中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

トン族の建造物

2010-01-25 10:50:35 | 中国のこと
 中国の少数民族のトン族(侗)は人口約251万人、貴州省や広西チュワン(壮)族自治区、湖南省などに居住しているが、貴州省には最も多くトン族全人口の過半数の140万人が住む。2005年に貴州省の黔東南ミャオ族トン族自治州(黔は貴州の略称)のミャオ族の祭を見に行ったときに トン族の村もいくつか訪れた。

 トン族は建築技術にきわめて優れていて、その建造物は有名である。そのうちの鼓楼はトン族の村のシンボルとも言うべきもので、この宝塔形の塔は村の建物の中でもひときわ高く、これが望見されるとトン族の集落(侗寨)ということがすぐ分かる。集落によって形には変化がある。
 
 
 一夜宿泊した黎平(リイピン)県肇興(ジャオシン)村はトン族の大きな村で、ここには鼓楼が5つあり、それぞれ、仁・義・礼・智・信を表しているとのことだ。基本的には同じような形状だが、大きさやデザインが違っている。

 仁の鼓楼。鼓楼の第一層は正方形だが、それから上の各層は多角形でひさし(飛檐)がある。設計図もなく伝承と経験に従って村民たちが建造するようで、釘はまったく使われていない。頂楼には太鼓が1つあり、事があるとこれを打って村人を集め、協議したと言われるが、現在はどうしているか分からない。村の慶事や祭などでは、ここが娯楽センターになると言う。


義の鼓楼


礼の鼓楼


智の鼓楼


信の鼓楼


 黎平県腊水(ラァシュイ)村の鼓楼。第一層は壁で囲まれ集会室のようになっている。入り口には立派な龍の彫り物がある。


 三江(サンジャン)トン族自治県馬安寨(マアンツァイ)の鼓楼。各層はすべて方形で、第一層はホールになっている。