村上龍が主催するJMM(=Japan Mail Media)の特別寄稿として、冷泉彰彦氏がアメリカからさっそくボストン・マラソンの爆弾テロ(オバマ大統領がテロと断定)について長文を寄せている。(こちらからも読めます)
おもな内容としては、まずマスコミ対応の主役が救命治療に当たっている医師たちである(9.11ではニューヨーク市長だった)ということ、またその対応ぶりが(おそらくモーレツに忙しいに違いないにもかかわらず)非常に丁寧であること。すなわちそこにボストンという街の誠実さが現れている、と。
それから、治療内容について。ほとんどの犠牲者は下肢に負傷を負っており、爆弾が低い位置に仕掛けられていたことがわかるという。また、すでに新聞・TVでも報道されているがボールベアリング様の金属球が仕込まれていたらしく、これによって傷を負っている人が多い。
後者の事実からは、人を深く傷つけよう(もしくは殺そう)とする意図がうかがえる。
前者の事実から、冷泉氏は、このテロの首謀者像の推論を進めている。
(※以下、冒頭>の部分は冷泉氏の寄稿からの引用)
>16日の午後には、ペンタゴン(国防総省)から「アルカイダ系のグル
>ープをはじめとした国外犯の犯行である兆候は、現時点では一切ない」というコメン
>トも出ています。(CNNのバーバラ・スター記者)
といった情報も含めて、弱体化したアルカイダ系組織ないし彼らに共通する思想を有する個人による犯行の可能性も残しつつ、その犯行方法や、声明のないことなどから、現在のアメリカ社会に対する不満をもつ国内犯の可能性にフォーカスしているようだ。
が、そこで語られている内容は、アメリカ国内の事情に精通していなければ、ほぼ理解できないような内容である。いや、理解はもちろんできるけれども、どちらかと言えば思いもよらない内容で、要するに、「どんな理由だってテロ事件を起こす根拠になりうるのだな」という感想を抱いてしまう。
また、この4月15日前後に、いろんな凶悪事件の「○○周年」が控えているのだそうで、それは関係者にとってはもちろん大きな意味があるのだろうけれど、どうもピンとこない。 逆に言うと、どんな記念日にだってこうした犯行が起こりうるというだけのことに思える。
事件の類似性--爆破位置が地面に近いことなど今回の事件と似ている--から、冷泉さんが最も犯人像に近いと危惧しているのが、アトランタ・オリンピックの会場内で起こった爆破事件のケースらしい。
「ルドルフ」という犯人の犯行動機を例に
>ルドルフは供述の中で「オリンピックというのは大企業が大金を払って、国際的な社会
>主義のプロパガンダを助けている、その背景には妊娠中絶賛成のイデオロギーがある」
>という言い方で爆弾テロの動機を語っているのです。
と述べている。
こういうのも、警察の捜査レベルでは可能性として検討することなのであろうけれど、わたしたち一般市民、まして日本では、後だしじゃんけんのように推察していくことはできるが、事前に想像し事件を予防するとなるとこれはもう困難きわまりない。
最後はMLBツウらしく、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・ヤンキースの弔意の表し方、アメリカらしい連帯のやりかたに言及して、この稿を締めくくっている。
■ 今回の事件から学ぶべきこと
大事なことは、少なくともアメリカでは、われわれの想像力を越えて、マラソン大会においても無差別爆破テロのようなことは、いつでもどんな理由でも起きうるのだということ。
わたしたちランナーは、マラソン大会に参加するに当たって--アメリカに比べればリスクが少ないとはいえ--そうした危険もゼロとはもはや言えない時代なのだと十分認識して、多少の用心なり覚悟なりして臨むべきだと気づかされたということだ。
テロを起こす理由など、ごく普通に暮らす人間には想像しようなどないのだと思う。走っている人間にとっては、ごく普通のことだが、世界には走れない人、走るなど思いつかない境遇にある人もたくさんいるのであって、自分たちが恵まれているのだということを知るべきなのだろうし、恵まれていない人々に思い至らしめる--imagine=想像する--ことが大事なのだ。
