香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

死んでいない者

2016-02-28 22:12:25 | 本のこと
平成27年下半期 第154回芥川賞受賞作
滝口悠生さんの
「死んでいない者』



文藝春秋に受賞作2作が
選考委員の選評と一緒に載るので
単行本ではなく、雑誌で読みました

宮本輝さんの選評
滝口悠生さんの「死んでいない者」という題を、
まだ死んでいない者と読むか、
死んでしまってもういない者と取るかは
読者にゆだねたといったところであろう。
-中略-
お通夜に集まった多数の親類縁者たちが
それぞれどういうつながりなのか
わからなくなるというのは、
たいていのお通夜でよく見受けられる。
それでも死者は焼かれてどこかへ消えて、
生者は葬儀が終われば去って行き、
またそれぞれの新しい生を生きていく。
その淡々とした営みの中に
人間というもののけなげさを
さりげなく描いたとすれば、
この作者は相当にしたたかだと感じた。


お年を召した方のお葬式ではこういう場面あるよなぁと
特に、亡くなった方にお子様やお孫さんが多い場合
それぞれの血縁関係が微妙にわからなかったり、
状況や立場が分かっているようであやふやだったり
それでも、皆それぞれの人生があるんだなと思う。
それは、亡くなった人も同じこと。
そんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡りながら読みました。
そして、輝先生の選評が心にグッときたのでした

堂場瞬一さんの『破弾』



故郷を捨てた男は、それでも刑事にしかなれなかった。
警視庁多摩署で現場に戻った了は、
刑事部屋で倦厭され孤立する美女刑事とコンビを組む。
命じられたホームレス傷害事件に腐る二人だが、
被害者の周囲にはなぜか公安の影が…。
東京郊外の新興住宅地に潜む、
過去の闇を暴けるのか?。


本を読む気力がなんとなく萎えていて
ベッドの脇に置いてあった、
弟が父に貸したこの本が目に入って読み始めました
警察小説らしく、事件が起きてからスピーディ
少しストイックで、切ない解決の仕方でしたが
するすると読めて、好きになりました。
刑事・鳴沢了シリーズの第2弾なのですが
実は、第1弾も弟から父に渡してあったようで
隣にありました…。いま読んでおります



先週末、風邪をひいたようでおとなしくしていたのですが
やっと今日、重い体を起こしてゆっくり走ってきました
宮の森の坂を登ったり降りたり
青空が気持ち良かった~



円山公園、あと2ヶ月したら桜で満開になる場所



いったん家に戻ったあと、散歩がてら北大へ
北大の中を歩くのは久しぶり
まだまだ寒い日はあるだろうけど、
着実に春は近づいている気配

東京シック・ブルース

2016-02-24 00:54:33 | 本のこと
芦原すなおさんの
『東京シック・ブルース』



四国から東京の大学へ進学した容一を待っていたのは、
刺激的で魅力的な男と女との出会い。
時はまさに学生運動の季節を迎えようとしていた。
直木賞受賞作『青春デンデケデケデケ』に続く長編小説。


お友だちのオススメ本
まさしく青春小説、若さならではの悩みや感性
素朴な主人公、あの時代らしい人々と出来事
読みやすい文章でありながらも、
なかなか読み進められず、丸々1週間以上かかって読了

芦原すなおさんのミミズクとオリーブシリーズが好きで
他にも何冊か読んだ割には、
どのような方なのか知らなかったなと思い
Wikipediaで調べてみてびっくり
村上春樹さんと大学の同級生だったそうな
そういえば、この小説の時代の方々
映画化された『青春デンデケデケデケ』は見たことあったかも
勝手にミステリー作家と思っていたけど、全然違った



昨日、今日と通勤Jogをしたのだけど
今日の帰りはちょっとちょっとという感じの雪
お風呂のゆっくり入ってジンジャーエール飲んでいるうちに
いつの間にか寝てしまって、こんな時間に目が覚めちゃった
外はまだ雪が降り、除雪車のゴーゴーという音が響いている
ホットミルク飲んで、ベッドに入ろう

日々変わらず

2016-02-20 15:21:22 | 本のこと
弟のこと、いろいろとあるけれど
日々は変わらず過ぎていき、笑ったり泣いたり
仕事もし、少しずつですが本も読みます

道尾秀介さんの
『笑うハーレキン』



経営していた会社も家族も失った家具職人の東口。
川辺の空き地で仲間と暮らす彼の悩みは、
アイツにつきまとわれていることだった。
そこへ転がり込んできた謎の女・奈々恵。
川底に沈む遺体と、奇妙な家具の修理依頼。
迫りくる危険とアイツから、逃れることができるのか?
道尾秀介が贈る、たくらみとエールに満ちた傑作長篇。


結構前に読み終えていたのですが
道尾さんの小説はストーリーはハラハラドキドキだけど
安心して読めるんですよね
お話の底に流れているのが、優しさなので
大丈夫、最後は納得して読み終えると信じちゃってる
どうなっちゃうんだろうとワクワクしながら
楽しい時間を過ごすことができました

