中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ありがとう

2010-01-10 11:05:07 | 身辺雑記
 新聞の「読者の声」欄に2人の主婦が投書していた。どちらも先月の中ごろに掲載された「空気の関係で片づけないで」という投書に対するもの、どちらもその投書に共感するものだ。私はその投書を見逃したので詳細は分からないが、夫婦の関係は空気のようなものだから、殊更に愛情表現や感謝の言葉などは要らないということを批判したものらしいと想像した。

 投書の一つは67歳の主婦のもので、愛情表現の乏しい夫にこの記事を毎日読んでもらおうと2枚コピーして、1枚はトイレに、もう1枚は夫の机の前に台紙つきで張ったという。するとさっそく効果があってクリスマスには花束をプレゼントされたそうだ。しかも「これまで本当にありがとう」という手紙も添えてあったようだ。この女性はさぞ嬉しかったのだろう、こんな感激は出産以来のことだと書いている。そして、「これを機に夫にはできるだけ愛情表現をしてもらい、私もこれまで以上に気遣いをして、仲のよい老後を送りたいと思います」と結んでいる。

 もう1つは48歳の女性のもので、「愛情表現だけに限らず『ありがとう』という感謝の言葉すら口にできない男性が多いように感じています。残念ながら夫もその一人です」と切り出し、なにも「愛している」というような大それた言葉を期待しているわけではない。「忙しいのにお弁当いつもありがとうな」「今日のおかずわりとおいしいで」というようなささいな言葉ひとつでいい。その言葉ひとつで気持ちが救われますと言う。そして「結婚生活が長く続くと、夫婦の関係は、『異性』というよりも『ただの同居人』になってしまいます。お互いが、気持ちよく暮らすためには、必要最低限の感謝の言葉が必要不可欠です。(中略)私からは、これからも夫に感謝の言葉を続けていくつもりです」と言っている。

 日本の男性は愛情表現はもちろんのこと、自分の気持ちを表現するのが下手だと言われる。米国の夫婦などは絶えず「アイ・ラブ・ユー」と言い合っていなければ、夫婦関係が冷ややかになり、時には破綻することもあると言う。そういうのは少々煩わしいとは思うが、やはり最低限でいいから感謝の言葉は必要だろう。私は「ありがとう」と言う言葉が好きで大切にしている。

 機械と同じように夫婦の関係も長く続いているとだんだん錆び付いてくるのが普通だろう。それに気がつかないと知らないうちにギクシャクしてくるから潤滑剤が必要で、その1つが.感謝の言葉ではないだろうか。夫婦の間だけでなく、「ありがとう」は大切な言葉だと思う。これを言うか言わないかで人との関係は大きく変わる。大げさに表現したり、何度も繰り返すことはない。「あ、ありがとう」、「どうもありがとうございます」、それだけでいいのだ。至って簡単なことだ。