おもな内容としては、まずマスコミ対応の主役が救命治療に当たっている医師たちである(9.11ではニューヨーク市長だった)ということ、またその対応ぶりが(おそらくモーレツに忙しいに違いないにもかかわらず)非常に丁寧であること。すなわちそこにボストンという街の誠実さが現れている、と。
それから、治療内容について。ほとんどの犠牲者は下肢に負傷を負っており、爆弾が低い位置に仕掛けられていたことがわかるという。また、すでに新聞・TVでも報道されているがボールベアリング様の金属球が仕込まれていたらしく、これによって傷を負っている人が多い。
後者の事実からは、人を深く傷つけよう(もしくは殺そう)とする意図がうかがえる。
前者の事実から、冷泉氏は、このテロの首謀者像の推論を進めている。
(※以下、冒頭>の部分は冷泉氏の寄稿からの引用)
>16日の午後には、ペンタゴン(国防総省)から「アルカイダ系のグル
>ープをはじめとした国外犯の犯行である兆候は、現時点では一切ない」というコメン
>トも出ています。(CNNのバーバラ・スター記者)
といった情報も含めて、弱体化したアルカイダ系組織ないし彼らに共通する思想を有する個人による犯行の可能性も残しつつ、その犯行方法や、声明のないことなどから、現在のアメリカ社会に対する不満をもつ国内犯の可能性にフォーカスしているようだ。
が、そこで語られている内容は、アメリカ国内の事情に精通していなければ、ほぼ理解できないような内容である。いや、理解はもちろんできるけれども、どちらかと言えば思いもよらない内容で、要するに、「どんな理由だってテロ事件を起こす根拠になりうるのだな」という感想を抱いてしまう。
また、この4月15日前後に、いろんな凶悪事件の「○○周年」が控えているのだそうで、それは関係者にとってはもちろん大きな意味があるのだろうけれど、どうもピンとこない。 逆に言うと、どんな記念日にだってこうした犯行が起こりうるというだけのことに思える。
事件の類似性--爆破位置が地面に近いことなど今回の事件と似ている--から、冷泉さんが最も犯人像に近いと危惧しているのが、アトランタ・オリンピックの会場内で起こった爆破事件のケースらしい。
「ルドルフ」という犯人の犯行動機を例に
>ルドルフは供述の中で「オリンピックというのは大企業が大金を払って、国際的な社会
>主義のプロパガンダを助けている、その背景には妊娠中絶賛成のイデオロギーがある」
>という言い方で爆弾テロの動機を語っているのです。
と述べている。
こういうのも、警察の捜査レベルでは可能性として検討することなのであろうけれど、わたしたち一般市民、まして日本では、後だしじゃんけんのように推察していくことはできるが、事前に想像し事件を予防するとなるとこれはもう困難きわまりない。
最後はMLBツウらしく、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・ヤンキースの弔意の表し方、アメリカらしい連帯のやりかたに言及して、この稿を締めくくっている。
■ 今回の事件から学ぶべきこと
大事なことは、少なくともアメリカでは、われわれの想像力を越えて、マラソン大会においても無差別爆破テロのようなことは、いつでもどんな理由でも起きうるのだということ。
わたしたちランナーは、マラソン大会に参加するに当たって--アメリカに比べればリスクが少ないとはいえ--そうした危険もゼロとはもはや言えない時代なのだと十分認識して、多少の用心なり覚悟なりして臨むべきだと気づかされたということだ。
テロを起こす理由など、ごく普通に暮らす人間には想像しようなどないのだと思う。走っている人間にとっては、ごく普通のことだが、世界には走れない人、走るなど思いつかない境遇にある人もたくさんいるのであって、自分たちが恵まれているのだということを知るべきなのだろうし、恵まれていない人々に思い至らしめる--imagine=想像する--ことが大事なのだ。