朱川湊人さんの
『なごり歌』



昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。
一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。
あなたの奥さまは、私の妻なんです――。
お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が、
突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。
あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。
切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。


昭和の子供の頃のことを思い出して
ちょっと感傷的になりながら読んでいました。
巨大団地という特殊な場所で
いろいろな人たちの思いが重なり、すれ違い、通り過ぎる
朱川さんの小説も好きだな



今日は、実家の換気扇が壊れてしまっているので
知り合いの設備屋さん見に来てもらうため
家から実家まで走って行ってみました
街の中、豊平川を渡って、中心部は信号が多いので
なるべく止まらないように、クネクネと走っていたら
東札幌の住宅街でちょっと方向が分からなくなってしまった
時間に遅れそうになり、後半はスピードアップ
はぁ、疲れた

夜はお友達とスープカレー鍋飲み会
出かける前に掃除、洗濯と動き回っていたら、
フッと15分ほど、ソファの上で気絶
久しぶりに走ったからね~

さびしいです

2016-02-14 14:43:59 | なんでもない話
2月10日午前8時40分に弟が亡くなりました

3歳半違いの弟は、小さい時は虚弱体質で
ヒョロヒョロっと背だけが高く、やさしい子でした
野球をやるようになって、健康になり、
小学生の時は、全日本大会にも出て活躍
大学を出て、偶然にもわたしと同じ職種に就職
男と女のきょうだいの割りには、仲が良かったと思います
姉のくせに、心配かけてしまった思い出が多々…

結婚して男の子の父となり、
元々背が高く大きな人だったのに
さらに横にも大きくなっちゃって
甥っ子の野球に家族で夢中になっていて幸せそうだったな
2年前に癌の宣告を受けてからも
地道に一生懸命働いて、一緒に仕事をする機会も持てた
去年末くらいから、一気に調子が悪くなり
今年になってからは、病院から殆ど出られなくなり
それでも、ずっと、ちゃんと話をしていたんだけど
痛がって、ベットから立ち上がれなくなってから3日
あっという間に逝ってしまいました

お通夜には、たくさんの友人、知人が来てくれて
みんなに、優しくいい人だったと惜しまれて
穏やかな顔のまま、大切な人たちに見送られて旅立ってしまった

弟はこのブログも見ていてくれて
たまに本を貸してくれたり、お勧め本を教えてくれたり
きついことも、言ったりしたけど
ちゃんと返答してくれる優しいところがありました

子供のために、妻のために、母のためにも
まだまだ生きたかっただろう弟の分
せめてわたしは笑顔で毎日過ごしていこう

江國さんと桜木さん

2016-02-08 12:46:39 | 本のこと
江國香織さんの
『ちょうちんそで』



いい匂い。あの街の夕方の匂い――。
些細なきっかけで、記憶は鮮明に甦る。
雛子は「架空の妹」と昔話に興じ、
そんな記憶で日常を満たしている。
それ以外のすべて――たとえば穿鑿好きの隣人、
たとえば息子たち、たとえば「現実の妹」
――が心に入り込み、
そして心を損なうことを慎重に避けながら。
雛子の謎と人々の秘密が重なるとき、
浮かぶものとは。心震わす〈記憶と愛〉の物語。


久しぶりの江國香織作品
最初は、このバラバラの設定の人たちの
それぞれのお話が、どうまとまっていくのか
それとも、このままずっとこうなのか
不安に思いながらも読み進めていき
だんだんと、概要が見えてきて
さて、と思ったところで梯子が外されたような
呆然として本を閉じました。
不思議な世界に足を踏み入れていた感じです

桜木紫乃さんの
『無垢の領域』




道東釧路で図書館長を務める林原を頼りに、
25歳の妹純香が移住してきた。
生活能力に欠ける彼女は、書道の天才だった。
野心的な書道家秋津は、
養護教諭の妻伶子に家計と母の介護を依存していた。
彼は純香の才能に惚れ込み、書道教室の助手に雇う。
その縁で林原と伶子の関係が深まり……
無垢な存在が男と女の欲望と嫉妬を炙り出し、
驚きの結末へと向かう。濃密な長編心理サスペンス。


覚悟はしていたけど、
重く苦しく悲しかった
それでも、桜木さんの小説は
読もうと思わせてくれる力強さがある
純香を思う、気持ちや葛藤
寝たきりの母親と息子の静かな駆け引き
なみだがとまらなくなりながらも
ゾッと背筋が寒くなったりして
人の心の奥底のこわさが辛かった



札幌は雪祭りの真っ最中です
昨日は美容院に行ったので
帰りにちょっとだけ通ってみましたが
かなりの人出でした
今日は仕事で旭川へ向かっていますが
JRは満席みちみちです
でも、いいお天気で気持ちいい