かつて世界1位の生糸生産地のこともあった岡谷市…市内にはその産業遺産群が残されています。かつてその見学ツアーでほぼ巡ったのですが(近代化産業遺産巡りツアー2018-05-07 )身近な所でまだ見学していなかった場所があったので、巡ってみました。まずはこの「丸山タンク」です。
市内にあった製糸工場では水をたくさん使いました。ここはその製糸工場への給水タンクがあった場所です。大正3年にできたこのタンク、天竜川から水をくみ上げていたそうです。
現在は金属製のタンクの台座としていた三重円筒型の巨大なレンガ積みが残されています。
風格のあるレンガ積み…隙間から覗く風景も隙間から芽を出す植物も感慨深いものです。
街中の小高い場所にあるこの遺構…そこに立って、かつての製糸産業でにぎわった市内を思い描きました。
次に訪れたのは「旧山上宮坂製糸所」です。ここは創業明治7年で大正~昭和の全盛期に発展した製糸工場です。昭和2年に建築された事務所が残されています。
工場の一部も残されていました。
居宅は「欅御殿」と呼ばれたそうです。屋根は鉄平石で葺いてあり、大屋根正面の棟飾りは「雀おどし」と呼ばれています。
蔵の梁も立派でした。
産業遺産ではないけれど市内の古民家「寉龍庵」…国の登録有形文化財に指定されている建物です。
この建物は時々ギャラリーなどに開放されているようです。機会があったら内部も見てみたいものです。
この建物は「旧岡谷市役所庁舎」です。この建物も国の登録有形文化財に指定されています。昭和11年に製糸家の尾澤福太郎が市制施行を記念して建築、寄贈したものです。
この庁舎は昭和62年まで使われていました。レンガの壁がレトロな建物です。
ちなみに、こちらが現在の市役所庁舎です。
市役所の近くにはこんな建物も残されています。きっと繭蔵だった建物かと思うのですが…
最後は「丸中宮坂製糸所繭倉庫」です。こちらは市内で唯一、製糸業を現在も続けている会社です。
実はこの会社は「岡谷蚕糸博物館」で操業しています。今も「諏訪式繰糸機」が使われて製糸業が続けられています。その工場のある「岡谷蚕糸博物館」です。
市内の近代化産業遺産群は「旧片倉組事務所」や「旧林家住宅」「旧山一林組製糸事務所」など立派な建物があるのですが、今回はまだじっくり見ていなかったごく身近な遺産を巡ってみました。改めて古き時代に思いを馳せる時間でもありました。
最後に蚕糸博物館の庭の「しだれ桑」の木です。冬にはかなり剪定されていたのですが、今は地面に着くほど繁って枝垂れていました。