるし、何かに怒ってる人とか疲れた人とか、問題を抱えている人…には、とても響く映画だと思います。
それに、深い意味をとらえなくても、ファンタジーエンタメとして楽しめる!
最後にマックは「ある選択」をすることになりますが、選択の末にあるドンデン返しが…「えーっ!?」と思ったら、上手くまとめてエンディングで、ああ良かった(笑)。ちょっとサスペンスめいたところもあるので、上手い作り方ですね。
残念ながらお客さんは数人でしたが、こういう作品こそ満杯になって欲しい。。。丁寧に誠実に作られていて、ラストはたまらずすすり泣く声が(私も泣いた)。
それにしても、原作本が「全米70週連続ベストセラー1位」という謳い文句なのですが、こういうお話が売れるって、アメリカの人達の「良心」なのか。トランプ圧政で「癒し」を求める人急増なのか★