中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

かまくら

2010-01-11 11:05:19 | 身辺雑記
 高校の生物クラブの卒業生が10人ほど集まって、西宮市の商業ビルの中にあるごくカジュアルなイタリアン・レストランで新年の昼食会をした。この商業ビルの中にはたくさんの店舗が入っていて商店会が作られているが、その商店会が秋田県横手市の小規模な物産展を開き、そのアトラクションとしてビルの外の広場に「かまくら」を作って展示していた。

 かまくらは秋田県や新潟県の小正月の伝統行事で、雪で作った家(雪洞)の中に祭壇を設け、水神を祀るものである。横手のかまくらは有名で観光客が多く来るようだが、この横手から雪を運んでかまくらを作ったようだ。小正月は本来旧暦1月15日の行事だが、最近は新暦でやるようで、一足先に西宮で小正月の気分を味わおうという企画だろう。もう少し小ぶりなものだと思っていたが、意外に大きなものだった。

            

 かまくらの語源は、形が竃(かまど)に似ているから「竃蔵」であるとする説や、神の御座所「神座(かみくら)」が転じたものであるとする説などがあるそうだ。

 このあたりでは最近は雪自体が珍しく、ましてテレビなどでは紹介されるが実物は見たことがないであろう市民たちが子供連れで行列を作って並び、順番にかまくらの中に入ったり写真を撮ったりしていた。これを現地の降りしきる雪の中で夜見れば幻想的なものなのだろう。1936年に横手の地を訪れたドイツ人建築家ブルーノ・タウトがその著書の『日本美の再発見』の中で、子ともたちが雪洞の中に祭壇を設けて水神様を祀り、餅などを食べたり鳥追いの歌を歌ったりして遊んだりする、素朴で幻想的な情景を「まるで夢の国」と絶賛したこともあって有名になったそうだ。今では各家ごとにかまくらを作ることは廃れているようで、町おこしのために復興させようとする動きもあるようだ。