湯本香樹実さんの
『岸辺の旅』
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きみが三年の間どうしていたか、
話してくれないか----
長い間失踪していた夫・優介が
ある夜ふいに帰ってくる。
ただしその身は遠い水底で
蟹に喰われたという。
彼岸と此岸をたゆたいながら、
瑞希は優介とともに
死後の軌跡をさかのぼる旅に出る。
永久に失われたものへの
愛のつよさに心震える、
魂の再生の物語。
不思議な不可思議な出来事から始まるのに
自然にすっと小説の中に入っていく
生と死が隣り合わせのようで
絶望と希望をいったりきたりする
海の底にいるような静けさの中で
忘れてしまえば楽になるのに
これからも続くひとりの時間を想像して
余韻にひたり、いつまでも小説の世界から
抜けきれず、眠れず、夢をみる時間
苦しいけど、とても好きな小説
映画化されるので、文庫の表紙が主人公たち
映画『岸辺の旅』は
浅野忠信さんと深津絵里さんのイメージで読んでしまったけど
きっと、ぴったりなんだなと思う
湯本香樹実さんの小説は
『夏の庭』、『ポプラの秋』、『西日の町』、『春のオルガン』と
全部とても好きな本ばかりだけど、
今回の『岸辺の旅』はいつもよりさらに静かで
胸に残ったものが尾をひくような感じだった
『岸辺の旅』
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きみが三年の間どうしていたか、
話してくれないか----
長い間失踪していた夫・優介が
ある夜ふいに帰ってくる。
ただしその身は遠い水底で
蟹に喰われたという。
彼岸と此岸をたゆたいながら、
瑞希は優介とともに
死後の軌跡をさかのぼる旅に出る。
永久に失われたものへの
愛のつよさに心震える、
魂の再生の物語。
不思議な不可思議な出来事から始まるのに
自然にすっと小説の中に入っていく
生と死が隣り合わせのようで
絶望と希望をいったりきたりする
海の底にいるような静けさの中で
忘れてしまえば楽になるのに
これからも続くひとりの時間を想像して
余韻にひたり、いつまでも小説の世界から
抜けきれず、眠れず、夢をみる時間
苦しいけど、とても好きな小説
映画化されるので、文庫の表紙が主人公たち
映画『岸辺の旅』は
浅野忠信さんと深津絵里さんのイメージで読んでしまったけど
きっと、ぴったりなんだなと思う
湯本香樹実さんの小説は
『夏の庭』、『ポプラの秋』、『西日の町』、『春のオルガン』と
全部とても好きな本ばかりだけど、
今回の『岸辺の旅』はいつもよりさらに静かで
胸に残ったものが尾をひくような感じだった