吉熊上司が有給を取った。
昨日、彼からは「明日はよろしくね」と言われていた。
残された私、後輩男女は、まるで親がいない雛鳥のように不安な面持ちで一日を過ごした。
今日、経理部のO主任とトイレでおしゃべりをした。
彼女からキナ臭い経理部の実情を聞いた。
そして、
「亮子ちゃん達の上司の吉熊さんって、親鳥みたいだよね」
と言われた。
他部署から面倒なことを頼まれようものならば外敵から子を守る親鳥のようにはねのけてくれる。
また、仕事を各々の能力や適正を考えてバランスよく割り振ってくれる。
まさしく、親鳥である。
ピーピー鳴く雛鳥のなかで私は一応最年長なのだが、まだまだ雛鳥を逸脱できていない。
下の雛鳥たちの面倒を見るどころか、大きな口をあんぐり開けて待機しているダメ鳥である。
明日、彼が見るであろう彼宛の書類を整理して退勤。
今週の会社の花はストレチア。
和名では極楽鳥花。
サンシャイン牧場では何度か育てたことがある。
見れば見るほど変わっている花だと思う。
その名の如く、鳥に似ている。
なんだかそれが私には明日会う親鳥・吉熊上司に見えた。
