マイ・ブログに数回、書いたアドラー心理学の「嫌われる勇気」著者の哲学者 岩見一郎さんと
成毛 眞 なるげ まこと さん(早稲田大学ビジネススクール客員教授。元マイクロソフト日本法人社長)
の対談記事の抜粋です。
嫌われることを恐れるな
アドラー心理学 若い世代へ
N: 2013年12月に出版されて以来、70万部が売れている。人気の理由は。
I: 例えば努力しても現在の自分が生きづらく、幸福になれないのは恵まれない環境が原因で、
自分自身で変えることはできないのだ、という考え方。しかし、一方で、
生き方の責任をそのように回避していいのか、と多くの人が気づき始めている。
そうした中、この本を読むと
「あなたが変れないでいるのは、自らに対して『変らない』という決心を下しているから」
だと、きっぱり指摘されます。
「ああ、そうか」と腑に落ちる思いをした人がすごく多いのではないかと思います。
N: 海外でも翻訳本が売れているようですね。
I: 台湾では6万部、韓国では25万部を売り上げています。
タイ、中国でも近く出版を予定しています。
オースリアでも出版できたらというのが、私の夢ですね。
N: 悩める青年と哲人の議論の応酬を通じて
「人は変れる。世界はシンプルである。だれもが幸福になる」ことが説かれていく。
I: 古代ギリシャの哲学者プラトンが残した「対話編」を踏襲しました。
プラトンの師であるソクラテスが語り手となって対話が進行します。
私自身も現在、若い人たちと同じように話し合いを持っています。
N: 書名の「嫌われる勇気」って、思わずギョッとしてしまいますけれど。
I: 「嫌われることを恐れるな」ということです。
N: アドラーの心理学に興味を持たれたのはなぜでしょうか。
I: 子どもが生まれた頃にアドラーの心理学に出会いました。
子どもとの係わり方に悩んでいた時に、
精神科医の友人がアドラーの原書を紹介してくれたのです。
育児を学ぶためだったのですが、これが面白くて哲学と平行して
アドラーの心理学を研究することになった。
難しい専門用語は、ほとんど使っておらず、そうした意味でプラトンの著作に似ているのです。
N: 読者の年齢層は。
I: 20~30代が多いです。決して簡単な本ではないのに、中学生や高校生も読んでいいます。
人生の意味を真剣に考え抜こうという人にとって、
一種のバイブルのような存在になっているようです。
N: 中高生がこれを読むと、その後の人生が変りますね。
20年後の日本がどうなるか楽しみです。
I: 若い世代がこの本を読んで、他所の評価を気にかけず、他所から嫌われることを恐れず、
自分の人生を生きていいのだ、ということを確信してくれたら、
将来、世の中は何か違ったものになると思います。
N: お薦めの本を教えて下さい。
I: 須賀敦子さんの『ミラノ 霧の風景』です。
須賀産後本人がイタリアに滞在していた時のエピソードがたくさん出ていて面白いし、
見事な日本語に感銘を受けました。
若い人に彼女の美しい日本語を学んでほしい。
それからプラトンの『ソクラテスの弁明』。
いかに生きるかということを考える時にこの本は外せません。
言葉の難しさは全くないです。
N: 私はレバノン生まれの詩人、カリール・ジブランの『預言者』を薦めたい。
多くの人々の問いかけに、預言者アルムスタファが堪える散文詩です。
『嫌われる勇気』の読者には親しみやすいのではと思います。
ところで、活字離れが叫ばれて久しいですが、何かご意見は。
I: 読むのと書くのは別の地の営みです。得意な子はやればいいけれど。
小学生のうちから読書感想文を強いるのはよしたほうがいいというのが私の提案です。
N: おっしゃる通りだとおもいます。
みんなが同じ本について話し合うというのであればいいのですが。
書くのは才能の問題も大きいですからね。
I: 子どもが難しい本を読もうとするなら止めることはない。そうした環境は大事かと思います。
また、子どもにいい本ばかりを読ませようとするのもダメですね。
いろいろな本を読み、つまらない本とそうでない本を
自分自身で判別できる力を養うことが大切ですからね。
この対談も分かりやすいし、お勧めの本も読んでみたい。
『ソクラテスの弁明』は難しい本だろうと、思っていましたが、
言葉の難しさは全くないのですね。
※この新聞記事は、読みそびれていて、3月の新聞を何となく整理していたら、
目に止まりました。やはり、アドラーとの縁を感じました
オーストリアでも出版されるのが夢というのがかわいらしいですね。アドラーの生まれ故郷ですからね!
この本を読んだ人は人生が変わりますね。
小学生に読書感想文を強いるのは良くないという意見に大賛成です。気に入った文章を抜書きする程度ならいいですが、原稿用紙に向かわせるのと本が嫌いになると思います。
もし、オーストリアで出版されたら、日本でこのように、分かりやすい本が書かれたということに、ビックリするかもしれないですね。
同じ本を読んで、皆で話し合うと楽しいと思うけれど、書かせられると、本嫌いになりそう~。