会長に書類を渡す前に彼の携帯に電話をかけた。
「あー、今、外出中です。もうすぐ家に着きます。家の前で待ち合わせしましょう」
と言われる。
雨の中、彼の自宅前に佇むと、前からちょうど会長が歩いて来て、
「○○さん!」
と満面の笑みで私の名前を呼んだ。
待ち合わせなんかしちゃって、ちょっとしたデートみたいだった。
残業中、人事部長と社長に呼び出されて新しい業務を与えられた。
THE・園芸である。
会社の花壇とか花瓶の世話らしい。
何なんだ、そのリアルサンシャイン牧場は。
「はい。かしこまりました~」
と笑顔で答えたが、若干意味が分からない。
正直に言おう。
私は花は好きだが、土いじりは大嫌い。
爪に土が入るあの感覚が苦手なのだ。
聞いたら園芸業務は主に球根などの発注などで、土いじりは嘱託の人が担うらしい。
「会長が葉牡丹の咲く時期を楽しみにしているから。本当、あなた、よろしくね」
と人事部長に叱咤激励された。
なんでも葉牡丹の真ん中部分をカラスが啄ばむらしい。
それを阻止しろと。
私は防人かよ!?
防人歌(さきもりのうた)とか詠んじゃうからな。もう。
葉牡丹の
真ん中啄ばむ黒き影
我は生きるよ
リアルサンシャイン
(防人・亮子)
「つーかよぅ、変な仕事ばかり押し付けやがって!」
帰りの喫茶店でハンバーガーをかじりながらイラつく。
他部署の先輩にこの件でメールをしたら
「私も雑用ばっかりで可愛そうだけど、あなたも可愛そうだね」
と書かれて、複雑な気分。
ぐっと堪えて煙を吐き続ける。
これしか私には残された選択はない。
これこそ悲しきサラリーマンの性。とほほ。
帰りにドラッグストアでトップコートを購入。
ジェルネイルのようなぷっくり感が出るらしい。
さっそく塗ってみた。
うん。なんとなく、ぷっくりしている。素敵。
少しだけ気分が晴れやかになった。
BGMは「生命の奇跡」
リベラ - 生命の奇跡
「あー、今、外出中です。もうすぐ家に着きます。家の前で待ち合わせしましょう」
と言われる。
雨の中、彼の自宅前に佇むと、前からちょうど会長が歩いて来て、
「○○さん!」
と満面の笑みで私の名前を呼んだ。
待ち合わせなんかしちゃって、ちょっとしたデートみたいだった。
残業中、人事部長と社長に呼び出されて新しい業務を与えられた。
THE・園芸である。
会社の花壇とか花瓶の世話らしい。
何なんだ、そのリアルサンシャイン牧場は。
「はい。かしこまりました~」
と笑顔で答えたが、若干意味が分からない。
正直に言おう。
私は花は好きだが、土いじりは大嫌い。
爪に土が入るあの感覚が苦手なのだ。
聞いたら園芸業務は主に球根などの発注などで、土いじりは嘱託の人が担うらしい。
「会長が葉牡丹の咲く時期を楽しみにしているから。本当、あなた、よろしくね」
と人事部長に叱咤激励された。
なんでも葉牡丹の真ん中部分をカラスが啄ばむらしい。
それを阻止しろと。
私は防人かよ!?
防人歌(さきもりのうた)とか詠んじゃうからな。もう。
葉牡丹の
真ん中啄ばむ黒き影
我は生きるよ
リアルサンシャイン
(防人・亮子)
「つーかよぅ、変な仕事ばかり押し付けやがって!」
帰りの喫茶店でハンバーガーをかじりながらイラつく。
他部署の先輩にこの件でメールをしたら
「私も雑用ばっかりで可愛そうだけど、あなたも可愛そうだね」
と書かれて、複雑な気分。
ぐっと堪えて煙を吐き続ける。
これしか私には残された選択はない。
これこそ悲しきサラリーマンの性。とほほ。
帰りにドラッグストアでトップコートを購入。
ジェルネイルのようなぷっくり感が出るらしい。
さっそく塗ってみた。
うん。なんとなく、ぷっくりしている。素敵。
少しだけ気分が晴れやかになった。
BGMは「生命の奇跡」
リベラ - 生命の奇跡